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紋章憑き~世界最強の男がやって来た世界は、キスもエッチも無い世界のようです  作者: 琴崎大寿
第一章 ワケも分からぬまま、この世界で最強を目指すことになりました
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本当に『死ぬ』と思ったのであろうナスターシャの目には涙が浮かんでいた。


「殺す気なんてねーよ」


「嘘を言うな!」


「嘘じゃねーよ。殺人者になんかなりたくねーし! あ? もしかしてアレか? 『落とされた』ことないのか? 落ちそうになったのを『殺される』とかと勘違いしたとかか?」


「『落とされる』? そ、それは一体どういう意味だ」


「技を極めて意図的に失神させるんだよ。んで、失神したことを『落ちる』って言うの」


「……そ、そんなにも簡単に失神するものなのか?」


「極まり具合によるけどな」


「へぇ、なかなか興味深い話だな、それ」


ガイナだ。後ろにはリレイアもいる。


「どんなヤツにでも効くのか?」


「効くんじゃね? オレの場合、少なくとも『タップ』……降参してきたヤツ以外は全部『落として』きたし」


「なるほどな」


「一回、クイッと極めてやろうか? どんな感じか分かると思うよ?」


ガイナは即座に首を左右に振った。


「いや、遠慮しとく」


「あ、そう?」


「嫌な気持ちはしたくないんでな」


「なんだなんだなんだぁ? 情けないぞ、ガイナァァァ!」


突如として、馬鹿でかい声が闘技場に響く。


その声に、ガイナ自身は気にした素振りは見せないものの、隣のナスターシャの顔が見る見ると険しくなっていく。


間をおいて、巨体を揺らしてノソノソと闘技場に現れたのは、ヴァティスガロ帝国将軍――『土の紋章憑き』ダンダークだった。


観衆はどよめき、緊張が走る。


「ナスターシャ。お主もお主だ。我に敗れる前に、このような輩にやられおって。悲しい。我は悲しいぞ」


ダンダークは額を抑えて、わざとらしく悲しさを表現してみせる。


「黙れ」


「そのような恐い顔をしても無駄だ。なにせ、今のお主はこの輩の奴隷に成り下がったのだからの。奴隷の分際で我に偉そうな口を利くな」


「貴様ァ……」


空気が読めない。イヤ、空気を読んだ隼人が横から口を挟む。


「おっさん誰だ? なんかむかつくおっさんだな」

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