22
「あいつは一体誰なんだ!?」
「あれが新しく着任された将軍様か!」
突然現れた隼人の正体を知る者、知らぬ者達の歓声に包まれる闘技場。
やがて隼人の正体が闘技場内の観戦者達全てに伝え渡ると、より歓声が大きくなっていた。
マウロノとの戦いを終えた隼人がアルベセウスの元へと歩いていく。
「手間を掛けさせて済まなかったな」
「いや、別に手間なんか掛かってねーから大丈夫よ。そんなことよりも、大丈夫か?」
隼人がリレイアを気遣う。頭を下げるリレイア。
その三人の横を、マウロノが担架のような物に乗せられ運ばれていった。そのマウロノの顔は、
「とりあえず、同じようなことやっておいたから」
リレイア以上に陥没していた。
隼人はリレイアの前で屈むと陥没した傷跡を見る。隼人と視線が重なったリレイアは視線を逸らした。
「しかし、ホントひでーな。これ簡単に治る傷じゃねーだろ……」
「治るぜい」
ガイナがやってきた。
「治るって、どうやって?」
「んなもん魔法に決まってんだろ。どれ、見せてみ」
リレイアはガイナの言葉に従い、小さな顎をクイと上げ、傷口を見せる。
「ほーほー。結構べっこりといってるねー。ま、でも余裕だな」
「余裕って……マジか」
「当たり前よ。オレを誰だと思ってるよ。『聖神スグラド』に認められた男なんだぜ?」
「いや、スグラドって誰よ」
ガイナの代わりにアルベセウスが答える。
「癒しの神とも言われるスグラド。その力を継ぎし者は、まあ簡単に言えば治癒魔法のスペシャリストってところだ。見てれば分かる」
ガイナがリレイアの両頬に手を添える。
「目、閉じてな。すぐ済むからよ」
リレイアが目をゆっくりと閉じる。
すると、ガイナの両手から発せられた光が球状となりリレイアの顔を包み込んだ。
時間にして数秒。
光が窄まるようにして消えると、そこには傷の癒えた、全くの無傷、これが本来のリレイアであろう美少女顔に戻っていた。血で赤く染まっていた髪も元の綺麗な銀髪の状態で。
「ほら、治ったぜ」
すでに『魔法』という類を何度か目にしていた隼人であったが、やはり慣れない。
続いて、リレイアの肩から折れた両腕も瞬く間に治してしまった。
どうなってんだよ。マジックとかそんな陳腐な現象じゃない。目から得た情報に頭が、脳が付いていけない。何というか、モヤッと? イラっとする。だって種明かしとか無いんだぜ? どうせ聞いてもたった一言、『魔法』で片付けられるんだから。
「こちらはもう大丈夫だ。ハヤト、キミは戻るといい。お待ちかねだ」
アルベセウスが闘技場の中央を指差す。
「あ?」
アルベセウスの指の先を追って見る隼人。
「――終わったか。ならば次はこっちだ、クロサワ ハヤト。私達の『神撃』を始めるとしようか」
そこには腕を組み笑うナスターシャの姿があった。




