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隼人にとって今後意味がありそうなプチ会議は終了。
リリスは就寝の為にガイナに付き添われ『王の部屋』へと戻っていった。隼人とアルベセウス、ナスターシャの三人は既に行われている『神撃』の舞台である城内地下『闘技場』へと向かっていた。
やはりここでも、アルベセウスとナスターシャに加わり歩く隼人に、兵士達の話題が集中していた。隼人の着ている服に気付いた兵士達が俄に色めき立ち始める。
「なあ」
「なんだ?」
「なんで、こいつら……みんなこっちばっか見てんだよ。こんな見られたら落ち着かねーんだけど」
「『こっち』ではなくてお前を見てるんだろ。ほら、ここ」
ナスターシャは歩きながら自分の着ている軍服の立て襟を指差した。
「金のラインが横に三本入ってるだろ?」
「ああ、でもそれが?」
「これは私が『将軍』だということを示しているんだ。二本だと『副将軍』。一本だと『旅団長』となる。そして――」
突然、ナスターシャは隼人の首へと手を伸ばす。条件反射で咄嗟にその手から逃げようとするが、あっさりと襟首を掴まれた。横のアルベセウスがクスリと笑う。
「な、なんすか?」
「ほら」
ナスターシャは隼人の襟足を起こすと、クンと軽く引っ張り隼人から見えるようにしてやる。
「――わぁ、三本入ってるーびっくりだー」
言葉が棒読みになる隼人。黒色の生地に金色の刺繍がよく映えていた。
「と言うわけだ。お前も将軍として扱われてるんだ。知らぬ人間がいきなり『将軍』とくれば注目も集まるというものだ」
「え? オレ、将軍なの!? いやいやいやいや、何勝手にそんなことしてくれちゃってんの」
「それはその服を用意してくれたマーグに聞くといい。マーグなりにキミから何か感じるものがあったのではないか? まああまり気にしないことだ。それに、その方がキミも何かと不便をせずにすむと思う。何せ王に次ぐ地位を与えられたようなものだからな」
「おいおい、そんな簡単に与えていいものなのか?」
「まあ今回ばかりは、と言うことだ――それでは私はここで。部屋でダンダークを待たせているんでな。キミとナスターシャとの一戦、楽しみにしている」
通路奥、T字路に差し掛かった三人。地下に降りる階段の前でアルベセウスはそう言って右の通路へ一人歩いていった。ナスターシャも、
「私はコッチだ。そこの階段を下りていけばそのまま闘技場へと出ることになる。ハヤトが出場することは伝えてあるので、受付の誘導指示に従ってくれたらいい。ではまた後でな」
そう言って左の通路へと歩いていった。




