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「あのさ、ちょっと話戻るけど良い?」
「なんだ?」
「その、ランキング? 戦績ってのはどうやったら分かるんだ?」
「基本的に『紋章憑き』が共鳴し合った時に、互いの戦歴等の簡単な情報が空間に浮かび上がる――こんな風に」
羽虫の羽音のような音と共に、アルベセウスの前方上部に青白く光り輝く文字が浮かび上がる。
なぜかその文字は隼人にも読める日本語だった。否、正しくは隼人の目からは日本語として認識出来るようになってるようだった。
アルベセウス・ガンルーク(二十二歳)性別・男性
『出身地』リーンハルス王国
『憑き神』火神イーヴェルニング
『戦績』三十二戦二十八勝四敗
【攻】★★★★★★☆☆☆☆
【守】★★★★★☆☆☆☆☆
【魔】★★★★★★★★★☆
この者、現在五の位に席を置く者
「それ! それってオレも好きなように出せるのけ?」
「『紋章憑き』になったハヤトにも出せるはずだが。頭の中で自分の憑き神の名前をイメージするだけだ。やってみると良い」
「おし。えっと……ラルファ、ラルファっと……」
隼人が『ラルファエンクルス』という言葉を頭にイメージした瞬間、アルベセウスと同じように隼人の斜め上辺りに隼人の情報が浮かび上がった。
「出たー!」
黒澤隼人(二十歳)性別・男性
『出身地』日本・東京都
『憑き神』竜神ラルファエンクルス
『戦績』〇戦〇勝〇敗
【攻】☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
【守】☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
【魔】☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
この者、現在一〇〇以下の位に席を置く者
自分のデータを目にした瞬間、隼人の表情が俄に曇る。
「どうかしたか?」
「この一〇〇って数字、納得出来ねー」
「仕方あるまい。ハヤトはまだ一戦もしていないのだからな」
隼人は溜め息を吐くとテーブルから降り、自分を指差す。
「あのな。オレは王者なんだぞ? 王者! 『怪童』の王者がこんな仕打ちを受けて良いわけがない! 断じて許せん! 抗議だ。オレは断固抗議する!」
「ハヤト。どうやらキミは腕に自信があるようだな。しかし、この世界をあまり舐めない方がいい。いかにキミが『竜神』の力を得たとしても、キミはまだ『紋章憑き』になったばかり。まだまだ未熟な身だということを理解した方が良い」
「……別に舐めてるわけじゃねーよ。ただな、オレにもプライドがあんだよ。『怪童』の王者としてのプライドがよ」
「お前の言ってることも、気持ちも分かる。しかしハヤト、お前はついさっきこの世界に来たばかり。言うなれば新参者だ。この世界での実績というものが無いのも事実ではないか」
ナスターシャの言葉にふて腐れたような表情になる隼人。
「そんな顔をするな。私は今晩の『神撃』を正直楽しみにしてるんだ。『紋章』の有無は別にして、余所の世界から来たお前が一体どのような戦い方をするのか」
「ほお、ハヤトも『神撃』を? しかし、相手は一体?」
「さあ? オレに丁度良い相手を用意してくれるみたいよ」
「ああ、その相手なんだが。相手は私だ」




