変わる思い、誰かの為に
僕は中学1年生。だけど人とは少し違う。
僕は腎臓が弱い。そう、腎臓の機能がほとんど働いていない。
だから子供の頃から人工透析を受けている。
最初は透析のため、腕に刺す針の痛みに苦しんでいた。
でも今はもうどうでもいいとも思っている。
既に僕の左腕はまるで麻薬中毒患者であるかのように大量の注射痕があり、二度三度、夏の夜の繁華街で半袖のシャツを来ていたら職務質問された。その時は正直に話して親も呼んで、医療履歴も開示した。
今度は長袖にしたら逆にその注射痕を隠すかのような仕草に見えたのか、また職務質問された。
2度目は職務質問されたことに腹を立てたから警官相手とは言え、少し強気に出て怒ってしまった。
何度か親を恨んだこともある。なんでもっと強い身体に、少なくとも普通の身体に生んでくれなかったのかと。そして移植はできないのかと。
残念ながら両親の場合でも適合するとは限らず、僕の場合は不運にも二人共適合しかなった。
だが、恨みも世の中の不条理も決まった日に決まった時間に決まった方法で人工透析を受けなければ死ぬという状態を変えることは出来無い。そう思って、せめて普通に勉強ぐらいはしておこうと思い、なんとかやってきた。
透析の日の授業のことは先生もわかっているらしく、授業でやったところを記録してFAXで流してくるということはしてくれた。そのおかげもあって、成績は中の中、平均程度を維持していた。
平凡な顔で平凡な成績で平凡な生活、唯一、透析という行為さえなければ彼女いない非リア充の典型的パターンだねとか、モブの立場乙とか言われるだろうか。
だが、待ちに待った臓器移植が行われることとなった。どこの誰かは知らない。でもその身を提供してくれて、僕を助けてくれる。
人工透析の苦痛、受けれない時を想像したら恐ろしい恐怖が襲ってくる。それがなくなる。
誰かの死を糧に生きていくチャンスを得る・・・・。ある意味、ひどいことかもしれない。でも僕にはそれしか助からないのなら、そのチャンスを受け入れたい。
そして、臓器は僕のいる病院へとやってきた。そして僕は病室から手術室へと運ばれていった。
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そして僕には新しい腎臓が移植された。もう苦しみからは解放された。
だけど、僕は異変が生まれていた。
今まで興味なかった銃に関して興味を持っている。映画とかドラマで使われる銃が気になるようになった。
そしてそれを実際に手にして撃ってみたい。そんな妙な感じがしている。
そこで調べてみたのは警察官と自衛官の就職方法だった。
特にいわゆる少年自衛官制度というものがあるのは驚いた。
公式的には現在は少年自衛官という身分ではなく、自衛隊の定数外の人員として防衛省職員という風になっている高校生ということだ。
これはいい、そう思い、進路指導の先生に問い合わせ、親にも頼み込んで受けることができるようにしてもらった。後は入学試験に使う知識だけだ。残りは約2年ほど、あまり時間はないけど。頑張ってみたいと思う。
僕に腎臓をくれたどこかの誰かの家族を守るために、そんな風に言うと格好良すぎるかもしれないけど、それがシックリくると思う。
だから、見ていて欲しい。僕の頑張りを。腎臓をくれた人。
・・・というわけでガンジス杯用のコンテンツは以上となります。
皆さんは心、魂ってどこにあるか?考えたことありますか?
士郎正宗さんの漫画、有名な攻殻機動隊シリーズでは義体と言ってサイボーグ技術が当たり前になっていて、人の脳すら電脳という一種の生体コンピュータとして存在する世界です。
その中でのキーワード、ゴースト。どんなに高性能なサイボーグでも電脳がなければゴースト、魂を持っていない。だけど、とことん義体化、電脳化した結果、脳神経とネットワーク回線すら直接リンクできる。
それで魂の存在とは一体何か?ということになります。ゴーストが囁く。マニアなら結構知っているセリフですね。
さて、今回はそれにあやかり、臓器移植というテーマを持ってきました。この臓器移植、複数の成功症例の中に術後、好き嫌いが変化したり、性格が変わったり、興味なかったことに興味を持ち、しかも上手にこなせるという話も聞こえてきます。
医学では記憶は脳の海馬に集められるといいます。つまり心、魂は医学的な情報では脳にあるのではないかという仮説があります。しかし、それでは臓器移植での変化が説明つかない。臓器に残っているDNAがそうさせるのかもしれません。
まあ、小難しい話はここまでにしましょう。感想を聞かせていただけると幸いです。