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十三章 解答 そんなもの自分で考えろ

 十三章 解答 そんなもの自分で考えろ


 何度もだ、何度も彼が言っていた事を思い出そう。

 ヒーローに人は救えない、そんな物は常識であると。

 そして同時に、あんな物を救う価値など存在しないと、偉大なる存在は言い切った。

 ある存在は、ヒーローを食い潰す化け物だといった。


 解答は様々だった、だが結局の結論は、人間など最初から救う必要のない存在という結論だけだ。

 そんな事は歴史だけ見つめても十二分に理解する当然の話だ。

 そこでだ、ひとつ歴史の時間としよう。詳しいことは機密となった事件についてだ。

 この世界がどうやって、ここまで終わってしまったか。

 その、そもそもの原因を語るとしよう、それは今から二十年前、八月二十一日に起きた事件だ。


 世界で初めて公的に残される事になる最初の災害。

 柴犬事件についてのお話だ。

 しかしそれは、正式な名前ではない。公的に残されているその事件は、茨城臨界事故と言う。

 魔力炉の加工のために使われた圧縮魔力が臨海を超え、多数の重度魔力障害者、及び最初の災害のは具現化した。

 これが初めての災害の始まりだ、その後の事件なんて誰でもわかることだろう。

 まるで連鎖する地獄のように、それに反応するように世界各地で災害は現れた。近代兵器ではどうにもならない災害は、瞬く間に北海道を破壊し尽くした。

 これは北方領土より溢れ出した災害が、北海道に襲い掛かったためだが、この頃には現存する武力は価値をなくしていた。


 そんな状態だ、どこに逃げても変わらないが、海外に逃げようと考えた者たちもいた、しかいその頃にはすべてが終わり始めていた。

 その時点では何の問題もないが、十六万八千種複合災害 壁海、六十五万二千八十九種複合災害 天蓋、といった大質量災害が発生により、この事件より八十三日間、日本は一時的に閉鎖される。

 あらゆる方向の兵器の方向性を考えながら、人体改造に踏み切った事からも、当時の状況がどれほど壊滅的だったかわかるだろう。


 何よりその装甲の原材料からして正気ではない。

 重度魔力障害者の体を使う、古術演算と呼ばれるものを使用したものだ。人の体をひとつの世界と捉え、その中で崩壊していく体の中で生き延びる部分を扱う。

 そして決まって重度魔力障害者の体が残る場所は決まっていた。体中のどの場所よりも、魔力に対しての対性の高い心臓、それを使用して最初の装甲は作られた。


 だが重度魔力障害者の体など、そう容易く手に入るものでもなく、遺族が嫌がるに決まっていた。

 しかしそのようなことを言っている意味など存在しない。

 この当時追い詰められていた人間たちが、たかがそんな瑣末事を気にするわけもない。ただ死にたくないという言葉を、人類救済などと並び立てて、都合よく人体実験の道具としただけだ。


 度重なる延命を行い、細胞自体の相克を続け、ただ一人の人間にその妄執をつぎ込む。

 だが、これを否と言わせなかったのは、その存在が、災害発生の引き金を引いた男であったというのも事実だ。この当時の日本に、人権などという物は合って無いようなものだった。

 生き残る為に手段を選んでなどいられない、この時通った法案などはその一例だろう。


 柴犬事件より、十日後に発生する災害侵攻における法令等がわかりやすいだろう。

 青函トンネルを含む災害の移動を阻むための第一次日本遺民政策、竜に破壊されるまで続いた、北方封鎖処置は北海道からの災害の流出を防ぐと共に、そこにいた人間の全滅を意味していた。

 そしてそれを克服するための、さらなる人体実験の執行、それは最初のヒーローと言われる大内杉乃と装甲の着床実験が開始される。

 彼女はその実験を成功させるとともに、死亡してしまうが、これによりヒーローの計画は実行に移される事になる。


 そしてその死体と装甲を使った、本土解放戦は、もはや惨劇でしかなかった。 

 これによって天蓋は封印される事になるが、これ以降白金が合われるまでの間、約十五年間日本は海路を使用できなくなる。


 これが八十三日間に起きた事である。


 だがそれでも最悪からすれば、ある程度の余裕が出来た政府は、災害対策を執行する。

 始まりは青森における溢れ出した災害の排除による、装甲の性能調査だった。そして様々な災害を消し去りながら、人類は確実に処理に向かっていたはずだった。

 しかしそれより十二年後、最悪は訪れる。

 当時最高のチームと言われたカルテットが北海道より発生した、百八十二種複合災害を倒した時より全ては崩壊する。

 つまりは、竜の発生である。その時最古の竜 鱗 が生まれた。

 最も思慮深いとされ、警戒心の強い竜は、八人の眷属を作り、二人の竜を生み出す。北方における竜災害の始まりだ。


 そして残されたカルテットの最後までもが、東京防衛の際に竜化し、それを防ぐために世界最強が現れるが、それが最悪の事態を引き起こす。

 竜王大災と呼ばれる、第二次東京崩壊から始まり滋賀決戦までの戦い。ヒーローの八割が死亡、魔力災害においてさらに一割以上が再起不能、五体満足生き残ったヒーローは僅か三十人程度。


 延々と言い続けていた事だが、結局のところ魔力炉が原因なのである。

 そして大規模災害発生の理由もまた魔力炉であり、その活用法であり平和利用のタメの作り上げられた技術が原因だった。

 それを大陸型循環演算と言う。

 現在では停止されてしまったが、エネルギーの活用を地脈を使った古典演算により作り上げた。

 それによりどの土地でも安定的にエネルギーの供給ができるようになったが、それが引き金になったのだ。


 たった一つの臨海事件、だがそれは魔力炉を通じて、地球の血管とも言うべき地脈に限界値を超えて魔力を流してしまった。それにより地球上における魔力の増大が確認され、整備されていなかった血脈とつながる魔力炉が臨海を迎える。

 それが大災害の始まりだ。経済成長を迎える中、エネルギー資源の確保は急務だった。

 これはその怠慢が導いた、ごく当たり前の起きるべくして起きた災害なのだ。


 と言ってもこれは、日本政府が外にばらまくわけもない内容である。

 なぜなら現在の世界危機は、日本という国が起こした災害であるからだ。今回の反逆事件だってそれが関連している。

 もしもだ、災害が消えたとき、責任問題でこの国がどうなるかなど分かっているだろう。それを避けるために、既にヒーローに対する国家保護義務による、徴兵義務が存在する。


 この災害が終われば、ヒーローはただの兵器になってしまうのだ。

 それを考えれば今回の事件が、ヒーローという存在が人間に抱く不信感が、如実に現れた結果とも言えるだろう。


 ヒーローを救う、間違ってない何一ついない事実だ。

 今までも守っていた、だから次も守れ、ヒーローなんだから当然だ。そう思っていない人間はいない、そしてそれが出来ないヒーローに価値などない。

 ならばこれからもそうだろう、自分たちを守れと、人は人の都合で権利を主張する。そして他人の権利は、自分の権利よりも下であると、法律という都合を逆手にとって自慢気に語るだろう。


 権利を語る人間の考えなど、十中八九他人のことなど考えていない、自分の都合と自分の考えだけの、権利という建前を持った狭窄の塊だ。

 はっきり言うべきだろう、人間に賢人など存在しない、聖人すらも、善人なんてのも存在するはずがない。

 世界あるのは、そうなろうと努める人間と、なってると勘違いする人間だけだ。


 人を区分するならそれだけで十分だ。

 まともな人間がいる訳がない、自分と考えの違う人間が、まともであると断定することなど悪魔の証明だ。最も逆も然りであるのだが、人間を神聖化などしてはならない、人は悪辣だ、狡猾だ、下劣だ、そう自覚せずに、人に対して何かを抱いてはいけない。

 無償の愛など存在しない、そう自覚するべきなのだ、だから人が人を救うこと等出来ないという。


 自分さえ救えないのだ、この世界に救えるものなど存在しない。

 そう自覚して、後悔して、絶望して、それでも抗って、人は初めて救う意味を覚えるべきなのだ。

 これから兵器になる諸君、その覚悟は出来ているのかと、太陽は問いかけた、白銀は叱咤した、人が救う価値もない愚物だと理解してなお、お前たちは人を救えるのか。


 だがまだ彼女達はその言葉の意味を知らない。

 きっと、その言葉の意味を理解できていない。だが正解を語った所で、意味がないのだこればかりは、兵器となる存在が壊れる事があったとしても、何度でも語りかける必要がある。


 さあヒーロー、お前は人を救える価値があるか

 さあヒーロー、お前は人に救う価値があるのか


 呪いのように刻み付ける。それでも言葉が届くとなんて誰も思っていない。

 心臓に突き刺さる人外の象徴は、逃げようとも何一つ変わらないのだ。だからそれを自覚して踏み越えるべき意味を彼らは持たなくてはならない。

 でなければ、その病はいつか彼らを殺す。ただ心を壊しながら、勝手に路傍の残骸となり果てる。


 そこに一つの証明があった。

 人の形をしない化物が人を殺していた。

 頭を吹き飛ばし心臓を消し去りながら、殺戮の限りを尽くしていた。怯える声は人の嘆きだ、助けてくれと言いながら、化物に対して贖罪の限りを尽くす言葉を吐きちらかす。

 装甲を纏ったヒーロー達は、ただ生き足掻こうと必死だった。


 しかし化物は、声すら聞こえていないかのように、たやすく彼らを殺していく。

 悲鳴に混乱、さらに破裂するように溢れかえった演算の残滓が、人に災害の発生を誤認させてしまう。

 捉えられていたヒーロー達も、こうなってしまっては動くしかない。

 さらには、太陽の所為で動けなくなった人間も大量にいる。偶然が重なった結果、その反逆自体は失敗を迎えていたといっていいだろう。


 その機会に逆らわずに、二人の生徒は逃げ出していた。

 

「あの演算数、どう考えても災害だよね」

「補正までかかるほどの演算ですから、可能性は高いかと思います。ただ先生なら有り得ない訳でもないですよ。あの人の演算は人間技じゃないですから」

「そうなんだ先生、そんなにすごい演算使いなの」


 疑問を投げかける。普段太陽が演算を使わない、普段の生活でも演算を使っていれば体を本当に壊す。出来るだけ自身の延命の為にも、実践だけは避けていたのだが、その所為で生徒から軽く見られているところはあるだろう。


「あのですね、片腕でヒーローになれた人ですよ。他がロクでもないからに決まっているじゃないですか。あの人は演算に関してなら、私たちなんて比べてはいけない領域にいる、大魔法使いですよ」

「世界最弱のヒーローと言われてるのに、意外と凄かったんだ」

「あの、あなたは本当に知らないんですか。言っておきますけど、センセイは私たちより元々強いですよ、ヒーローとしてのアサルトレコードなら前世代のヒーローに叶う、現世代のヒーローなんていません」


 何を言ってるのだろうと、呆れた目で日野坂は水野をじっと見る。

 前世代のヒーローは間違いなく、白銀すら上回る使い手たちばかりだ。彼らは天才的な演算能力と、それに伴った無制限の魔力を使う存在だ。

 勝てるような相手ではない、現状で複合災害に勝てる人類が二人であることからもわかるだろう。


 意外と知られていないが、だからこそ太陽を日野坂は尊敬したいたのだ。


「そう言えば複合災害も倒していたもんね。尊敬する部分があまりにも薄かったから」

「有名でしたけど、なんというかたしかにそうですね。ただ装甲が不完全なだけで、弱かったわけではなかったようですが、その時の無茶が体を壊しているらしいですし」

「だから演算を使わないんだ。大魔法使いになれるほどの演算巧者が、物凄く勿体無い気がするよ」

「その先生の演算授業を寝て過ごしていた人が、行ってはいけないセリフです。むしろあなたが、やってた事がどれだけもったいない事か」


 それは言わないでよと、困った顔をしているが、日野坂自体はあまり気にしていないようだ。

 彼女にとって気になることは目下、その先生が提示してきた課題だ。

 悩んでも、どれだけ苦悩しても、正解を導き出せない。


 だからどこか逃げているというのに、上の空であったの間違いないだろう。

 

「けど、ちょっと話を戻すけど、災害にしては破壊の規模がおかしくない。と言うより、複合災害クラスの演算だよ。少なくとも飽和現象が起きているらしいのに、なのにちょっと静か過ぎる気がするのですが」

「うん、それは私も思う。飽和現象なんて普通じゃない、それこそ前世代のヒーローだとおもうけど」

「それでもできないよ、多分それを起こせるのは一人だけだろうけど、先生も演算機能に関してかなりのダメージを追っているはずだから難しいし、新種それとも明確な意思があるということは竜、ありえませんか流石に」


 疑問に思うことはいくらかあるだろう。

 飽和現象など、本来であるなら演算を介してすら起きるものではない、五千を超える演算が一定範囲内の空間で起動した時のみ起きる現象だ。

 理由は知られていないが、世界がひび割れたようにきしみ上げる音がし、世界が終わるように極色彩に色が敷き詰められる。


 それが落ち着くまで、演算の構成力が弱ければ散らされ、使用すらできない空間ができるが、そこまでの常識外の演算を使えるものなら特に意味のない行為だ。だがそれ程の使い手が人間は一人しか存在しない。

 だからこそ彼女たちは不安であっただろう。いったい今何が起きているのかすらわからないのだ。


 上の空であった感情も、災害という直面する恐怖の前に、少しだけ薄れて消え失せていく。最低でも複合災害、つまりはこの和歌山の全滅に等しい宣告だ。

 魔力炉も存在せず、唯一災害の侵食が置きにくい場所であったが、あくまでそれは現状での話であり、現実は目の前にある言葉全てだ。


「テロに、災害か、流石に私たち何か悪いことしたって感じになるよ」

「何もしていないから悪いのかもしれません。まだ私たち目を逸らしていることがあるのかもしれませんよ」

「もうやだ、なんでこんなに重いんだろうね。ただ災害を倒すだけじゃなんでいけないの」


 彼女の言い分も最もだろう。

 ただ人を救いたいだけじゃなダメなのか、災害を倒したいだけじゃダメなのか。だが一度は死線をくぐったヒーロー達は常に告げる。

 目をそらすなと、どうあってもお前を殺す呪いになると言うのだ。水野にはわからない、そんなに悩むことじゃないと思うのだ。


 救いたいから救って何が悪い、どこかで浮かぶヒーローたちへの反抗心。誰だって持つ事だろう、だが少しばかり同年代よりも自我の強い彼女は、そのことが不愉快に感じてしまう。


「それだけじゃいけないからですよ。私たちはいつか、それだけじゃいけなくなるから、先生たちは言うんです。目をそらすなって、でなければあの適当な先生が口うるさく言うはずがないじゃないですか」

「それが、私にはわからないよ。救いたいから救えばいいし、倒したいから倒せばいい、それだけじゃない」


 極論はそうなのかもしれない。だが日野坂は首を横に振る。


「それは逃げですよ。水野さんの言い分なら、殺したいなら人間でもいいなんて言ってるのと同じぐらいの極論です」

「納得いかない物は納得がいかないの、ちゃんとそのぐらい証明してくれないと、私が目をそらした先に何があるか、それが出来ないのに口喧しく言われたってわかるはずないじゃない」

「そうですか、あなたがそう言うならそれでいいと思いますよ。私は悩みます、悩んで、悩み抜いて、それで結論を出すだけです」


 ご苦労様と彼女は笑った。

 どこまでも強情なクラスメイトだが、こう言う芯の強さは、水野にとっても好感を抱くものであったのだろう。

 じっと彼女を見る瞳に、押されながらも、頑張れと声をかけてしまう。


 しかしそれが二人を分けるものになる。

 目を逸らすなといったのだ、あの竜殺しが、あの白銀が、その現実はいつ訪れても可笑しくないから。

 逃げ出していた二人の前に、ようやくそれは現れる。


 人の形を保つだけの異形、血を流し皮膚を腐らせるようにしながら歩く化物は、惨劇の中で人を殺していた。

 むせかるような異臭の中、声をもごえる様な悲鳴が二人の喉から現れる。だがそれは振動を介して外に響くことはない。

 必死になって声を押し殺そうとしているのだろう、あまりにも恐ろしい精度の演算を使う化物に、彼女たちは最低限の理性を持って、自分を律したのだ。


 しかし差違が現れる、ただ心の赴くままに動き出した少女がいた。彼女は水野と言う、紫の装甲を纏い演算を組み上げる。

 それを止めるように日野坂は、クラスメイトに声をかけるが全てが遅い。災害だと判断したとたん、全ての行為を殺害に費やした。演算の精度はともかく、その魔力の弱さが災害の強さを弱いものだと判断したのだろう。


「大丈夫ですか」


 災害を倒すべく彼女はさらに攻撃を続ける。それを止めようと何度も、日野坂は声を上げていた。

 「やめて」と、だが響いた声が届くことはない


 だがそれを止める言葉が現れた、どこかで響く笑い声が、自分の攻撃したものだと気づくのに、彼女は少しの時間を要する。

 突きつけられる、さあヒーローよ答えてみせろと、人の形をした何かが問いかける。

 それは逃げてはいけないのだ、目をそらしてはいけないのだ、耳を塞いではいけないのだ。なぜならいつか突きつけられるから、ようヒーローずっと聞きたかったんだよ。


 お前はお前を救う価値が本当にあるのか


 そして声は響いた、聞いたことのある声だ。いつも聞かされてどこかで鬱陶しいと思っていた。早く終わって、実技に行きたいと、本当にこの人はヒーローなのかと、どこかで見下していた人の声だ。

 だが彼女を終わらせるには足る人だ。自分が目をそらした事を、突きつける化物だがいた。助けようと思った、だから化物を攻撃した、しかしどうだ本当はどうだ。


 自分の攻撃した人物が誰か、彼女は理解してしまった。

 それで攻撃はできなくなる。

 ただその男の問いかけに、自分の返す言葉もわからないから。


「なぁ、水野。お前はいったい誰を救うんだ」


 目を逸らした所で、何も変わらない。ただ無理矢理にでも見せ付けられる。

 人とも言えない形を持った男は、それだけ告げて何も言わなくなる。死んでしまったのかと思ったが、そういうわけでもない。

 だが彼は捕らえられて、最前線へと運ばれていく、竜殺しという名を置いて。


 誰もが驚く中、自分のしたことに水野と言う少女は涙を流すだけだ。あれが人類救済の成れの果て、そんな事を教えられながら、最後の問いかけに彼女は呟くように声を出す。

 ご満悦のヒロイズムの結果を知って、自分の先の行動の意味を知って、押し殺すように空気が振動した。


「わかんないよそんな事」

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