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十二章 解答 導くと言う意味では、似ているかもしれません

 十二章 解答 導くと言う意味では、似ているかもしれません


 竜殺しの名前を聞いたとき、一様に彼らは同じ態度を見せた。

 第一世代ヒーローの一人白鋼もその一人である。だがそれはそもそも、竜殺しが誕生した時の話だ。

 あの当時のヒーローで生き残ったものはわずか、そして滋賀決戦と呼ばれた戦いに赴いたヒーロー達は尽く死んでいる。


 運がよかったのか悪かったのか、そうやって生き延びたものたちは、あの戦いで竜殺しを達成した何かを知っている。

 世界最弱のヒーロー、誰もが他称し、己が自称した、その言葉には偽りはなかったはずだ。だが結果を見れば、彼は世界最強のヒーローと言っても過言ではないのだ。

 だがそんなことが在るはずがない、演算を行うたびに血を吐いていたような男が、そんなことなどと誰もが思ってしまう。


 魔力器官が装甲によって刺激されることによってあふれ出す魔力に体がついていかない。

 大魔法使いであろうと、災害との戦いではそれは致命的な欠陥だ。そんな体だからこそ、実は彼の戦い方は演算による一撃のみなのである。

 最弱と呼ばれながらも、彼の戦いは意外と知られていない。あまりにあっさりと決着をつけるため、あまり印象居残らないのだ。


 だからこそ世界最強が竜になった時、彼女を救えなかったことを誰にも咎められなかった。

 それどころか彼をかばったぐらいだ。それは彼女の信者であった白鋼さえもフォローに回るほどだったのだから、あの当時の彼の荒れようはすさまじかったのだろう。そして同時にそれほどまでに彼は期待されていなかった。


 だが今は違う、あの最強を殺した竜殺し、だからこそ世界最強をなぜ守れなかったと、糾弾する心が芽生える。

 しかし今回の反乱は当然そんなものが、引き金ではない。それは第一世代数人に燻る心の闇に過ぎない。現代の最強白銀の言葉が原因だ、人類は近いうちに竜に敗北すると言う。


 ただその言葉に過ぎない。

 そんな言葉を言った彼女は、最前線に現れた。複合災害との戦いに追われており、反乱などと言うものに加担するどころか、その処理さえ出来ないてない始末だ。

 彼女からしてみれば、思い通りに駒が動いてやったんだぐらいの感覚だろうが、それをどう処理するかなんて考えていられない。


 それにそれを見越して反乱がおきたのだ。

 その最前線である滋賀や岐阜から離れた和歌山、本来であるなら静かな土地であるはずのここは、ある意味では反乱の最前線であった。

 もともとメディア受けしていた、イップスワンだ。旗頭としての価値もあるだろう、そして竜殺し、まさに使い勝手のいい大英雄だ。


「彼女を守れず殺したのだ。このぐらいの報いを受けて当然だろう」


 そう白鋼は薄く笑って呟く。

 世俗から離れて、経歴を消して、静かに生きていた英雄を引きずりだす。どれだけいやがても彼は、この世界においての救世主だ。

 存分に人類の役になってもらわなくては困ると、暗い情念を纏わせながら、彼と言う存在を使い尽くすことを復讐と考えていただけだ。


 政治において、これほど使い勝手のいい駒はないだろう。

 死んだら死んだで、偉大な竜殺しの志を継ぐとでも、嘯いておけば、それだけで大部分の人間は賛同してくれることだろう。


「おい、幹。何をやってるんだお前は、今の戦いにあいつを引っ張り出だすなんて」


 交渉のためにと赴いていた、災害対策本部長の明月は、かつての知り合いの言葉に驚愕の視線を向けていた。


「明月、これもすべてお前や上層部の所為だろうが、竜殺しを隠して一体何人のヒーローを無駄にするつもりだ」

「そんなつもりはない、だがあいつはもう限界なんだ。時間稼ぎ以外に使い道がない、あいつがくたっばって、美咲が黙ってみていると思うのか、あいつがいるから今は均衡を保っているだけだぞ」


 明月は必死に説得していた。

 反乱を起こした首謀者である、世界次席である男、世界最強の下にいた男に、だが彼の言葉は彼の耳には、入っていないようで、興味もなさそうに視界を何度かどこかに動かしていた。


「懐かしいな、カルテットの参謀か、そういえばお前の恋人だったか。そうだなあいつが甘いはずがない、だから最初にあいつと竜殺しを戦わせる」

「やめろ、カルテットが甘いはずがないだろう。あれらは大魔法使いだったんだ」

「それを言うならお前も私も、竜殺しだってそうだろう。第一世代で大魔法使いでないほうが珍しかった」


 もっとも世界最強は、大魔法使いではなかったのだが、そう考えると皮肉だと笑ってみるが、彼女の信者である男は、大魔法使いと言う称号に価値を持ちえていなかった。

 だがそういうことを言っているのではない。大魔法使いとは、そう呼ばれるだけの技術を持つものだ。


 竜殺しであれば仮想脳演算、明月であれば物質演算など、必殺技とも言うべき、使えるものが存在しないとされる演算を保有している。

 それは使い方によっては、簡単に災害さえ倒せる代物もあるだろう。大魔法使いの竜とは、そういった代物を容赦なく乱射できる反則なのだ。


「大体個人所有の演算が厄介なことぐらい、お前よりも前線にいた私が知らないはずが無いだろう」

「だが、おまえはそれでも、ろくなことはしないんだろう。こっちで思いつくのは、リミッターの解除と、竜殺しを使った何かだ」

「決まっているだろう、もう一つだ。竜王息吹の死体、その在り処、この世界で死んでしまってもなお竜を人に戻す可能性のある対竜演算の成功例だ」


 それを聞いた時、明月は底冷えするような、感覚に襲われた。

 息吹の死体、それはある意味では、竜殺しに喧嘩を売る内容だ。だが同時にそれが出来れば、災害対策すら容易いことだろうと、誰もが思ってしまう。

 つまりは、彼にとっては大切なものが戻ってくるかもしれない可能性。


「何でおまえがそれを知っている」

「無茶を言うな、なんで竜の死体が解剖されない、実験に使われない、そんな事が今の人類がしないわけが無い。墓穴から引きずり出してもおかしくない内容だ。

 なにより人類がまともではないことぐらい承知だろう」


 だと言うのに遺族に返してそれで終わり。

 そんな馬鹿みたいな違和感に、気づかない方が狂っていると、幹と呼ばれた男は断言する。人類はすでにそこまで切羽詰っていると言うのに、その程度の狂気すら示さない訳が無いと。

 何度も重ねてきたはずの狂気を、なぜここであれらは誇示しないのだと。


「はっきり言おう。人類は滅亡する、竜によってではなく、災害によってでもなく、ただの人類の怠慢でだ。ましてやあの世界最強が自分の解剖を願い出ないわけが無い、その願いすらあの竜殺しは、捻じ伏せているのだぞ」

「確かにあの戦いで、息吹の死体を手に入れることは出来なかった。だがあの時あいつはすでに死んでいるのと代わりが無かったんだぞ、どうやって死体を隠す」


 だがそんなもの、いくらでもやりようはあるのだ。

 竜との戦いにおいて、その死体ほど有用な資料は無いだろう。どういう成り立ちで存在したか、竜に変貌した人はどうなるのか、そして弱点や対抗手段だって生まれる。


「世界最強ならば絶対にそれを承諾したはずだと言うのに」


 それは明月すら答えられない内容だ。

 確かに彼の知る山瀬春風ならば、己の死体ぐらいご自由にお使いくださいと笑っていうだろう。

 そしてある意味彼女の狂信者である竜殺しが、そんなことに気づかないわけもない。


 ならば彼女の死体には、それを上回る何かがあると考えるべきである。

 それはきっと隠したい何か、人の為に何かをしたいと笑っていっていた春風、その彼女の願いを根こそぎ破壊してまで、いや彼女さえも納得する理由をもって、彼は何かを隠しているのだろう。


「だがあの竜殺しはそれを隠した。彼女を竜として葬った」


 それを答えろといっても、今まで誰にも語った事の無いないよう。

 つまり誰にも語ることの無かった、語るつもりも無かった代物なのだろう。機密である竜の正体を語る事が出来なかったが為に、適当に見繕われた死体を家族に渡して、立派な最後でしたと後付けして家族は黙らせたが。


「私は認めない、白金がそんな風に終わるなど私は許さない。彼女こそが英雄なのだ、英雄を殺して英雄になったものなど、ただの人殺しに過ぎない」


 彼は自分の矛盾した、物言いにすら理解できないてないだろう。

 太陽は彼女のことしか考えていなかったと、言ってもいい欠陥ヒーローだ、そんな男の心のうちを彼ら見ない。

 そしてきっと彼もそんな彼らの姿を見ないだろう。


 これもまたヒーローの末路なのだろう。


「馬鹿か、それじゃあただの白金教だろうが、せめて人類の為とぐらい言ってのけろヒーローなら」

「あんな救う価値もない存在に、何の意味がある。生きる価値もない、自業自得に滅ぼされて死んでしまえばいい。だが、白金が助けようとしたのだ、だから助けてやるだけに過ぎない」


 様々な結論に達したヒーローの一人、これもまた結論の一つだろう。

 明月は、息吹の語った言葉の意味を理解してしまう。ヒーローはこうやって壊れていくのだと、そしてまだ彼の言葉続いていた。


「だから私が守るのだ、だからこそ救うと決めたのだ、人類の消耗品となるヒーローを、私はヒーローだけを救うヒーローになると」


 本来守るべきはずのヒーローを、彼は守ると言い切る。

 リミッターを開放できずに死んだ部下がいたのだろう。力が足りず出力が足りず、後一歩で、命を失った者達もきっといたのだ。

 竜にならない為に、彼らは殺されていったのだ。


「だからこそ私は反乱を起こした、息吹の死体を隠した竜殺しに、息吹を殺した竜殺しに、リミッターをかけてヒーローを殺した本営に、反逆をしてやると心に誓ったのだ」


 ヒーローの裏切り者であるおまえらを、私は絶対に許さないと。

 険しくゆがんだ顔には、ひどく寂しげな空気があって、それを隠すように烈火の感情があふれていた。

 反論したくても、明月は反論さえ出来ない、ここにいる男も人類に救う価値なんて無いと思っているその一人だ。


 そしてこう雄雄しく、ヒーローを守ると叫ぶ男に心動かされそうになっていた。

 目の前にいる男は、英雄のようですらあった、人を引き連れると言う意味では完璧に近い素質を持っているのだろう。

 だが彼は英雄たりえないのだ、明月は一つの言葉を思いだす。


「ご満悦のところ悪いが、人は救う価値もないか、まったく持ってその通りだ。だがあんたにとっては困った事にな、それに対して一人だけ楽しい回答をしてくれた奴がいるのを知っているんだよ」


 英雄、そうなってしまった存在が言った言葉。

 もし聴いてなければ彼はそのまま、この男に従ったかもしれない。だがその言葉は明確で分かりいやすい。

 その言葉を心臓に打ち込むように胸に手を当てると、開き直るように叫んでいた。


「どういうことだ」

「おまえの大嫌いな竜殺しの言葉だよ。人は救う価値がないなんてのは当たり前のことだそうだ」


 ココに来てポーカーフェイスを、気取ったところで無駄だと言うのに、必死に感情を制御しようとしている男を見て少し噴出しそうになるが、もしかすると彼はこうやってヒーローを見続けていたのかもしれない。

 そして無駄な努力ご苦労様と、笑っていたのだろうか。


「救うとか、助ける、そういう言葉ばかりを見るから、重圧に潰されるんだろうな。言葉を変えてみろよ、助けたいとかさ、救いたいとかに、救わせてくださいなんてどうだ」


 開き直るんじゃない、納得するのだ、自分はそれでいいと。

 その理由は何でもいい、結論を立てる、そうでもなく、ただそれで言いと納得すれば、そのストーカーは逆に逃げ出してしまう。


「俺はそれでいいと納得した。だから人類いや、その辺の奴らを救わせてもらうんだ」


 今なら出血大サービスで一万円をお受け取りになってから救わせてください。

 こんなキャッチフレーズのヒーローどうだ、親切の押し売り、善意の押し掛け、救世の轢殺、金を渡して救わせてくれなんて斬新なヒーローだろう。


 いっそ俺のキャッチフレーズにしよう、なんて考えたんだがどうだろう。


「なぁ、どう思うヒーローのヒーロー」

「馬鹿か、馬鹿なのか、そんな理由で良い訳がないだろう」

「納得するだけだろうこんなもの、自分がどうしたいかだと思わないか。大義名分を作るから、俺達は失敗するんだ、細かな目標をこつこつと、そして最終的に目的に達すれば大成功でいいじゃないか」


 黙れと喉を振るわせる、遅かったのだ、確かにこれが始まる前のことなら止められたかもしれない。なにより彼の結論もまた正解なのだ、考え方の違いによる争いなんて、世界ではどこにでもある当たり前のこと。

 人類よ滅びろと願ったものもいるだろう、ヒーローの中にはそうやって生きていたものもいるのだ。

 結論を出せずに後一歩が無かった所為で死んだ者達。


 リミッターと言う後一歩、竜の死体と言う研究材料、そして竜殺し、どれかが在れば消えない命もあったのだ。そうやって戦い続けた男は、それ以外の結論をもはや認めなかった。


「お前らの無能が奪った命の為を助けるのだ。ヒーローは兵器じゃない、災害に対する道具でもない、人間なんだぞ。それに分かっているのだ、災害が消えた時に始まるのはヒーローと言う兵器を使った戦争であることも」


 私が助けるのだと叫ぶ、どちらも間違っていない。ただ食い違っているだけの話。

 そして彼は叫ぶのだ、災害がなくなっても、人はきっとヒーローを都合よく使って使い捨てると。


 ヒーローなら守ってくれると、そういって失望したら捨てるのだろうと。

 今は都合のいい盾がいるからこそ救われているだけだ。だからこそヒーローの為に人類の上にヒーローを置こうと反乱を起こしたのだ。

 たしかにその男は、先を見ていた、最終的なヒーローの扱いはそうなるだろうと、誰もが考えていたことだ。


 まだこの世界には国という定義がある、そして力があるの戯けた事にこの国だけなのだ。

 だがヒーローは守ると言う定義から逃れられない存在だ。そういう使われ方をされたない、だがそう言う使われ方をいつか彼らはするのだ。


「その時どうにかしろよ」

「そうやって使う側が何をほざく。死人を動かしてヒーローの一人を食いつぶそうとしている奴の台詞か」

「そうやって食いつぶしていた貴様が言うな、ヒーロー殺し」


 どちらが正しくても、両方間違っている。

 人は人を救えない、救おうとする事が出来るだけとは言った物だ。どちらもどちらかを捨ててしまう事を忘れている。


 片方を救えば片方が立たない。シーソーゲームのよな代物だ。

 中立なんていう言葉はあってないような物なのだから仕方ない話だが、人を救いたいものと、ヒーローだけを救いたい者。


 どちらも同じ人間だが、そのことに彼らが気づくのはいつの事になるのだろう。


 それに気付かないからこそ知識者やいちどは人生を諦めた者達は思ってしまうのだろう。

 人は人を救えない、きっと一生迷い悩むことしか出来ないヒーロー最後の命題。それは永遠に残るだろう、では最後に夢破れて絶望の淵に居座り続ける、何もかもがおわったっヒーローはその問いになんと答えるのだろう。


 いつかヒーローを殺す最後の毒の問いに、人が人を救えば、絶対に最後に誰かがあぶれるのだ、その一人を救う手段、残る一つを掬い取る手段。

 犠牲を出さない人類救済法、そんな物はある訳が無いが、竜殺しの男はどう答えるのだろうか。


 だがここにそれに答えてくれるヒーローは存在しない。

 

 「失礼します」ノックとともにそんな声が、二人しか存在しない部屋に響く。

 だが同時の二人は、一つの終わりを確信した。このノックはある意味では、反乱側の勝利を意味しているのだ。

 だが明月はやっぱりという顔をしているし、やっとかと言う顔を幹もしている。


 しかしこの報告はある意味では、反乱側の勝利ともいえる報告だ。この世界における大英雄 竜殺し という名の政治の敵カードが、


「竜殺しの確保に成功しました白鋼、次の指示を」


 すでに反乱側の手に渡っているという証明なのだ。

 それを聞いて、明月は仕方ないとしか思っていない。あれの実力は知っているだろうが、タイムリミットがあるような存在だ。


「ま、これで完全に交渉は決裂か、出来るだけ話し合いで解決しよう。無駄な人死にはそっちもお断りだろう」

「当然だ、それにリミッターはもうこちらの権限に成っているから何の問題も無い」

「扱いには気をつけろ、無差別に開放すれば、たいていのヒーローなら死ぬからな」


 本来の装甲は、大魔法使いに準じた演算技能が無ければ使用できない代物だ。

 そんなことは分かっているとはき捨てるように、ヒーローを守るヒーローは呟いた。


「そしてだ、あいつを引きずり出したんだ。竜に対する覚悟を決めろ、鱗が動き出すぞ。竜を今まで抑止していた男を引きずり出したんだ。今までの停滞情勢を動かしてしまうんだからな」


 徹底的に時間を稼いで、竜に対する対策を打ち立てていた現状を破棄するのだ。

 この動き次第で、本当に人類の帰趨が決まる状況にまで追い立てられた。

 竜殺しはいるだけで、価値がある存在だったのだ。そんな事を知っていたが、言葉にされてその重みが、伸し掛かってしまう。

 薄氷をわたるようなその恐怖に、いつ限界が来るのかと、一歩一歩が戦々恐々としたものに変わって、それを踏破しようと望む英雄が生まれるのだろう。


「抗うさ、徹底的に、その為に竜殺しを捕まえたのだ」


 そんな一人の男の決意も知らずに、自滅した竜殺しは、和歌山という土地で気絶していた。

 まだ死んでいないだけマシだと、明月は思いながらも、後輩の心配を止めることが出来ない。彼が死ぬことは、あらゆる意味で人類の損失なのだ。


「せめてあと一年は生き延びてくれよ太陽、どう戦ったかしらないが自滅したんだ。もうお前限界着てるぞ」


 すでに寿命がつきかけている後輩に、あと少しだけ耐えろと願う。

 何もかもが終わる前に、自分も動かなくてはならない。そう思いながら時間稼ぎの大黒柱はもはや倒壊寸前だった。


 そんな柱だが、まだ必死に生きている、折れない様にと血反吐を吐いている。

 足掻いて足掻いて足掻きつくす、だがそれももう限界なのだろう。もはや時間稼ぎすら極僅かな時間、世界に竜殺しの名前が響き渡るその日。


 一生懸命に足掻く男の寿命はすでに尽きる寸前であった。

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