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羊の皮をかぶった…




「どうして貴女は、そう誰にでも無防備なんだ」


そう言って、彼は彼女の手首をつかんだ。

今日は友達と約束があると言っていたのに、どうしてここに彼が一人でいるのか、理解できなかった。

目を丸めるこちらに構うことなく、彼は私を引きずっていく。


「痛っ。痛いから放してよ!」


そもそも、彼女には彼の言っている意味がよく分からなかった。



ただ知り合いの男性に声をかけられたから、少し話していただけなのだ。

それのどこが彼の琴線に触れたのか分からない。第一、人の手を強くつかみ、そのまま引き摺るように歩いて行くのに腹が立った。こちらにだって事情や予定があるというのに、彼はこちらの意思を無視して進んでいく。


「痛いってば!腕に跡が残ったら、どうするのよ」


ギリギリと力を籠められる感覚に耐えかねて、噛みつくように声を荒げた。

ずっとこちらへ、背をむけたまま進む彼に対する恐れもさる事ながら。普段は隣り合って優しく微笑んでくれる彼が、目を向けてくれない事に寂しさを覚えていた。


漸く立ち止まってくれたことに安堵する間もなく、彼は視線を私の腕に落とし不敵に笑った。


「それもいいな。そうすれば貴女が誰のものか忘れないだろうし。

 他の奴も、もう手を出さなくなるだろう?」




―――いつもの優しい微笑みは、何処に行ったの。


今、彼女の前にいるのは普段の彼とは似ても似つかない、恐ろしい笑みを浮かべる男だった。いっそ、これまでの姿は偽りだったのかと問い詰めたい気持ちを覚える私だったが、彼は顔を近づけると殊更甘く囁いた。


「大丈夫。

 そんなに心配しなくても、俺は俺によってどんなにあなたの体に傷がついても、愛してるし、愛してあげるから」




”あぁ、私はなんて男に好かれたんだ”

彼女の背中を冷や汗が伝った。けれどそれと同時に、ようやく顔を向けてもらえたことに、喜びが湧き上がってきたのもまた事実で…。恐ろしいはずの言葉も、甘い音の響きに惑わされてしまう。


こんな男をまだ好きな私は、相当の大馬鹿者に違いない。

でも、それすら私が望んだ事。





もう、逃げられない。






なんだか、突込みどころ満載な作品ですが、ひとつだけ言えるとしたら、傷害沙汰はいけません。


あまり近くにいてほしくないカップルですね。

私自身こんな人間がいたら、絶対に近寄りません(笑)

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