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EP8 友達以上?友達未満?

 教室中の視線がわたしたちに注がれている。

 目の前の安房(あわ)さんはニッコリと口角を上げていた。

 未だ顎クイされたまま、すっかりと主導権を握られていた。

 安房さんは顔を少し近づけてくる。

 そして、口を開いた。


片原(かたはら)さん、どうする?」


 心の底からの笑顔を浴びる。

 眩しくて目を逸らそうとした。

 しかし結局、安房さんに顎を持たれていたわたしは、目を逸らすことは出来なかった。


「片原さん、ワタシ、焦らされるのは好きじゃないの。だから答えてくれないかな、ワタシの気持ちに」


 安房さんの栗色の目は引力でも持っているのだろうか。逸らせないし、少し怖さすら感じる。

 まるで全てを見透かしているようにも見える。

 わたしはツバを飲む。

 体を縛り、お腹の奥から込み上げてくるものがある。

 口が上手く動かない。


「あ、安房さん」

「ん、なに?」


 でも、断らないと。

 わたしは息を精一杯吸い込んで返答する。


「安房さん、あなたとは付き合えません」


 頭を下げながら、断った。

 周りの空気がざわざわし始めてるのをわたしは感じている。


「え、安房さんって女の子が好きだったの……?」

「安房さん、振られちゃってるよ」


 向けられてる矢印がわたし向きではないと言っても、このような状況は身に堪える。

 まるで、過去のわたしのようで。


 ――パンッ。


 喧騒の中、安房さんは手を大きく一回鳴らした。そして何事もなかったかのように、わたしの方を見る。


「ごめんね、急にこんなこと言って。戸惑わせちゃったね?」


 安房さんは少し目を細めた。

 しかし、栗色は潤まない。乾いていて、真っ直ぐだ。

 わたしが言葉を紡ごうとしたその刹那、安房さんは素早く続ける。


「じゃあ、お友達ならいいかな? ねえ、それはどうかな?」

「え、うん、お友達なら特に断る理由もないし、というより、なって欲しい」


 予想外の言葉に本音で返す。

 すると、安房さんはわたしの手を取って握った。


「じゃあ今日からワタシたち、お友達! よろしく、片原さん」

「うん、よろしく」


 その輝いていた瞳を、わたしは受け入れた。

 受け入れてしまった。

 


 ――夜、安房視点。

 

 ワタシの部屋はなぜこうもだだっ広いのだろう。

 目に入るやけに装飾の多い照明は、眩しいだけだ。

 もっと狭くていいのにな。

 そんな憤りをバッグと共に投げつける。

 制服のまま、ベッドに身を預ける。

 ワタシは今日、計画を一歩進めた。

 片原(かたはら)沙楽(さら)ちゃん。

 あのコの友達になった。

 そして、あのコの連絡先を手に入れた。

 ポッケの振動は彼女からの連絡だろう。

 ワタシはポッケからスマホを取り出す。


 片原『今日から、よろしくね』


 『うん、こっちこそ』。

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