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柔道着の代わりに、愛を着てみようか?06

[BL] 柔道着の代わりに、愛を着てみようか?06

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白い白衣の重さは、思ったよりも重かった。大学病院の研修医としての生活は、キム・ジンスが夢見てきた医師の道そのものだったが、現実は教科書の中の知識とは次元の違うプレッシャーと責任感として彼に迫ってきた。消毒薬の匂いと忙しい足音に満ちた病院の廊下を歩く毎朝、ジンスは深呼吸とともに自分を引き締めた。


「今日も誰かの命が僕の手に懸かっている。」


その重さは時として息苦しく感じられたが、同時に彼の心臓を奮い立たせる原動力でもあった。

研修医生活数か月目、彼は依然として未熟で、一瞬一瞬が学びと緊張の連続だった。次々と押し寄せる患者たち、それぞれ異なる事情と苦痛を前に、彼はしばしば自分の力不足を痛感した。一瞬の判断が患者の予後を左右する緊急事態、先輩医師たちの鋭い指摘、そしてまともに眠ることさえできない過酷な当直勤務。これらすべてが、まさに医師の道に入ったばかりのジンスには手に余る現実だった。


「キム先生、しっかりしなさい!」


廊下を通り過ぎる先輩の厳しい一言に、ジンスはハッと我に返った。一晩中続いた当直勤務の疲労が全身を圧迫していたが、休む暇はなかった。彼は再びカルテを持って患者たちの状態を確認するため足を動かした。彼の一日は、患者のバイタルサインをチェックし、検査結果を分析し、先輩医師たちと回診をすることから始まった。その過程で感じる不安感「僕はちゃんとやっているのだろうか、見落としはないだろうか」は影のように彼につきまとった。


そんなある日の午後、病院全体に緊迫したコールが鳴り響いた。急性心筋梗塞の患者が救急室に運び込まれているという知らせだった。よりにもよって、心臓内科の担当教授は外部の学会に参加中で、最も年次が高い先輩研修医も別の緊急手術に入っている状況。あっという間にすべての視線がジンスに集まった。


「キム先生、君がファースト(First assist)で入るんだ。今すぐ施術の準備をして!」


チーフ研修医の切羽詰まった声が、ジンスの耳元を叩いた。

頭の中が真っ白になるようだった。心臓が狂ったように高鳴り始め、手のひらにはびっしょりと汗がにじんだ。


「僕が?今?一人で?」


無数の疑問符と恐怖が彼を襲った。しかし、ためらっている時間はなかった。患者の命が風前の灯火だった。


「はい、分かりました!」


ジンスは震える声を無理に隠して答えた。手術室に向かう短い廊下を歩く間、彼は絶えず自分に言い聞かせた。


「できる。僕は医者だ。習った通りにやろう。」


手術室の冷たい空気が肌に触れた。目の前のモニターには、患者の不安定な心拍数が危うく上下していた。マスクの上から見えている彼の眼差しは、緊張でいっぱいだったが、同時に強い意志が宿っていた。


「落ち着け。ヒョヌも今頃汗を流しながら訓練しているだろう。僕も自分の場所で最善を尽くさなければ。」


ヒョヌの顔を思い浮かべると、不思議と少しずつ気持ちが落ち着いていくようだった。


手術用手袋をはめ、慣れているが今日はひときわ重く感じる手術道具を手に取った。彼の手先から始まった施術。一瞬一瞬が薄氷の上を歩くようだった。予期せぬ出血が発生したり、患者の血圧が急激に下がる危険な瞬間もあった。そのたびにジンスはそばにいる看護師、同僚の研修医とアイコンタクトを交わしながら、素早く状況を判断して対処した。数時間がまるで数年のように感じられた。ついに詰まっていた血管が開き、モニターの心拍数が安定を取り戻した瞬間、手術室の中の全員が安堵のため息をついた。


汗まみれの手術着を着たまま手術室のドアを出ると、足が震えた。全身の力が抜けていく気分だった。しかし、胸の中では熱い何かがこみ上げていた。やり遂げたという安堵感、そして医者として一歩前進したというかすかだが確かな達成感だった。


その日の夜、退勤途中にジンスはヒョヌに電話をかけた。普段より少し浮かれている、しかし依然として疲労の色がにじむ声だった。


「ヒョヌ…僕、今日…僕の手で人を助けたんだ。」


「初めて僕が主導して緊急施術をしたんだけど…本当にすごく緊張したし怖かったけど…結局やり遂げたんだ。」


受話器の向こうからヒョヌの驚きと感嘆が混ざった声が聞こえてきた。


「え?本当?うわ…ジンス!お前、本当にすごい!めちゃくちゃ緊張しただろうに、よくやり遂げたなんて、俺まで嬉しいよ!いやー、さすが俺の恋人は違うな!」


心から喜んでくれるヒョヌの声に、ジンスはぐっときて涙がこぼれそうになった。どんな褒め言葉よりも、ヒョヌの励ましが一番大きな力になった。


「ありがとう、ヒョヌ…お前のことを考えながら頑張ったんだ。」


「俺が何を。お前がお前の力でやり遂げたんだ。すごく誇らしいよ、キム・ジンス。その努力と勇気がついに実を結んだんだ。」


お互いの一日を分かち合い、お互いの成長を心から祝いながら、彼らはそれぞれの道で、お互いに最も心強い応援団になっていた。


時間はジンスをさらに鍛え上げた。一日一日積み重なる経験の中で、彼はもはや未熟な新人研修医ではなかった。依然としてつらい瞬間は多かったが、今では危機的状況でも以前より落ち着いて対処できるようになり、患者と接する態度にも深みが加わった。彼は単に病気だけを治療する医者ではなく、患者の不安な心まで癒す医者になりたかった。


週末になれば、ヒョヌとの出会いはジンスにとって砂漠のオアシス 같いだった。病院近くのカフェで向かい合って座り、ジンスはその週にあったつらかったこと、やりがいを感じた瞬間をヒョヌに打ち明けた。ヒョヌは真剣に彼の話に耳を傾け、時にはユーモアで彼の疲れた心を和らげ、時には黙って彼の手を握って慰めをかけた。


「最近は患者さんたちの表情一つ一つがもっと目に留まるようになった。痛いだけでもつらいのに、不安で寂しそうにしている姿を見ると、心がすごく痛む。もっとうまくやらないといけないのに…」


ジンスがコーヒーカップをいじりながら言った。


「お前はもう十分にうまくやっているよ、ジンス。」


ヒョヌがジンスの手の甲を優しくなでながら言った。


「お前の真心はきっと患者さんたちにも伝わるよ。お前の温かい心が最高の治療薬の一つかもしれない。」


「自分を責めすぎないで。」


ヒョヌの言葉はいつもジンスに新しい視点と勇気を与えた。お互いの夢と現実の苦労を分かち合う時間の中で、彼らの関係はさらに深く強固になっていった。


ある深夜、再び緊急コールが鳴った。今回は腹部大動脈破裂が疑われる患者だった。手術の準備を急ぎながら、ジンスはもう一度深呼吸をした。以前の経験が彼に自信を与えていたが、油断は禁物だった。手術室に入ると、慣れた緊張感が漂っていた。今回は彼が直接メスを握り、手術を執刀する可能性が高かった。


「始めます。」


ジンスの声は以前よりもずっと安定していた。彼の手は依然としてわずかに震えていたが、その震えは恐怖ではなく、命を扱う者の神聖な緊張感だった。手術は予想よりもずっと複雑に進んだ。予期せぬ変数が次々と発生したが、ジンスは慌てずに同僚たちと協力し、落ち着いて解決していった。彼の眼差しはただ患者と手術部位に固定され、数時間にわたって驚くべき集中力を発揮した。


手術が成功裏に終わり、患者が安定した状態で回復室に移されるのを確認した後に、ようやくジンスはマスクを外した。額には汗の粒がびっしょりとついていたが、彼の顔には深い安堵感とともに、医師としての確信に満ちた表情が浮かんでいた。同僚たちの心からの賞賛と励ましの中で、彼は自分がこの道を選んだ理由を改めて悟った。


病院での長い一日が終わり、家路につく道、ジンスは夜空を見上げた。数えきれないほどの星が輝いていた。まるで自分が世話をする患者たちの命のように、そして自分とヒョヌの未来のように。彼はもはや夢を追いかけるだけの少年ではなかった。自分の手で命を救い、誰かの苦痛を和らげる現実の医者として成長していた。

ヒョヌに電話をかけて今日のできごとを話しながら、ジンスは自分の成長がヒョヌにとっても力になることを感じた。お互いの存在がお互いをさらに輝かせる関係。


それがまさに彼らが築き上げている大人の愛だった。ジンスの挑戦はこれからも続くし、その道は依然として険しいだろうが、もう彼は一人ではなかった。彼のそばにはいつも彼を信じ、支えてくれるヒョヌが、そして彼が守らなければならない数多くの命が共にいた。彼の白い白衣は、もはや重い荷物ではなく、崇高な責任感と誇りの象徴として輝いていた。

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読んでくれてありがとう。

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