柔道着の代わりに、愛を着てみようか? 10
柔道着の代わりに、愛を着てみようか? 10
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時は季節の移り変わりように自然に流れ、ヒョヌとジンスの結婚生活もいつの間にか三度目の秋を迎えていた。日々の暮らしの中で、お互いの存在は今や空気のように当たり前で不可欠なものとなり、共に積み重ねてきた時間だけ、彼らの愛と理解はさらに深く固いものになっていた。それぞれの分野で依然として熾烈に夢に向かって突き進みながらも、仕事から帰ってきて向かい合って座る夕食のテーブル、週末の午後のけだるい日差しの中で一緒に飲む一杯のコーヒー、そして眠る前にお互いの温もりを分かち合う瞬間は、彼らに何物にも代えがたい安らぎと幸せを与えていた。そんなある日、その穏やかで安定した幸せの上に、新しい風が吹き始めた。それはまさに「家族」の完成に向けた熱望だった。
その始まりはジンスからだった。研修医生活のつらさの中でも、患者たちの回復と、その家族の喜びを目の当たりにし、また、街で明るく笑いながら両親の手を握って走っていく子供たちの姿を見て、ジンスの心の片隅には静かに一つの絵が描かれ始めていた。ヒョヌと自分、そして彼らの間でたっぷりの愛を受けて育っていく子供の姿。その絵は、考えれば考えるほど温かく、胸が熱くなるものだった。しかし同時に、現実的な悩みと少しの恐れも一緒に伴った。彼らの状況で子供を持つこと、特に養子縁組という選択肢について、ヒョヌはどう思うだろうか。ジンスは何日も何日も悩み続けた。
そんなある週末の夕方、ヒョヌが練習を終えて帰宅し、シャワーを浴びている間、ジンスはリビングのソファに座って窓の外を眺めながら、勇気を出すことを決意した。シャワーを終えて出てきたヒョヌが、タオルで濡れた髪を拭きながらジンスの隣に座ったとき、ジンスは彼の手にそっと触れた。
「ヒョヌ…僕、最近ずっと考えてたことがあって…」
ジンスが重い口を開いた。彼の声は普段より少し低く、真剣だった。ヒョヌは不思議そうな表情でジンスを見つめた。
「何を?」
ジンスはヒョヌの目をまっすぐ見つめ、大きく息を一度整えて言った。
「僕たち…子供を持つのはどうかな? ……養子縁組を通じて。」
予想外の話に、ヒョヌは一瞬言葉を失った。彼の瞳が驚きと複雑な思いで揺れた。子供?彼らの子供?養子縁組?あまりにも突然で、一度も具体的に想像したことのない未来だった。彼の頭の中では、数多くの疑問と感情が渦巻いた。子供を育てることの途方もない責任感、自分たちの状況に対する社会的な視線、そして果たして自分たちが良い親になれるのかという根本的な問いまで。
ヒョヌの沈黙が長引くと、ジンスの顔に緊張感が浮かんだ。彼はヒョヌの手をもう少し強く握りながら、慎重に言葉を続けた。
「プレッシャーに感じるのは分かってる。突然の提案だってことも分かってる…だけど…ヒョヌ、僕は君と子供を育てたいって、ずっと考えてしまうんだ。僕たちの愛の中で育つ子供の姿を想像すると…胸がすごく熱くなる。もちろん…簡単じゃないだろう。たくさんの悩みと準備が必要だろうし。でも…」
ヒョヌはジンスの震える声と切実な眼差しを見て、彼の気持ちがどれほど本心であるかを感じ取ることができた。そして自分自身も、心の奥底ではいつか子供と一緒に家庭を築くことを漠然とでも描いてきたことを悟った。ただ、現実的な壁を前に、あえて目を背けていただけだった。ヒョヌはジンスの手を握り返し、彼の目を深く見つめながらゆっくりと口を開いた。
「……正直…今すぐ『そうしよう!』って答えるのは難しいな。」
ヒョヌは率直な気持ちを打ち明けた。
「本当にたくさんのことを考えなきゃいけない問題だろ。俺たち二人の時間、経済的なこと、俺の選手生活…そして何よりも、俺たちが子供に本当に良い親になってあげられるのか…自信がない。」
彼の声には、ためらいと真剣な悩みがにじんでいた。
「うん、そうだね。君の言う通りだ。」
ジンスはうなずいた。ヒョヌの正直な反応が、かえって彼には大きな信頼を与えた。
「でもヒョヌ、完璧に準備が整った親なんて、この世にどこにいる?
僕たちも子供と一緒に成長していけばいいんじゃないかな?足りない部分は互いに補い合い、つらいことは一緒に乗り越えて…僕たちがいつもそうしてきたようにさ。僕は…僕たちが一緒なら、十分にやり遂げられると信じてる。」
ジンスの声には、揺るぎない確信が込められていた。その確信は、ヒョヌの心の中のためらいを少しずつ溶かしていった。そうだ、彼らはいつも一緒だった。お互いの足りないところを補い合いながら、ここまで来た。子供を育てることも、二人が一緒なら不可能ではないかもしれない。ヒョヌはジンスの手を温かく包み込んだ。その小さな温もりが、彼らの決心が向かうべき方向を指し示す灯台のように感じられた。
「……分かった。」
ヒョヌがついに決心したように言った。
「君の言う通り、俺たちが一緒ならできないことはないだろう。一緒に…調べて、悩んでみよう。慎重に。そして本当に俺たちにできるって確信が持てたら、その時…俺たちの子供に会いに行こう。」
その日以来、ヒョヌとジンスは養子縁組について真剣に調べ始めた。関連書籍を読み、インターネットのコミュニティを通じて情報を得て、養子縁組を経験した人々の話を探して聞いた。そして数週間後、彼らは勇気を出して養子縁組機関の門を叩いた。カウンセリングを予約し、機関を訪れる日、二人はまるで重要な試験を控えた受験生のように、緊張と期待が入り混じった気持ちだった。
カウンセリング室は、思ったより温かく落ち着いた雰囲気だった。壁には養子縁組を通じて家族になった子供たちの明るい笑顔が写った写真が飾られており、カウンセラーは柔らかな微笑みで彼らを迎えた。
「お二人が養子縁組を考えられるようになった、特別なきっかけはありますか?」
カウンセラーの質問に、ジンスがまず深く息を吸い込んで口を開いた。ヒョヌはそばで彼の手をしっかりと握ってくれた。
「僕たちは…お互いをとても愛しています。」
ジンスの声は少し震えていたが、真心がこもっていた。
「そして、その愛を分かち合える子供と一緒に、完全な家族を築きたいと考えるようになりました。
僕たちが持っている愛と安定した環境の中で、子供が幸せに育つように、最善を尽くしたいです。」
ヒョヌも続けて言った。
「もちろん、僕たちの状況が一般的な家庭とは少し違うことは分かっています。しかし、子供に必要なのは条件や形ではなく、変わらない愛と支えだと思います。僕たちは、子供に誰よりも頼もしい盾になってあげる自信があります。」
彼の眼差しは真剣で、声には固い意志が込められていた。
カウンセラーは二人の話を真剣に耳を傾け、うなずいた。
「お二人の本心が伝わってきます。おっしゃる通り、養子縁組は愛と責任感を土台にして成り立つ、とても大切なプロセスです。もちろん、簡単な道のりではないかもしれません。多くの書類準備と教育の履修、そして何よりも子供との関係を築くための地道な努力が必要です。しかし、お二人の気持ちなら、十分にやり遂げられると信じています。それでは、養子縁組の手続きと準備過程について詳しくご説明しますね。」
カウンセリングを終え、機関を出る道、ジンスはこみ上げる感情を抑えきれない様子でヒョヌの腕にもたれかかった。
「ヒョヌ…本当に…僕たち、いよいよ始まるみたいだ。」
彼の声が感激に濡れていた。
「うん。これからは俺たちが夢見ていた家族を作れる。」
ヒョヌもまた、込み上げる気持ちを隠せず、ジンスの肩を抱きしめた。車に乗って家に帰る間中、二人は黙って手をつなぎ、これから繰り広げられる未来への期待で胸を膨らませた。
その日から、ヒョヌとジンスの人生には、新しい目標と準備過程が加わった。養親教育を履修し、数多くの書類を準備し、家庭訪問審査を受けるなど、複雑で時には疲れる過程だったが、二人はお互いに頼り合い、前向きな気持ちで臨んだ。週末には一緒に子供部屋を飾り始めた。どんな色で壁紙を貼るか、どんなベッドや机を置くか、どんなおもちゃを並べるか話し合う過程は、それ自体が幸せなドキドキだった。
「この恐竜のステッカー、すごく可愛くない?男の子は恐竜好きだって言うけど。」
ヒョヌが壁に貼る大きなティラノサウルスのステッカーを見せながら、おどけて言った。
「ぷっ、ちょっと幼稚すぎない?」
ジンスが笑いながらも嫌そうな顔はしなかった。
「でも…子供が喜ぶなら貼ってあげなきゃね。その代わり、寝具はちょっと落ち着いた色にしようか。」
「分かった、分かった。ところで、将来子供が大きくなったら…俺と一緒に柔道ができるように、ミニ柔道着も一つ作ってあげなきゃダメかな?」
「もう、早くも柔道をさせるつもり?まずは子供が何を好きかから考えないと!」
小さな意見の違いでも笑い声をあげ、彼らは子供を迎える準備を着実に進めていった。家の中のあちこちには、子供の痕跡のための空間が一つ、また一つと生まれ、その空間の分だけ二人の心の中の期待感も大きくなっていった。
数か月の待機と準備を経て、ついに彼らに子供と会う機会が与えられた。機関は5歳の男の子、ミンジェを慎重に推薦してくれた。機関に預けられてからだいぶ経つが、明るく好奇心旺盛な性格だという説明とともに送られてきた写真の中のミンジェの姿は、ヒョヌとジンスの心を一瞬で惹きつけた。黒くて丸い目、いたずらっ気たっぷりの表情。二人は写真の中のミンジェを見て、この子が自分たちの運命かもしれないという強い予感を感じた。
ミンジェとの初めての出会いが約束された日の朝、ヒョヌとジンスは普段よりずっと緊張している様子だった。どんな服を着ていけばいいか、どんな言葉を最初にかけたらいいか、ミンジェが自分たちのことを好きになってくれるだろうか…あらゆる考えが頭の中を駆け巡った。彼らはミンジェが好むという恐竜の形をした小さなロボットと絵本を数冊、丁寧にラッピングした。
「緊張するな…ミンジェが俺たちのこと、好きになってくれなかったらどうしよう?」
養子縁組センターに向かう車の中で、ヒョヌが不安げにハンドルを握る手に力を込めた。
「心配しないで。」
ジンスがヒョヌの手の甲を優しくなでた。
「僕たちがまず本気で心を開けば、ミンジェもきっと心を開いてくれるさ。」
僕たちは…ミンジェをとても愛してあげる準備ができているじゃないか。」
センターに到着すると、約束された面会室にはすでにミンジェが来ていた。写真で見たよりも小さくて可愛い子だった。しかし、初めて見る見知らぬ大人たちの登場に、警戒心いっぱいの眼差しで、担当の先生の背中に身を隠しながら顔をのぞかせた。その姿に、ヒョヌとジンスは思わず唾を飲み込んだ。どうやって近づけばいいだろうか。
二人は目配せを交わし、約束でもしたかのようにゆっくりと腰をかがめ、ミンジェと目線を合わせた。そして、できるだけ優しく温かい笑顔を見せながら話しかけた。
「こんにちは、ミンジェ?」
ヒョヌが先に口を開いた。
「俺はヒョヌおじさんだよ。」
「僕はジンスおじさんだよ。」
ジンスも続けて自己紹介した。
「僕たち、ミンジェに会いに来たんだ。会えて本当に嬉しいよ。」
ミンジェは相変わらず警戒心を解かず、二人を交互に見つめるだけで、何も言わなかった。気まずい沈黙が流れた。ヒョヌとジンスは戸惑ったが、焦らず、ミンジェが心を開くのを待ってあげることにした。
「ミンジェ、僕たちミンジェにあげるためにプレゼントを持ってきたんだけど…見てみる?」
ジンスが用意してきたプレゼントの包みをミンジェの前にそっと置いた。ミンジェの丸い目が、プレゼントの包みにしばらく留まった。
「……これ…僕の?」
小さな声で、ミンジェが初めて口を開いた。
「うん!ミンジェのだよ。開けてみて。」
ヒョヌが励ますように笑いながら言った。
ミンジェはしばらくためらった後、慎重にプレゼントの包装を解き始めた。恐竜ロボットと絵本を発見すると、彼の顔に初めてかすかな笑みが広がった。ロボットをあちこち触ってみたり、絵本の表紙をじっと見つめたりする姿は、まさに5歳の子供だった。
「ミンジェは…恐竜が一番好きだって聞いたんだけど、合ってる?」
ジンスが優しく尋ねた。
ミンジェは顔をぱっと上げると、さっきよりもずっとはっきりとした声で答えた。
「うん!ティラノサウルスが一番かっこいい!ガオー!」
子供は小さな両腕を恐竜の爪のようにして真似をした。その純粋な姿に、ヒョヌとジンスは同時に笑い出した。緊張が解け、雰囲気がずっと和やかになった。
「うわあ!ティラノサウルス、本当にかっこいいよな!」
ヒョヌが相槌を打った。
「今度おじさんと一緒に恐竜博物館に行ってみる?すごく大きくてかっこいい恐竜の骨がいっぱいあるらしいぞ!」
ミンジェの目が丸くなった。
「本当?行きたい!今行っちゃダメ?」
「ハハ、今はダメだけど、今度必ず一緒に行こう。約束!」
ヒョヌが小指を差し出すと、ミンジェはしばらくためらった後、小さな小指を絡めた。
その日以来、ヒョヌとジンスは定期的にミンジェに会った。最初はセンターの中で一緒に絵を描いたり、ブロックを積んだりし、少し親しくなってからはセンター近くの公園で一緒にピクニックをしたりもした。芝生にレジャーシートを敷いて座り、ジンスが作ったキンパとサンドイッチを分け合って食べ、ヒョヌはミンジェと一緒にボールを蹴ったり、飛行機を飛ばしたりして楽しく走り回った。ミンジェは最初の人見知りと警戒心を徐々に解き、ヒョヌとジンスに心を開き始めた。彼らを「おじさん」と呼んで慕い、別れの時間が来ると名残惜しそうな表情を隠せなかった。
数か月にわたる出会いと適応期間を経て、ついにミンジェがヒョヌとジンスの家に来ることが決まった日。三人全員にとって、その日は特別な意味を持っていた。ミンジェは自分の小さな荷物バッグを持ち、ヒョヌとジンスのそれぞれの手に握られながら、少し緊張した表情で新しい家に入った。
「うわ…ここが僕の部屋?」
恐竜のステッカーとかわいらしい家具で飾られた自分の部屋を見たミンジェは、感嘆の声を上げた。
「うん!ここがミンジェの部屋だよ。気に入った?」
ジンスがミンジェを抱き上げながら尋ねた。
ミンジェは力強くうなずき、ヒョヌとジンスを交互に見つめた。彼の眼差しには、ワクワク感とともに、「本当にここが僕の家になるのかな?」というわずかな不安も見て取れた。
「もちろんだよ〜。今日からここがミンジェの家で、俺たちはミンジェの家族だ。
ヒョヌパパ、ジンスパパってね。」
ヒョヌがおどけて自分たちを指し示し、ミンジェの頭をなでた。「パパ」という言葉に、ミンジェは一瞬驚いた表情を見せたが、すぐににっこり笑ってヒョヌの足に抱きついた。
その日の夜、三人は一緒に夕食をとり、リビングに集まってミンジェが好きなアニメ映画を見た。寝る時間になると、ジンスはミンジェのために恐竜の絵本を読んでやり、ヒョヌはミンジェが眠りにつくまで彼の小さな背中をトントンと叩いてやった。すやすやと眠りについたミンジェの穏やかな顔を見下ろしながら、ヒョヌとジンスは黙ってお互いの手を握った。胸が熱くなるような感動とともに、これから始まる三人の家族の人生に対する無限の責任感と愛を感じた。
家族の日常は、ぎこちないながらも温かく流れていった。週末の朝には、三人は一緒にパンケーキを焼いて食べ、午後には自転車に乗りに公園に出かけた。ヒョヌはミンジェに柔道の基本姿勢をふざけて教えてやったり、ジンスはミンジェと一緒に絵を描いたり、絵本を読んだりして静かな時間を過ごした。時にはミンジェが駄々をこねる姿に戸惑ったり、育児のつらさに疲れたりもしたが、そのすべての瞬間が彼らにとっては大切な家族の歴史になっていった。
「パパたち!今週末は海に行こうよ!ね?」
ある日の夕食時、ミンジェがねだった。
「海?いいぞ!行って、俺たちのミンジェが好きな砂のお城を思う存分作ろうな!」
ヒョヌが快く答えた。
「わあ!やったあ!僕が一番大きなお城を作る!」
ミンジェは両腕を振り上げて喜び、ぴょんぴょん跳ねた。
その姿を見つめるヒョヌとジンスの顔には、温かい笑顔がいっぱいだった。子供の笑い声が家の中を満たすこと。それがまさに彼らが夢見てきた幸せの姿だった。たとえ始まりは少し違っていたとしても、彼らは今、お互いにとってなくてはならない、世界で一番固く愛に満ちた家族になりつつあった。彼らの家には、今、柔道着と白い白衣の他に、子供の小さな靴と色とりどりのおもちゃたちが一緒に置かれていた。
そして、そのすべてが合わさって作り出す風景は、どんな絵よりも美しく、完全だった。子供を夢見ていた二人の物語は、今まさに、最も幸せなページを書き始めたところだった。
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読んでくれてありがとう。




