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【第4話:仲間との出会い】

市場での勝利から数日後。

俺は小さな露店を構え、安定した利益を出し始めていた。


ある日のこと。

「す、すみません! お金は必ず返しますから!」


悲鳴のような声に振り向くと、路地の片隅で、ひとりの少年が大柄な男に襟首をつかまれていた。

年の頃は十二、三。痩せこけ、服はボロボロ。


「ガキのくせに借金なんざするんじゃねえ!」

男は拳を振り上げる。


俺は思わず声を張った。

「待て!」



事情を聞けば、少年は妹の薬代のために借金をしたらしい。

だが高額な利息をつけられ、返せるはずもなく追い込まれていた。


「金を持っていないやつは人間じゃねえんだよ!」

男は吐き捨てる。


俺の胸に、過去の記憶がよみがえる。

――富豪の屋敷で見てきた、金と権力で人の尊厳を踏みにじる光景。


「……違うな」


俺は一歩前に出て、男を睨んだ。

「金がなくても、人間の尊厳は奪えない。

だが、お前みたいな腐った商売人は……金を持っていても人間ですらない」


「な、にぃ!?」



結局、俺は帳簿を見せつけ、男の貸付が法外であることを群衆に暴き出した。

周りから非難の声が上がり、男は慌てて逃げていった。


残された少年は、涙をこぼしながら頭を下げる。

「ありがとう……お兄さん。俺、リオって言います!」


そのとき、少女が駆け寄ってきた。

まだ小さな妹だ。病弱そうな顔に、それでも必死な笑みを浮かべている。


「お兄ちゃんを助けてくれて……ありがとうございます」


俺はふたりに微笑んだ。

「いいんだ。俺は、尊厳を大事にしたいだけだ」


こうして――俺は初めて、この異世界で仲間を得た。

リオと妹のエリー。

彼らはやがて、俺の商会の最初の仲間となる。

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