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69、銃で撃ち合う本格派雪合戦開幕!少年は増えた!飛んだ!跳ねたっ!

床に伏せたリコリコさん、突然現れたシールドで雪玉を防ぐヒメコさん、そしてボクは窓を蹴破って家の四方からミニフィーと一緒に飛び出していた。


R.A.F.I.S.Sを発動しているお陰で飛んでくる雪玉の軌道の一つ一つが分かるし、反射的に最適解の回避ルートを構築して飛び回れる。5人のボクはそれぞれ姿勢低く低空で突っ込み、雪玉ランチャーを構える参加者達の股下をスライディングで通り抜けていった。


思わずガニ股になって驚く背中に雪玉ピストルを連射!怯みながらも銃口を向けようとする肩を片手で掴み、ブレードランナーの勢いのままに飛び越して背中側に再度降り立つ。一気に10発分見舞って早速一人抜きしたボクは、近場の民家を盾にちょこちょこと激しく動き回って撹乱した。


スマイル越しに上空からの俯瞰視点のカメラ映像が送られてくる。リコリコさんの放ったポチの一体かな?家を囲んでいる参加者達は5人。今一人倒したから残り4人。


ミニフィー達は駆動魔具も無く、体に組み込まれたマギアーツによって高速機動で動き回っていた。足に何も付けていないのに異様な速さでぴょこぴょこ動き回るボク達は余りにも捉えづらく、頻繁に建物の影に隠れては見失う。


レーダーで探知しようとするも実際に見えていない状況では狙いも定まらず、廃屋の中から不意に撃ち込まれる雪玉に被弾を重ねていく。銃自体に射撃補助システムが搭載されているならともかく、あくまでウインタースポーツを楽しむための魔具。ならばと強化外装備え付けの補助システムで狙いを付けようとするものの、規格の合わない雪玉銃では性能を発揮しきれずにいた。


その場の参加者4人が撃破されるまで3分。用を終えたミニフィー達はユリシスの中へ戻っていった。


「わっ?!もう終わった?!初っ端集中砲火からの逆転!最初っからクライマックスだよ!」


興奮気味に騒ぐリコリコさんとけらけら笑って楽しげなヒメコさん。


ー増えたり減ったり人外スギィ! ー可愛いけど素早いやん! ー上からの視点無かったら何が起きてるか分からんかった ーはえーすっごい(蟻並感) ーつっよ ー実戦だと四方八方から袋叩きにされるのか‥‥


コメントも大盛り上がりで、嬉しくなってむふっと鼻を鳴らしてしまう。そんなボク達は道中何度かの襲撃を受けながらも住宅地を駆け抜けた。射線の通りやすい通りを避け、廃墟の家の壊れた壁や窓を飛び越えて突き進む。まずはこのエリアで勝ち残らなきゃ。


飛び交うのが雪玉のお陰で壁を抜かれる事もなく、飛び出して戦うボクの後ろでヒメコさんとリコリコさんは安全に立て籠もれていた。


「うおおおおっ!!俺のオキニに毎日抱かれてるとかぶっころ‥‥!」


開拓者風の大男の大きな銃口がこちらに向けば、ユリシスから飛び出したミニフィーが体に飛び付く。そのまま妨害するようにわちゃわちゃと戯れ付いて、その間に迫ったボクの銃口があっという間に退場に追いやった。


「クッソォ!」


ポイントがマイナスになると一時的に虚脱のマギアーツが作動し脱力して動けなくなってしまう。雪まみれでその場にへたり込む開拓者さんにペコリと会釈。しかしそのタイミングで二人の隠れる家に誰かが飛び込んだ音が!


慌てて踵を返してボクも家へ飛び込む。と、目の前に黒い壁が?!


それはヒメコさんが指を鳴らすと同時に現れた何人ものマフィアの黒服。驚いて硬直したお姉さんがあっという間に雪玉の弾幕に巻かれて倒れてしまった。そして黒服達の姿が転移の僅かな痕跡を残して消えてしまう。


「何それズルいって!」


負かされたお姉さんは確か胡蝶之夢のお嬢の一人。ヒメコさんは澄ました顔で笑う。


「な〜に言ってんだ。ポイントマンの参加はルール違反じゃねぇって。転移のマギアーツ禁止したらテレポーターも全面禁止になっちまう。というかお嬢さんも簡易だけどさっき転移使ったでしょ。」


ポイントマン‥‥聞いた事がある。フリーランスにはまず居ない、大きな組織のバックアップがあって初めて成り立つ職業。転移のマギアーツで遠方から人員や魔具を呼び出す戦闘補助職。大きなPMCとかじゃないと見かけないレアな職業らしい。


本来ポイントマンは小隊の行先を先行する兵隊さんの呼び名だったけど、転移によって部隊そのものを呼び出す彼らがその名で呼ばれるようになった。実際単騎で先行して部隊を呼び出し展開する様は少し似てるかもだし。


初めて見るけどあんな感じに呼び出すんだ。


「アハハ、ここ一番って時に使ってラフィを驚かせたかったんだけどね。しゃーないか。」


驚きの隠せないリコリコさんを他所にヒメコさんがボクの肩を叩く。


「ほら、ボサっとしてないでさっさと行くよ。」


「あ、はい!」


背中でリコリコさんを守りつつも他の参加者がいそうな場所へひた走る。じっとしてたら集中狙いされそうだし、折角だから飛び回って楽しみたいしね。


っと?!鋭く連射された雪玉が行手を塞ぐ。リコリコさんを近場の瓦礫へ誘導したボクは1、2、3歩で崩れた廃屋の屋根まで駆け上がり、立ち塞がって参加者を見下ろした。


「ラフィ、久しぶりだな。」


「イトウさん!ええと、久しぶりです!」


「しかしお祭りとはいえ今は敵同士。折角だ。色々と又聞く噂を確かめさせて貰おう。」


男の子、三日会わずんば刮目して見るべしぃ‥‥だっけ?そういう感じだから負けないよ!


即座に展開した片翼のエンジェルウイングは10mを越し、一度羽ばたいてボクの姿を隠す。迫る雪玉をユリシスから飛び出したミニフィーが拾った瓦礫片を盾に受け止め、その背中を踏み台に追加のミニフィーが飛び上がってイトウさんに狙いを付けた。


前に見た大きくて透明な盾を展開したイトウさんには直線的な射線は通らない。狙うなら頭上?違う、4方を囲む盾の隙間!


隙間から銃口を覗かせるイトウさんの正確な射撃は飛び上がったミニフィーをあっさり撃ち落とす。その間にも幾度かの巨大な羽の羽ばたきで姿を隠したミニフィーが、瓦礫で隠れた死角を縫って突撃。イトウさんが両手で構えた二つの銃口は正面に釘付け!


エンジェルウイングをしまったボク本体もミニフィーに紛れて隙間に雪玉を撃ち込んでいく。しかし更にその中で片手持ちのシールドを展開したイトウさんには届かない。銃口を通す穴の付いた半透明な盾は攻防一体。二重の盾と鋭く正確な射撃に隙はなかった。


やっぱりイトウさんは強い。だったら。


可愛いカエルの髪飾りを付けたミニフィーを呼び出し、呼び出された瞬間にはその姿が掻き消える。徐に雪玉を両手に携えたミニフィー達は、射撃を回避しながら撹乱するようわちゃわちゃと駆け回った。


イトウさんはボクの動きが読めずに慎重になっている。でも逃げ場のない空間へ閉じ籠るのは、テレポーター相手にはやっちゃダメ!


テレポーターと化した一体のミニフィーが、瓦礫に姿を隠したミニフィー達を次々と盾の内側へ送り込む。


「なっ?!うおおおお?!」


動揺するイトウさんに一斉に飛び掛かるミニフィー。一体を盾で払い除けても残った4体が体中に両手の雪玉をなすり付け、逃げられないようしがみ付いて雪まみれにしてしまう。イトウさんのポイントがマイナスに達するのに時間は掛からなかった。


負けを認め盾を収納して倒れ込むイトウさん。むふっ。ボクの勝ちだよ!っとドヤ顔で見下ろすボク。ミニフィー達もボクに同調してイトウさんにくっ付いたまま、むふ顔で目をキラキラさせた。


ーまた勝った ーラフィきゅんに群がられるのうらやま ー一体お持ち帰りしたい ーふつーに雪玉弾幕避けてるけどどうやってんの 


「はぁ‥‥いざ戦ってみるとなかなか厄介な力だな。どういうマギアーツなんだ?」


「秘密、です。」


勝ったよ!褒めて!って気分なボクに同調したミニフィーの頭を、ぽふっとイトウさんの手が雑に撫でる。虚脱のマギアーツのせいで起き上がれないイトウさんは天を仰いだままだった。


「おーおー、派手にやってるなぁ。」


「やった!また勝ちだよ!」


覗き込むヒメコさんとリコリコさん。そんな二人の後ろから、更に一人の男が雪を革靴で散らしながら現れた。緩い黒コートのしょうゆ顔‥‥な印象の青年。刈り上げた黒髪にボロい中折れ帽を被っている。


「ヒメコ様。ちょうど良いところに。そこに居るのはイトウだな?L.Cの支部を爆破して回った“ボマー”として悪名高い。」


「あん?ああ、クロザキ組のカネコだっけか?」


どこか無関心な態度のヒメコさんを帽子の下でカネコさんは睨み付ける。しかし何も言わずに懐から銃を引き抜いた。


「イトウはウチが引き取りますんで。ケジメ、付けさせます。ヒメコ様‥‥邪魔せんで下さいよ?」


「アハハ、邪魔しないよ。だけど、ラフィの邪魔もしない。ウチはラフィとイイ仲になりたいんさ。」


そんなやり取りの合間にイトウさんからスマイル経由でメッセージが。


『イトウ』

すまんが依頼だ。虚脱のマギアーツが解けるまで守ってくれ。あいつは参加者じゃないルール外の存在だが、こういう場合は正当防衛で普通に戦っても問題ない。気を付けろ。L.Cの幹部だぞ。


ボクも直ぐに返信を。


『ラフィ』

任せて下さい!


イトウさんに纏わり付いたままだったミニフィーをユリシスの中へ収納。そんな動きに気付いたカネコさんは首を傾げてボクを見やった。


「で、邪魔しないでくれますよね?キミには関係ない話でしょ?」


「イトウさんは仲間ですので。」


息を殺してササっと距離を取るリコリコさんは小声で配信を続けている。


カネコさんの銃口がボクを向き、R.A.F.I.S.Sを本格起動したボクの目に演算陣が浮かび上がった。

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