496、EXPOに集うゲスト達、そしてパレードの宣伝で空間を飛び越えて行く!
EXPO最終日には呼びたいヒト達も纏めて呼んじゃおうって、事前に話をあちこちに振っていた。最終日はパレード以外に付きっきりのお仕事も無いし、ちょっとゆっくり出来そうだから。
先ずは孤児院の皆。
「皆!お久しぶりです!」
シャボン玉のゲートから顔を覗かせたボクへ、孤児院の皆が手を振って大はしゃぎ。1年前は家族だった皆が、ボクに有名人として接してくるとちょっと気恥ずかしい。
「ほら、皆。今日はラフィさんのお世話になるんだから。」
「宜しくお願いします!!」
皆の声にボクも笑顔で返した。
「サラ先生、エステルさん。今日は皆の引率をお願いします。素敵な1日にしましょう。」
皆の前だとエステルさんもボクを手を伸ばしずらいみたいで、そんな様子にタマさんが遠慮なくボクを抱く。
「ラフィ、ほんと久しぶりなんだから。トウキョウシティですっごい活躍をしたって話を聞く度に、こっちじゃ皆大騒ぎなのよ。」
エステルさんが褒めてくれて、嬉しくなってタマさんに尻尾で首を巻かれながら胸を張った。
「頑張ったのですね。私達はいつでも貴方を応援していますよ。」
サラ先生もボクに微笑んでくれる。ボクの隣にタマさんとブランさん、ホロウインドウの中からフィクサーさんがひょっこり、カテンさんが皆を見下ろして宙を泳ぐ。
「こんなに仲間を増やしちゃって。いつもラフィがお世話になっています。」
頭を下げるサラ先生に、ボクの仲間達は陽気に応えていた。
「アタシはラフィはやる子だって思ったから誘ったのよ。」
「当機はラフィ様にお仕えする為に存在しますので。」
「にゃは、ワタシがお支えしますから安心して下さい。」
「ふむ。サラか。ラフィから名前は聞いたぞ。かの英雄を育てた者と聞いたが、存外か細い老婆であるな。」
サラ先生は強いヒトだよ。そんな態度取ったらダメ。伸びたイルシオンでペチペチしてカテンさんへ抗議する。カテンさんは慌てて謝った。
「良いのですよ。私は親のない子供達に、この世界で生きていけるよう手助けをする事を使命としているただの老婆ですから。」
笑うサラ先生のシワには、長い人生の全部が刻まれているような。頼もしい壮健さを感じさせてくれた。
ボク達は数歩進んで、着いた先はもうトウキョウシティ。孤児院の皆の事をシブサワの警備員達が警護してくれるんだ。
「おーっ!すげー!」
「マジだ!ここトウキョウだよ!」
「さっきまでヤマノテに居たのに。」
「ラフィ凄いよこれ!!」
感動する皆をサラ先生とエステルさんが宥める。大声で騒ぎ過ぎてはいけませんよ、と。皆も直ぐに大人しくなって、でも全部を見たい!と目線が動く。
「ではボクはここで。パレード、見に来て下さいね!」
ボクの姿は再びシャボン玉の中へ消えて行った。
次にお誘いするのはアングルスの皆!
胡蝶之夢の女将さん、ミケさんへ連絡を取って行きたいヒト達を集めてくれていた。とは言っても、行きたくないヒトなんて居なくて。今は文明圏に含まれたあの街の日常に疲れた皆は、文明の利器煌めくEXPOに興味津々。
シャボン玉のゲートの向こう、懐かしの胡蝶之夢は果たして。
改装工事を経ても、元の木造風のデザインのままになっていた。趣のある泡屋敷は今日もピンクのネオンが眩しい。けれど、ドアには臨時休業のホロウインドウが表示されていた。
「お久しぶりねぇ、ラフィ。」
「お久しぶりです!ミケさん!」
一際背の高い大きなミケさんはずっしりとした豊満な胸元を大胆に曝け出している。目にやり場に困る衣装だけど、トウキョウシティの法には触れないぐらいだし大丈夫。都市によってちょっとずつ基準が違うから、ブランさんがチェックしないとね。
「その格好で向かうのでしょうか。ラフィ様の客人として少々破廉恥では御座いませんか。」
「メイドさんも相変わらずねぇ。これぐらいオシャレの内さ。」
そう言いながらも、ボクの体はひょいと抱き上げられてぎゅうっ。癒しを堪能するように密着‥‥あのっ。うう。
胸元に差し込まれた尻尾がくすぐって、手を離したミケさんからボクをタマさんが奪い取った。
「このやり取りも久しぶりね。」
これで全員かな?と見渡すボク達の視界に、マフィアのお客さんまでやって来ていた。亜人を主体としたマフィア、アゴーニ。そのお頭のアグニさんがしれっと列に混ざっていた。
「おい。何でアンタが居るのよ。」
「ははっ!そりゃEXPOに参加出来るんだろ?こんな機会がなけりゃ生涯縁の無い話だ。オレも混ぜろよ。」
マフィアと聞いてカテンさんが頭上から睨み付け、そんな視線を涼しげに受け流す。龍のひと睨みすらマフィアのボスには効かなかった。
「コイツが噂の。」
「不遜な態度だな。しかし、我に怯えぬとは豪胆な者よ。」
「怯えさせるにはちょいとサイズ感が足りねぇな。」
フィクサーさんもアグニさんを揶揄うけど、挑発的な悪魔の囁きを鼻で笑ってしまった。
「ミケさんは良いのですか?」
「別に、お友達じゃないけど気にせんよ。同じ体制側に苦い思いをさせられた仲ではあるんでね。」
アングルスはシブサワの参入を結局防げず、怪物に壊された街の復興ついでにインフラを色々整備されてしまった。そして新たに発足した都市運営委員会をシブサワが受け持ち、その傘下に自治会長としてミケさんとアグニさんが就任したんだって。
街を二分する組織のボス達の、新たな肩書きが自治会長。
「ははは、格好悪いわね。アグニ会長さん。」
「うっせ。しかし表立ってアゴーニの看板を名乗れねぇのは屈辱だし辛いがよ。暴対法に触れるんだとよ。」
ニホンコクの都市に於いて、当たり前だけど暴力団やマフィアは存在自体が違法。それでもコソコソ都市の影に隠れて活動するんだけど、表立って事務所を構えたりなんて出来る訳が無かった。
「もうすっかり都市になってしまったねぇ。」
ミケさんの声には、どこか諦観する気持ちが込められていた。
「じゃあ、皆さん。早速行きましょう。」
都市化した治外街から、そのまま国の首都へひとっ飛び。摩天楼が色濃い文明の匂いを漂わせ、道行く誰ものファッションがお嬢達を驚かせる。
「しっかしお嬢達の衣装も、ここのオシャレなピーポーと比べちゃうと田舎者全開ですね!EXPOを回る前に、そこらの服飾店で良い物を見繕ってはいかが?その大胆なドレスはもう10年以上前に流行りが過ぎた骨董品ですよ!」
フィクサーさんは遠慮無く、お嬢達は思わず恥じたように萎縮する。ミケさんも溜息を吐いて、
「そうさね。確かにこの格好で回るのはちょいと恥ずかしいかもねぇ。」
皆の行き先予定表に、一つ書き加えたのだった。
「パレードを見に来て下さいね!待ってます!」
手を振って別れるボクはいそいそと次の予定へ向かったのだった。
ラズベリーさん達と合流、パレードの宣伝をニュースチャンネルで。
「皆っ!今日はEXPO最終日!」
「パレードやるから見に来なさいよ!」
「EXPOで大人気だった展示品がパレードを華やかに飾るぞ!」
「‥‥そゆこと。会場に来れなくてもパレード見るだけでEXPOの話題について行ける的な。」
「それにびっくりするようなサプライズも!普通のパレードとは全く違う、コミカルで楽しいパレードをお送りします!是非見に来て下さい!」
魔法少女達の笑顔が朝の時間に添えられる。
シャボン玉のゲートを跨いでぴょいっ!とボクの姿は、そのままラジオチャンネルのゲスト席へ。ラズベリーさん達も慌ただしく後を付いて追ってくる。
「おっと!ここでスペシャルゲストのラフィが登場だ!ラズベリー達もやって来てくれたぞ!」
「今日はEXPO最終日だよ!歴史に残る最高のEXPOを楽しめる最後の日!」
「いい?見逃したらずっと後悔するんだから!」
「今日は日曜日、家でゴロゴロするのは勿体無いぞ。」
「パレードは昼からやるから。」
「パレードも全部見て、このEXPOを楽しみ尽くしましょう!勿論パレード専用のアチーブメントもありますよ。コンプ目指して頑張ろう!」
きゃいきゃいと皆で宣伝して、何個もの質問に答えていく。時間にして3分ぐらい、ボク達は慌ただしく次の場所へ!
「最終日、パレード前にラフィくん達へインタビュー!」
リコリコさんの生配信に顔を出す。皆で宣伝文句を並べ立て、パレードの見所をご紹介。
「現地で直接見るのが1番楽しめますよ!」
「私も生配信するけど、今からワクワクしちゃう!ラフィくんがこんなに推すんだよ?絶対何かあるって。」
カメラの前で調子の良いリコリコさん、伸びた手がぐいぐいとボクを抱き寄せる。カメラの外から伸びたラズベリーさんの手が反対方向へ、ぐいぐい。
「ほら、ラフィくん。EXPOを護る為に、私達もそろそろ行かなきゃ。」
ラズベリーさん?まだちょっと早いですよ?
「そうよ、とっとと行きましょ。」
グミさんまでぐいぐい。リコリコさんは魔法少女達の反応に、ちょっとニヨニヨとしながらボクの腕を抱いていた。
「はいはい、本番中だから真面目にやろうねー。」
キャウルンさんの尻尾がラズベリーさんとグミさんのおでこをペチリ!解放されたボクはリコリコさんと一緒にパレードの話題で盛り上がった。
パレードの準備は順調。ちょっとしたトラブルがあっても、乗り越えるついでにもっと良くして形にしていく。フーガさんが参加してくれるって聞いて、どんな事が出来るんだろうって。
次々と湧き出るアイデアをぶつけ合い、今この瞬間もコウタロウさん達が予定以上に豪華なパレードを企画していた。EXPOを象徴するパレードだから、シブサワも最大限の協力体制を整えている。
EXPOに参加した学生さん達も、パレードをすっごい楽しみにしているんだから。
「皆さん!歴代最高を更新しちゃいますよ!」
沢山の宣伝のお陰か、ハムハムのトレンドもパレードの話題一色。そして遂に、パレードの時間が迫って来たのだった。




