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495、EXPO最終日、EXPOパレードは早速暗礁へ乗り上げる

「あんな綺麗な景色は初めて見ましたわ!」


「あんなの‥‥!現地に行ってみたくなるでしょう!」


「私には縁遠い景色でした。いつかラフィと2人きりで眺めに行きたいです。」


「フーガの都も宝石をあしらった綺麗なものだけど‥‥あんなのを見せられたらちっぽけに感じてしまうの。」


サーカステントを抜け出た皆は口々に感想を飛ばし合う。モモコさんはボクと並んでにんまりしていた。


「ラフィが発見したあの景色が褒められるのは気持ちが良いんだ。この為に、このブースを用意したようなものだよ。」


ブランさんがサッと皆へ広告を。


「お土産ブースにて虹渦島の風景を映した各種グッズを販売しております。アチーブポイントでの交換も可能ですよ。」


虹渦島グッズの中でも、あの風景のパノラマ写真をプリントしたマグカップが特に人気。AR搭載モデルになれば、景色をARで室内へ投影出来ちゃう。暗い室内で使えば、そこはもうあの山頂!


(,,>᎑<,,)きゃーっ!これはもう買うしかないよ!!ボクも持ってますからお揃いですっ!


一緒に広報活動!なボクを皆が急に囲んで来る。伸びた手が、もふり。


「ラフィ〜、あざといですわね。」


アリスさんに撫でられ、ビャクヤさんの指がほっぺを突く。


「そんな可愛く振舞われたら買うしかないですわ。セバスチャン、1番良い物を選んで来なさい。」


「チズル、お願いね。」


お嬢様達は直接買い物せず、従者な2人がお土産屋さんへ足を向ける事に。


「私も欲しいわ。そうね、後で買ってもらおうかしら。まだ1日あるんでしょ?」


「フーガは後で行くわ。確かラフィグッズも揃っていたわね。ラフィのキャラTとか無いかしら。」


皆買ってくれるみたいで良かった。モモコさんも上出来だよ、って褒めてくれた。


夜の部は更けていく。そして5日目へ時間は進んで行った。





朝っぱらから実行委員会のテントにて、今日の目玉イベントの打ち合わせ。


「皆、疲れているだろうがここが最後の踏ん張りどころだ!」


コウタロウさんの声に、実行委員会の皆の声がわっ!と集まる。ボクがエンジェルウイングをふわり、とすればコウタロウさんはありがとう!と元気良く。


「ラフィさんのお陰で疲れ知らずだったのを忘れていました。慣用句をそのまま使ってしまう所は今後の改善点になります。」


「いえ、今日も暑い日です。熱中症に気を付けて頑張って行きましょう!」


もしもの時はアコライトとして活躍するからね!アピールするボクを見て、ラフィさんのお手を煩わせないようにとコウタロウさんは苦笑しながら言った。


「予定通り、最終日にはEXPOに参加した学生達によるパレードを行う。EXPO会場から出発し、トウキョウシティを巡った後そのまま帰還する。」


EXPOパレードは、企画から全部学生さん達が考案したもの。勿論完全お手製に拘る訳でもなくて。


「シブサワグループの方から使用する花火等の資材を頂いた。既に昨日の内にセットは済ませてあるが、不測の事態に備えて各自最終確認を行うように。」


テキパキと指示を出して、そしてボク達はそのままパレードで使う山車を見に行った。


飾り立てられてキラキラな山車は5台、特に目を引くEXPOの展示品を街中へ見せに行くんだ。例えばチョウリさんの花咲のマギアーツでデコレーションしたり、割れないシャボン玉を満載にしてみたり。


皆が機材の最終チェックを済ませる中、タマさんがああん?と山車を眺める。一緒に居たカテンさんも不思議そうな顔で山車をぐるりと見回す。フィクサーさんはあーあ、と言いたげに肩をすくめた。


「ねぇ、何か機材の調子おかしくない?」


丁度確認を済ませた学生さんの1人の肩を、タマさんの指先が突く。


「はい?!ええと、様子は‥‥いえ。問題無いですよね?」


『にゃは、まぁ素人さんには分かりませんよね。』


「ううむ、山車の内部を流れる魔力に違和感を感じるぞ。こう‥‥なんか気持ち悪いのだ。」


ブランさんも軽くスキャンを済ませ、


「単刀直入に言いますと、爆弾が仕掛けられていますね。」


場は騒然、皆がパニックにならないようエンジェルウイングで癒しを撒いた。


「大丈夫です。爆弾と言っても、特殊なタイプみたいです。」


脳波操作でドーン!ってやつじゃなくて。もっと仕掛けがややこしい。けれど条件を満たさなければ爆発はしない筈。


「どうして?!」


コウタロウさんの問いに、騒ぎを聞きつけてやって来たキュエリさんが返す。


「まぁ企業戦争だろうな。ここ1番でパレードを台無しに出来れば、EXPOの出資者としてシブサワグループは相応しく無いとケチを付けられる。」


コウタロウさんはただ悔しそうに唇を噛んだ。


「ラフィ様、爆弾を取り外せそうですか?」


クライアントのキュエリさんに聞かれて、1次受けのボクは2次受けのタマさんを見やる。タマさんの視線が3次受けのブランさんを見て、4次受けのフィクサーさんへ視線が移ろう。フィクサーさんは5次受けカテンさんに期待の視線を送った。


「いやいや?!我に何を期待しておる?!エンジニアに見えるか?!」


タマさんはぼやいた。


「ザックリ言うと爆弾って言っても、そのものは埋まっていないわ。ただ魔力の流れが、内部で凝縮するように出来てる。」


「凝固爆発‥‥!」


そこまで聞いたコウタロウさんがパッと思い付いたようだった。そう、魔力は結晶化させようとすると爆発しちゃうんだ。虹渦島で新種のバクテリアが見つかったお陰で、現実的な魔力の結晶化が出来るようになったけど。それでもそういう工程を介さずに、雑に凝縮して結晶化させればドカン!!


「エンジン自体に細工してあるわね。エンジンごと取り外さなきゃいけないわ。今から取っ替えるの間に合うと思う?」


「無理だな。パレードは今日の開演から直ぐだ。山車用のエンジンは特注品、そこらの車の物を積む訳にもいくまい。」


「どうしよう‥‥!」


思ったよりも妨害を受けないな、と思ってたけど。小出しにチクチク嫌がらせをするよりも、最終日にパレード中止という大きな打撃を与える方向で誰かが動いていた。


「最終日まで隠し通せれば、確かに有効な一打になり得ますね。ラフィさん、押したりは可能でしょうか。」


危険なエンジンを取り外して、強化外装の出力でグイグイ押すの?それは、その。


『出来はしますが、見た目は最悪ですね!何かトラブルがあったのが丸わかりでしょう!』


だよね。仮にパレードを強行してもケチが付いちゃう。


「我が風の力で押すのは‥‥」


「市街地で風速何百mの暴風を起こすおつもりで?パレード計画とEXPOの評判も一緒に消し飛びやがりますね。」


風は狭い市街地だとより強まっちゃう。演出と言い張っても無理があるし‥‥


そんな中、コウタロウさんがキラリと光るアイデアを打ち出した。


「そうです!EXPO初日にあったトラブルですよ!」


そして出てきた名前はフーガさん。


「概要は私にも共有されています。確か使い魔‥‥でしたっけ。それを憑依させた物体は生き物のように振る舞うとか。山車に憑依して貰うのはどうでしょうか。」


「それです!昨日フーガさんに会いました!ボクが連絡を取ってみます!」


ブランさんもキュエリさんへ打診を送る。


「でしたらフーガさんをパレード特別顧問として迎え入れましょう。事前にその名前があったよう、計らいをお願い致します。」


「承知した。ハハ、なんとかなるものだな。報酬は弾むと伝えておけ。」


ボクのスマイルがピピピ‥‥フーガさんが直ぐに応答してくれる。


『フーガさん!朝早くすいません!フーガさんの助けが必要なんです!』


『あら?急な話ね。良いわよ、フーガはラフィに恩があるの。』


まだ要件を言っていないのに。遅れて伝わった要件に、フーガさんも乗り気だった。


『あの子達が思う存分目立てる場所を用意してくれるのでしょう?そういうのは大得意よ。ふふふ、フーガにお任せなの。』


『ありがとうございます!直ぐに迎えに行きますか?』


『そうね。駅前で待ち合わせしましょう。』


行ってきます!とボクは飛び出す。駅前に飛び出せば、通りのヒト達は皆驚いてスマイルカメラを向けてくる。フーガさんが来るまで、100枚以上のボクの笑顔が拡散された。EXPOの宣伝ですよ!って目立って、トラブルを悟らせないようにする。


「今日の目玉のパレードをお楽しみに!皆の予想をずっと超える、凄いパレードになりますからね!」


そしてやって来たフーガさんを連れて、ボクは手を振りながらシャボン玉の中へ消えて行った。


事のあらましは隠さずに、フーガさんへボクが説明する。目の前で山車から危険なエンジンが取り外されていた。爆発すれば大成功、バレてもパレードを中止に追い込めれば成功。だけど、ボク達にはスペシャルゲストが居るんだから。


「フーガさん、お願いします。」


皆が見守る中、急に山車がビクンと揺れて動き出す。コウタロウさん達は思わず声を上げて、そんなリアクションを面白がるよう山車がひょこひょこと歩く。歪んで変形した車輪はちょっと細長く、脚のように動かされる様は完全にカートゥーンアニメ。


すっごいメルヘン&ファンタジー。山車の車輪が本来あり得ない角度に、ゴムにようにグリングリンと動く。車軸も一緒に変形して車体全体がお人形みたい。


これにはキュリエさんも呆れ顔。


「本当に大丈夫なんだろうな?上にヒトが乗る予定もあるが‥‥」


「大丈夫よ。この子達はやる時はやる子なの。パレードを台無しにするような悪さは絶対しないわ。」


「まぁ前代未聞のパレードにはなりそうね。で、解決する問題は山車だけじゃないでしょう?」


「警備は万全‥‥と言いたいが、何せパレードで移動する区間は長い。建物の中まで完全に網羅出来るかと言えば、現実的じゃないな。」


まだまだ不安要素はあった。


『こんななりふり構わない、下品なやり方で仕掛けて来たのですよ?現地で銃弾の1発も飛ばない保証が何処にあるのでしょうか?』


このパレードは絶対成功させたい。だったら。


「ボクがやります。パレードの主役は学生さん達ですので、ボクは目立てません。ですがパレードをお守り出来ます。」


ボクの声に計画が練り直され、フットワークの軽い警備体制の変化が伝達していった。


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