表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

492/519

469、 EXPO初日配信案内!

Hello(こんにちは)!!トウキョウシティ!!今日は待ちに待ったT&Y EXPO初日だ!!いつもお馴染み、マイケルが今日という日を紹介するぜ!』


ラジオチャンネルがリスナーの耳をノックした。


『ヤマノテシティからやって来た守護天使様、ラフィがまさにトウキョウシティの救世主となった!ラフィが居なけりゃEXPOは中止になってたって本当かい?ハハッそれだけじゃない。トウキョウシティは最悪の暗黒期を迎えていたさ!』


ラジオ越しに聞こえるコミカルな銃声、ビルが崩れる音。そして争うようにシブサワ、ニッポンイチ、イージスの企業CMが混ざり合って流される。それは都市運営委員会同士の企業戦争を表した。


ラジオチャンネルで企業戦争について深く言及するのはリスクが大きく(はばか)られる。だからこそ企業のCM音声を被せるように再生する事で示唆するのは通例だった。因みに先に再生が始まった方が劣勢、覆い被さるように再生された方が優勢なんて共通認識があった。


『目を覚ませ陰謀論者よ!そして今日という歴史に残る日を無駄にするな!今回のEXPOは、トウキョウシティ新生を象徴する学園大祭だ!家に篭ってスマイル弄る暇があったら参加しようぜ!どこも有給が飛び交い、大混乱だ!ハッハッ!』


混乱する職場の声がBGM代わりに流され、大勢の雑踏が聞こえた。


『大丈夫!今から5日間、しっかり土日を挟んで開催されるから社畜だって飛び込み参加出来るんだ!平日も土日も全部フル出勤?上司にボーナスをせびるチャンスだな!』


歯に衣を着せぬトークは、赤裸々にブラックジョークを垂れ流す。人気チャンネルなだけあってマイケルの口調は流暢に。


『只今転移タワーは激混み!おいおい!前日にはホテル取って移動しておけよ!自然公園前駅はスゲェ状態だ!都市警察総出の厳戒態勢、もしこのイベントに茶々を入れるアホな企業がいたら止めておけ!マジで死ぬぞ!』


『 EXPO専用アプリは落としたか?入場チケットの他、プレミアム会員に登録すれば、周辺のホテルの割引クーポン・会場内の空きブース体験参加権自動予約機能・エンベリのショーの開催時の自動通知機能と200%楽しむ為の便利機能目白押しだぞ!ハハハッ、企業らしく課金してもっと便利にってな!』


怒涛のEXPO紹介が終わり、最後にスペシャルゲストを呼んだ。


『さぁて、ここで天使の鼻歌を聞こうじゃないか!』


そして流れてくる可愛らしい鼻歌。1分ほど歌って、ラフィの声が聞こえた。


『皆さん!ラフィです!今日はEXPO初日、会場は大賑わいですよ!あなたも来てくれると嬉しいなっ。えへへ、1人でも多くの来場者をお待ちしてます!エンベリのランダムショーもありますから、お楽しみに!』


『ヒューッ!信じられるか?守護天使様は今一瞬俺の隣に居て、もうEXPO会場へ舞い戻っちまった!噂のラフィだけが使える謎転移を真近で見ちまったぜ!シャボン玉で移動するのは本当だったんだな!』


ラフィの鼻歌はレア音声。チャンネルの切り抜き動画がその後直ぐに出回った。





転移ゲートを通ってリコリコさんの前へ帰って来た。忙しいけど、これもEXPOを成功させる為!開催するのも良いけど、それ以上にプロモーションが成功失敗を分ける。


「お帰りラフィくん!ほんと忙しそうだね!」


「大丈夫です!今が頑張り時なんですから。」


「もうずっと頑張って来たじゃん!ほら、今日は一緒に楽しもう。」


カメラが回って、リコリコさんと一緒に手を振る。タマさんはギリギリまでミュージカルの練習と、ショーに向けての待機。ブランさんはひっきりなしに来るプロモーションのお話を選別して、特に効果が高そうなものがあったらボクへお話を通す秘書業務に忙しい。今この瞬間も、周辺の色んな商店や動画チャンネルに顔を出して!って依頼が殺到しているって。


ーラフィ!! ー始まった ーおお ーリコっちー! ーラフィは忙しないなXD ー初日は生配信で様子見勢 ープロはプレ課金&現地でOPイベ参加&生配信同時視聴なんだが? ー有給取れんかったワイ、怒りのトイレ内視聴 ーサボり仲間居てXD


コメントの滝は真横に流れて行く。ボクの頭上、カテンさんが宙でうねってカメラを覗き込んだ。


「我参上だ!ふふん、我のチャンネルを見てくれているリスナーはここにいるのか?」


カテンさんも配信者やってるんだよね。龍っていう種族のキャラ性で結構人気なんだっけ。


ー龍だ ー噂の ー配信やってたっけ ー知らん ー知らんが ーペット系動画カテゴリになんかあったような ーAIに自動でペット動画に選別されたアレか ーこんなん亜人差別だろXD ー悲しいけど龍には対応してないのよね ーネットニュースになってたなXD ー前にも獣人族配信者がペット動画カテゴリに振り分けられててキレてたな


ペット動画‥‥見上げれば、カテンさんは微妙な顔。そんな事になってたんだ。複雑だけど、運営に抗議して行くしかないよね。


『にゃはは、皆さんごきげんよう!皆大好き、ラフィさまプロデュースコンサルタントフィクサーですよ!』


フィクサーさんがボクのホロウインドウの中で踊れば、


ーフィクサー!! ー今日も可愛い ー俺の二次嫁キタ ーいつもフィクサーのお部屋見てます ーこのなりで悪魔なんだよな 


コメントがぶわりと反応して、皆の熱気が伝わって来た。フィクサーさんもすっかり人気者。


「今日は皆さんにEXPOの楽しい所をお見せします!でも、現地で体験するのが1番楽しいんですよ。だから先ずは選りすぐりをご紹介!」


先ず行くのはソノコさんが用意した不思議発見部のお化け屋敷!道中ボクがエンベリの活動で応援した事を紹介して、フィクサーさんがお化け屋敷のPV映像を流してくれていた。


「早速お化け屋敷なんて攻めるねー!」


リコリコさんは怖いの大丈夫かな?


「私は大丈夫だよ。あっ、でも怖がるリアクションしてラフィくんに抱き付いたりとか。」


ヒョイと腕をすり抜け、後ろ手を組んでリコリコさんを見やった。


「皆さんはお化けを信じますか?」


キョトンとするリコリコさんへボクは笑い掛ける。


「お化けって本当に居るんですよ。」


お化け屋敷をやろうって話を伺った際、実はソノコさんから大胆なお願いを聞いていた。あの時襲って来た幽霊にまた会いたいって。


最初は危ないからって断ったけど、お化け屋敷をやるなら本物をしっかり見たいって何度も聞いて。タマモさん達に相談した結果、吊られた女の霊をサンビさんの監督で連れて来て良いって。


再び見た3人の霊は逆らえないよう呪印で従わされて、朧屋敷復興の為の労働力として働かされていた。工事現場のヒトのような装いで、叩き込まれた建築技術を振るっていた。


紆余曲折あって、女の霊達は今あのお化け屋敷で働いている。サンビさんもエキストラとして参加していて、そういう参加者を募るのもソノコさんの人脈って事でOKが出されていた。



───リコリコさんは思わず叫び声を上げていた。薄暗いお化け屋敷は廃校舎のよう。サンビさんの術で管理された女の霊達の異界化空間が所々に展開していて、見た目からは想像つかない広さの校舎迷宮を楽しめた。


金次郎像がのそのそ追って来て、捕まっちゃうとそのままお化け屋敷の外へ転移させられる。徘徊者達から逃げながら出口まで走って、その間のチェックポイントの地点でボク達の戦いを再現したAR映像を真近で楽しめた。


攻略要素満載なお化け屋敷を、5日間の時間内に最後までクリア出来るかなって。そんな出し物は早くも話題になって、大勢が詰め掛けていた。


リコリコさんも最初に遭遇した金次郎像から逃げ出して、その先でバッタリ会った人体模型にタッチされてしまう。開始3分足らずで外へ転移してしまった。


リコリコさんが転移したらボクも同じように戻る。先の景色を見たいのなら頑張って攻略しようね。‥‥カテンさんはカメラの外で楽しげに突っ切って、10分ぐらいで出口から戻って来たのだった。


大気の流れを読めば出口が分かっちゃうって。なんかズルい。


「いやいや、ヒトは面白いものを作る!冒険しがいのあるアトラクションだった!ネタバレは出来ないが、最後のステージの演出は大迫力!手に汗を握ったぞ!」


カメラに向けて小さな龍の手をにぎにぎ。


ー可愛い ー可愛い ー手ちっちゃ ーなんかあざといわ ーこれはペットですわ ー飼いたい


流れたコメントをジト目で見やる。


「ぐぬぅ‥‥不敬過ぎるぞ。まったく。」


「でも直ぐクリアしちゃうなんて凄いですね。」


因みに中で駆動魔具を使うのはNG‥‥というよりEXPO関係者以外は開拓者や傭兵でも強化外装、駆動魔具、武器類の持ち込みは禁止だから。簡易バリア装甲発生装置とかはOKだけど。


魔法で体を強化して空を飛べる種族はそもそも想定に入っていなかった。


「飛んで駆け抜けるのはズルいって!」


リコリコさんに突かれれば、カテンさんは困った風にする事しか出来なかったのだった。


EXPOの出し物にはこういった、繰り返し楽しめるアトラクションも多い。ハムハムで色んなアトラクションが話題になって、誰もが学生達の独創的なアイデアに熱を上げている。


そんな中、ボク達の間へ徘徊者に捕まって転移してきた女子高生2人組が。


「ジャックさん!ヤスコさん!」


「ラフィ、こんな所で会うなんてね〜。」


「旦那?!ふへへ、恥ずかしい所を見られちゃいましたね。」


2人に駆け寄って、挨拶代わりにハイタッチ!


ー誰? ーランブルファイトで見た ー悪名高きバーニス運輸の ー正統派じゃないけど美少女 ー最近の子は綺麗な子多い ーラフィが懐いてるなら悪い子じゃないだろ 


なんて好き勝手言うコメントは2人に見えず。


「自信あったんですけどねぇ。流石に駆動魔具も無しじゃ躱すのが辛いんです。でもあーしもラフィの旦那様が辿った軌跡を少しでも見てみたいというか。」


「これどれぐらい本当の話なの?」


ジャックさんに、大体合ってるって答える。あの時はサバイバル迷宮ホラーを、スタイリッシュガンアクションにジャンル変えちゃったけど。


「2人にも頑張ってクリアして欲しいです。EXPOの間居るんですか?」


「婆ちゃんが子供なんだから見てけってさ。あっ!クロエ達も居るよ!お化け屋敷は怖いって言うから他に行ってるけど。」


そうなんだ。ボクが話し出すとリコリコさんはそっと邪魔にならないよう、気配を消して後ろに控えてくれる。


「今配信中で、2人と一緒には行けません。でもいっぱい楽しんで欲しいな。」


笑顔を向ければ、急にジャックさんがヤスコさんの背中を押してボクの前へ。ヤスコさんの手が、恐る恐るって風にボクの頭をもふった。


「旦那様、今夜のミュージカル。あーし絶対観に行きますからね。」


「楽しみにしていて下さい!すっごいショーにするんですから。」


2人は再びお化け屋敷の中へ消えて行った。クリアまで頑張って!


「‥‥ラフィくんのお知り合いって綺麗で可愛い子多いよね〜。」


ジト目なリコリコさんがそれとなくボクの頭をなでなで。急にどうしたの?そのままグイグイと背中を押されて次の場所へ向かった。


次の場所へ向かう道すがら、視線でリコリコさんに時間を伝えた。そっとリコリコさんが控えてくれて、ボクの姿はパッと魔法少年に。


ランダムショーは配信と同時にやるから、途中で抜ける感じになっちゃう。配信に映す分もあるし、カメラの外でやる分もある。全部配信しちゃったら、ランダムショーの価値が下がっちゃうって。


今回はカメラの外、会場の中央の広場で。魔法少年なボクが向かう頃には、ラズベリーさん達もデビルズ・エコーの面々と睨み合っていた。


「EXPOを台無しにしようとする悪の組織め!」


「正義の反対は正義、悪の反対は悪ってね!」


ヤミヨさんがトイ・ウェポン製の青龍偃月刀を構え、派手な動きで襲い掛かる。シュラウドさんもガンソードを構えてボクへ迫った。


ボク達を中心にバリア装甲が張られて、流れ弾が観客達に当たらないようになった。バリアの外側で居合わせたヒト達が歓声を上げて、早速声援が飛ぶ。


「ラフィー!!」


「ラズベリー!!」


「ヤミヨちゃーん!観てるからね!」


「シュラウド!末席パワーを見せてやれ!」


なんて。シュラウドさんはボクと取っ組み合いながら思わず苦笑した。


「誰が末席ですか。」


「十分強いですよ。」


「お褒めに預かり光栄ですね!」


薙がれたガンソードの刃先は、ひょいと頭を逸らしたボクの目前を一閃。突きを潜るように躱し、振り下ろしをスピードスターで軽くいなす。


「貴方は強くなり過ぎですよ!」


「沢山修羅場を乗り越えたんですから!」


ガンソードの銃口が向けば、スピードスターの銃口をピタリを当てがって牽制。引き金を引けずに5度ズラし、5度銃口が向かい合ったまま。流石のシュラウドさんもギクリとして、大袈裟に後退った。


観客達はそんな動きに熱くなる。いつもは大きく動いて戦っているけど、たまにはあまり動かずに戦おうかなって。シュラウドさんの撃った魔法弾は、スピードスターの魔法弾で撃ち落とせる。


「やはり正面からの銃撃戦じゃ厳しいですね。」


シュラウドさんは駆動魔具で大きく旋回、足元を刈る動きの回し蹴りを前にボクも飛び跳ねて躱した。ガンソードをスピードスターで防ぐも、そのまま体ごとぶちかますタックルで吹き飛ばされちゃう。


「きゃっ!」


「しかし、あまり舐めた戦い方をしないで下さいね!」


けどブラックカラントさんの相転移で、ボクの位置とヤミヨさんの位置が入れ替わる!ボクを追いかけていたシュラウドさんは、ヤミヨさんに肉薄してしまいしまった?!と顔に出す。ヤミヨさんもあちゃーって顔をしていた。


「今回は私達の勝ちだよ!」


ラズベリーさん達の一斉射撃で、2人はバリア装甲を破壊されてしまう。そのまま短いショーは幕を閉じ、ボク達は転移で消えて行ったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ