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466、レースが終わり、天使のお野菜の収穫へ

表彰台の上に立つラズベリーさん、そしてボク達もそれぞれホロウインドウの専用アプリに表彰ポイントが加算されていた。


『3位入賞』

3位の名誉を得たあなたへ。


『撃墜王』

1番沢山アイテムを使って命中させたプレイヤーへ送られる称号。


『烈風』

最も加速度を稼いだプレイヤーへ送られる称号。


スコアが上がればランクが上がる。繰り返しこのレースに参加してマックスランクの名誉をゲットしよう!なんて。


「さいっこうに面白かった!!正式にレースが開催されたら参加したいな!」


表彰台から飛び降りたラズベリーさんは、ぎゅ〜っ!とボクを抱き上げて大興奮!きゃっ?!と驚きながらも、ボクも楽しかった気持ちを伝え合いたくて身を任せていた。


「おめでとうございますっ!ラズベリーさん、凄かったですよ!」


抱きしめられ、近い距離で笑顔を向け合う。尻尾がボクの足に絡んで、グミさんの手がボクの肩をぐいぐい引っ張った。


「はいはい、アタシとも抱き合いましょうよ。」


「カメラ回ってるから、邪悪な連中はラフィに触んなって。」


グミさんに押し退けられ、タマさんは色々言いたげにするも引き下がる事しかできない。そういうのはパンタシアの中で、です。


「ハッハッハッ!よくやってくれた!世間は大賑わい、大好評だ!これは早くもEXPOの目玉が決定してしまったかもしれないな!」


上機嫌なトールさんはボク達の走りを褒め称え、レディさんも。


「最高の乗りこなしやったで!技術者冥利に尽きるってもんよ!100%のフルスペックの激闘は観客達のハートをガッ!って掴んでボォォッ!と燃え上がらせた!」


「しっかし、良いタイミングでシブサワはEXPOを独占したわねー。この技術も全部シブサワが買い取りでしょ?一人勝ちじゃない。」


「裏で何があったかは詳しくないけど、あんな突っぱねられ方してシブサワがまた委員長ちゃんの手を取るなんて。意外な展開だったわ。」


タマさんの隣、シライシさんもコウタロウさんが武装企業を靡かせた話題に興味津々なようだった。


「ウチらもラフィに興味津々なんや。自分の事もっと知りたいやろ?シブサワと提携してもええで。」


レディさんが語るには、マックス兄弟は既にちょっとした研究財団を抱えていた。マックス財団というそのままな財団は、特許ビジネスで研究資金を稼ぎ上げるマックス兄弟の大きな研究所。学歴の為‥‥というより新たな知見を得る為にこの大学に通っているけど、本当の目的は学生という身分を使ってこのEXPOに技術を売り込む為なのかも。


「EXPOを通して特許を使いたい顧客が増えれば、それだけ予算が増やせる。生憎シブサワの傘下に収まるメリットを感じないが、ラフィの研究の為なら条件付きに提携するのはやぶさかでもない。」


ボクの研究。データの提供は良いけど、変な実験には参加しないよ。


「ですから、先ずはブランさんとシブサワの外交官さんを通して下さい。でも‥‥知りたいを原動力に走り出したい気持ちは分かります。ボクもそうだから開拓者になったんです。」


深未踏地の神秘を沢山知りたいし、冒険したい。開拓者になっても夢を追いかけるボクは2人を応援したい気持ちだった。


「ボクを応援して下さるのなら、絶対退屈はさせません!征天大学のヒト達も大変なんですよ?ボクがぴゃーっ!って走った後には沢山の謎と神秘が残るんですから。」


開拓者ってそういうもの。誰にも知られずに埋もれていた未知を掘り起こして、研究者達へプレゼントするお仕事。皆の知りたいっ!の最先端を走り抜けて、どんな危険な地も走破していく流れ星。


ボクの開拓者論に、ラズベリーさん達は思わず苦笑い。


「ラフィくんが言うと説得力凄いけど‥‥」


「私らは未知を掘り起こした経験がないのぅ。」


「業界的に先輩なのに耳が痛いわ。」


「深未踏地‥‥ラフィとなら行きたいけど。」


タマさんの腕がボクを抱いた。


「開拓者かくあるべきって言うけど、実際は傭兵と根っこは同じよねー。」


キャウルンさんがそんな現実的なお話にキックをかまして、魔法少女と悪の怪人が戦うショーへ話題を引っ張り戻したのだった。





後日、パンタシアのプライベートフォレストにて。カテンさんの育てていたお野菜達が収穫期に入っていた。ボク達は農園へやって来て、瑞々(みずみず)しい新鮮なお野菜達と対面している。


お野菜達は売ればお金になるから、カテンさんも張り切って丁寧に収穫。ドローンが個別包装した商品がカゴの中に並ぶ。商品にはボクのイラストが載っていた。


「どうだ?!ラフィの癒しを浴びて育った新鮮な野菜だぞ!」


時間を作って様子を見に来たモモコさんとキュエリさんも満足げ。


「おお、一目見ても高品質って分かるね。急速栽培で育てた野菜は痩せがちだけど、ぷっくら太っていて艶が良い。やっぱりラフィの癒しは植物にも大きな影響を及ぼすようだ。」


モモコさんの品評を受けたカテンさんは宙で小踊り。提示された買取金額を見て大喜び。


「これはあくまで下限の金額さ。なにせ大規模栽培でない以上数は少ないプレミア品。早速商品の写真を撮ってオークション形式で売ろうか。でもその前に試食をね。」


ブランさんは既に調理を始めていて、生野菜のサラダに炒め物。串焼きバーベキューに野菜バーガーまで揃えてくれている。また養鶏場で育てられた卵も使った料理が並んだ。


卵の販売はもう始まっていて、少数生産相応の値段で販売中だった。卵だから超高級品って感じじゃないけど、それでも好評で。


「ラフィ卵は美味しいわ。癒しの影響かしんないけど、一切味落ちのないフルスペックの卵って感じ。」


癒しをしっかり浴びたニワトリさん同士の交配も始まっていて、最高の癒しを受けた親鳥に愛された2世は更に味わい深い卵を産んでいた。


でも卵はびっくりするぐらい味が激変したって感じじゃない。あくまで美味しい卵って範疇。健康的な美味しさが濃縮されていた。


ブランさんは野外料理場で料理をしながら、スキャンデータを報告してくれた。


「大きい違いはジューシーさでしょうか。明らかに含まれる水分量が違います。そうですね‥‥一般的な野菜と比べて“肥え太った”とでも言いますか。普通は規格以上に大きくなった野菜は急激に食味が落ちるものですが、(むし)ろ糖度が上がり食感にハリが出ているようです。」


包丁を入れた時に、ジュワァと汁が染み出していた。近くで見ているだけで香りが漂ってくる。高品質というより、明らかに普通じゃない。


そして実食。


「これは‥‥凄いな。生で食べても十分美味い。」


モモコさんの驚きの声。


「ふーん、炒め物にしちゃうと味はまぁ普通に美味しい野菜ってぐらいね。色々染み出しちゃうし仕方ないけど。」


タマさんの言う通り、生で齧るのが1番美味しいかも。


「サラダは美味しいです!こんなシャキシャキジューシーなサラダは初めて!」


フルーツサラダを食べているのかな?ってぐらいジューシー。全体的にほんのりと甘くて青臭さを感じない。逆に甘いのが苦手なヒトには向かないかも。


「ふーむ。育てる野菜の種類は考えた方が良いな。我としてはフルーツ類をメインに育てた方が良いと思うのだが。」


カテンさんもサラダをもっしゃもっしゃ食べながら、その目は次を見ていた。


「でも癒しの力だけでこんなに変わるものでしょうか?品種改良でもしたかのような変わりようです。」


皆で考察を言い合い、やっぱりボクの生まれが原因かもって結論が出る。


ボクはダンジョンコア。ダンジョンは獲物を誘き寄せる為に、内部へ獲物が好むものを生み出す。樹上世界で見たあのダンジョンは、如何にも草食動物が好みそうな草木を生やしていた。


ボクが日々癒しを振り撒く間に、美味しくなりますよーにって考えながらやってたお陰で影響を受けたのかも。最大限ヒトを魅了するお野菜に変貌を遂げていた。


「未知な部分の多い力だ。理屈はともかく、ラフィが癒しを撒けば段々植物が改善されてしまうのかもしれないね。ヒトを満足させる方向に。」


ダンジョンコアとしてダンジョンへ根付いていなくても、そういう事が出来ちゃうんだ。勿論そんな実験はされた事がない。ダンジョンコアと意思の疎通自体不明な領域のお話だし。


「ボクの思い通りにお野菜を改善だなんて。エゴを押し付けちゃった感じがします。」


「良いじゃない。要は品種改良でしょ?どんどん生態系の上位者としてエゴを振り撒いて行きましょうよ。」


「そうですね!この方向性なら他所に再現性はありませんし、独自のブランドとしてやって行けるでしょう。ただ、否応なしに畑の面積が増えていくでしょうが。」


そこにはキュエリさんも頷く。


「この特有の味わいを是非とも取り入れたいと、飲食関係から依頼が殺到するだろうな。販路の拡大は必然となるだろう。」


モモコさんも困り顔。


「うーん、どうしようか。」


癒しを撒くのにそんな時間は掛けていなかった。範囲を広げるだけなら簡単だし‥‥そもそもどれぐらい再現性があるのかも曖昧なんだよね。


「この出来の栽培を続けられそうなら、その時考えれば良いと思います。まだ初回ですし、今回はEXPOでの出展にするのはどうですか?夜の部でしたら企業祭になりますから出せると思います。」


それとフィクサーさんが提案。


「癒しを撒く量の違いでどれ程の変化があるかも実験するべきでしょう。プチトマトならポンとパンタシアの寝室へ置いておけます。いえ、ドローンの上で栽培しパンタシア内で常にラフィさまに追従させましょう。」


四六時中癒したプチトマトがどうなっちゃうのか。そう言われるとボクも気になる。とっても美味しくなると良いな。


面白そうなアイデアが次々出てくる。改めてニホンコク人は食への探究心が凄いなって。美食極まったこの時代に、それ以上の美食が現れればそこで満足せずに改善案が次々と飛び出す。


皆もっと美味しいを目指して目を輝かせていた。


美食の探究もまた未知への挑戦。知りたい、を原動力に深未踏地を駆けるのと同じ。ボクもノリノリで沢山提案したのだった。

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