表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

184/483

168、白い軍隊強化計画

応接室が今日だけ特別にガンショップへと様変わりしていた。キュエリさんの後、モモコさんからもメッセが帰って来て。


『僕に相談してくれるなんて分かってるじゃないか。確かにプチフィーがまともに戦えるようになったのならちゃんとした武器を持たせた方がいいね。良いものを見繕っておこう。』


そして当日プライベートルームに大量の武器が搬入された。


その片隅でソメヤさんも通常営業って感じにお店を開いている。


「ほぅ。これは壮観だな。開拓者なら誰もがワクワクしてしまう光景だ。」


クニークルスさんが楽しげに見回す。


どうせだからって知り合いの他の開拓者の皆も呼ぶ事にした。今ならシブサワグループの武器と、凄腕武器商の武器を好きに選んで買えるよっ!って。


「プライベートルームなんて初めて入るけど‥私の貯金で買えそうなのないかな?」


ラズベリーさん達もソワソワしている。魔法少女やっていても開拓者だし、普通の武器だっているから。


「おっ!なになに、品揃えの趣味良いね。」


ヤミヨさんはソメヤさんの並べた質量兵器のウェポンハンガーを眺め、はしゃいだ声を出していた。


「言っておくが、特別価格で売るのはラフィ様だけだ。まぁここにはあまり店頭には並ばない武器も多くある。好きに見ていけ。」


キュエリさんは、ウェポンカタログのデータを皆のスマイルに送信した。気になったものがあればARで確認でき、購入を真剣に検討する場合は実物が用意される。


ボク以外の皆の対応をするのは特別にやってきたショップ店員達だった。皆のあれこれ見たいって要求に忙しそうに応えていく。


さて、ボクは。


「ラフィ様、事前に伝えられた予算で用意したものになります。」


5丁の銃が掛かったウェポンハンガーを転移させてきた。どれも白と金で塗装されたスタイリッシュなデザイン。紫電と対照的な色合いがまた良い。


「シブサワグループ傘下企業、ファイヤ・ローズ製。ラピッドファイヤシリーズになります。」


ファイヤ・ローズ。シブサワグループ版ムラマサ工房みたいな会社。開拓者や傭兵へ向けて安価から高級品まで幅広く武器を取り揃えている。高品質、良デザインでムラマサ工房製と同じくらい人気が高い。だけど扱っているのは完全に武器類だけの特化型な企業だった。


「アサルトライフル、ショットガン、スナイパーライフル、サブマシンガン、速射ロケット砲の5種セットです。」


性能は際立った点はないし、EX弾頭も非対応。その代わり品質が安定していて、装弾数・射程も他社製品の同価格帯と比べれば一回り大きい。リロードは手動だけど、プチフィーに予め数を持たせておこう。それと補充専用のプチフィーも用意しなくちゃ。


スナイパーライフルはオオワシM100と比べれば威力、弾速、射程共に物足りないけど数で攻めれば強力そう。サブマシンガンも、複数束ねて弾幕を張ればあのセツナさんでも迂闊に近寄れないと思う。


速射ロケット砲は威力より低反動、高精度、高弾速に割り振ったものだった。それでも1発で普通のタクポなら墜落するし、頑丈な戦車ポッドでも5発も6発も立て続けに直撃すれば間違いなく爆散する。


マギアーツでの装填が可能で、連射性にも優れていた。


どれも今まで使って来た武器と比べたら数段性能は下がるけど、数で束ねて使うのなら十分強力な筈。


「お値段は80丁纏め買いで5000万円の所、ラフィ様が使用するだけで宣伝になりますから3500万円に値引きさせて頂きます。」


大体1丁60万円ぐらいかな?雑銃が高くても20万円いかないくらいと考えると、結構高い。流石都市の正規品。でも、


「1500万円も値引きするなんて本当に良いのですか?すっごい大金ですよ?あっ、その分でマガジンを大人買いします!」


値引かれてもやっぱり弾薬代は高い。スポンサーになった際、シブサワグループが一定の割合で負担してくれるって契約を結んだけど。それでも結構する。


「今後シブサワグループ全体の広告塔としてのお仕事を回していけば、弾薬費のシブサワ側の負担額を増額出来ます。」


キュエリさんはそう言ってくれる。頑張らないと!


「私らが100万行くか行かないかの金額で悩んでる真横で3500万円の買い物がされたんだけど。」


「あはは‥ラフィくんはお金持ちだよね。」


「しがない魔法少女と都市を救った英雄じゃ金銭の多寡に差が出るのは致し方ないのぅ。」


魔法少女達のコソコソ話が聞こえてくる。すっごい高い買い物なのは分かってるから。


「でも80丁って何に使うの?戦争でもするような量だけど。」


ラズベリーさんの前ユリシスを展開、ぴょいっと飛び出した10体のプチフィー達がわちゃわちゃとアピールする。


「どんな軍勢よ。本当に一個軍隊ね。」


グミさんの呆れた声に苦笑で返した。


「さぁさぁ!俺の分も買っていってくれよ!勿論サービスするぜ?」


景気の良いソメヤさんの声にボクはワクワク顔で歩み寄った。プチフィー達もボクの心情に呼応して、期待に満ちた目でゾロゾロついて行く。


「可愛い‥」


タマさんが後ろからスマイルのカメラを向けているの気付いているからね。


目の前にドン、と実物が置かれた。


ミサイルが大量に刺さったボクより大きい箱。設置して使うのかな?近付くと操作盤としてホロウインドウが出現した。


「ドワーフの鍛冶場製、高射式クラスターミサイルポッド・万雷(まんらい)だ。使い方は簡単、サーチアンドデストロイ。ロックオンした場所にクラスターミサイルが降り注ぐぜ。勿論!都市内では使用禁止だが、今回の件といい例外になる場所や状況ってのはあるもんだ。戦争するなら1機は持っとけ。」


打ち上げられたミサイルが空中で分裂して飛来する。広範囲を爆撃できる強力な兵器。但しEX弾頭の類は非対応、ミサイル代も結構高い。気軽に使える値段じゃない。けど切り札にはなりそう。お値段500万円の所、350万円。買うよ!


次に登場したのは大型の質量兵器。ウェポンハンガーに掛けられたそれは浮遊のマギアーツで浮かされて、なお質量を感じさせる。


「ドワーフの鍛冶場製、クラスB規格の半光学質量兵器アマノムラクモだ。アダマンタイト製だぜ。細かい説明は要らないよな?これで引っ叩けばヒトだろうが大型の怪物だろうが真っ二つよ。」


両刃の巨大な大剣。刀身だけでも5mある。許可を取って起動して見れば、刀身を紫光を放つラインレーザーが覆った。


「おーっ!」


思わず隣で見ていたヤミヨさんが声を出す。


「ラフィが振り回すのは難しそうね。ラフィも規格Bクラスの強化外装だけど、こういう兵器に対応するための体重増加系のオプションは控えめなの。その分のリソースをG低減に当ててるんだし。使えなくはないけど、軽々ってのは難しいわ。」


タマさんの見解に、ソメヤさんはチッチッと指を振ってプチフィーを指した。


「その小さい複数体で取り回せば案外楽に使えるかもしんねぇぜ?その為に握りの長い奴を選んだんだ。本来クラスB規格の質量兵器なんてデカブツ使うヤツはごく少数のマニアだが、ラフィなら上手く使い熟しそうだ。」


プチフィーは際立って力持ちじゃないけど、これを使うプチフィーだけ出力を上げる簡単な強化外装とか着せれば使えるかな?面白そう。


「お値段300万円の所、250万円でどうだ?」


「買います!」


そして更に登場したのはズン、とデカい細長い大砲みたいな武器。これも地面に設置して使うのかな?口径がボクの頭よりもずっと大きい。


「ムラマサ工房製、個人携行軽量型単装砲。グングニルだ。これは重砲と言われる手持ちタイプとは違い、地面に固定する‥つまりなんちゃって単装砲ではなく本家本物ってやつ。」


その大きさにその場の皆の視線が集まる。大きいし個人の武器というより軍隊が携行するような代物だった。


「単装砲の名の通り連射は出来ねぇが、威力はピカイチ。大怪獣の土手っ腹に風穴を開ける!文字通りワンパンKO出来るってんだ。これも都市内じゃ使用禁止だがま、使い道は幾らでもあんだろ。」


「お値段は1000万円の所、800万円でどうだ?」


そう聞くソメヤさんにクニークルスさんが。


「随分安いな。確かそれ正規じゃ2000万はしたと思うんだが?」


ソメヤさんはハッハッ、と笑った。


「近頃大規模な傭兵旅団が潰れかけで武器類売っぱらってんのよ。中古だから捨て値でな。」


もしかして。


「ほーん。そういう事ね。ゲイボルグから買い取った中古を売ってんの。」


「言っとくが中古って言っても動作性や品質は十分。それは俺が保証する。むしろあの大規模傭兵旅団で実戦配備されてた一級品だぞ?使わない手はねぇよな。」


ソメヤさんはニィッと笑う。


「買いますっ!」


結局全部買うことにした。流石に懐が寂しくなったけどその分大きく強くなれたから!


皆もそれぞれ良い武器を買えたみたい。楽しげに笑う皆の下に、ブランさんが淹れたての紅茶を届けて回っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ