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プリンス//フォー・ホースメン

……………………


 ──プリンス//フォー・ホースメン



 エルダーから連絡が来たのは予定通り2日後。


 ファティマたちはエルダーと合流するためにソドムの拠点を訪れた。


「よくいらっしゃいました。早速ですが仕事(ビズ)です。準備はよろしいですか? すぐに始まりますよ」


「ええ。準備万端です」


 エルダーが尋ねるのにファティマが頷く。


「まずはフォー・ホースメンとの取引です。向こうの兵站将校が待っていますので商品を持って合流しましょう。売値についての交渉もありますが、この手の交渉は面倒なことになりがちです」


「護衛はその件ですか」


「そうでもあります」


 ファティマの言葉にエルダーが苦笑いを浮かべる。


「エルサ―さん。車列(コンボイ)の準備ができました」


「では、行きましょう」


 エルダーの指示でファティマたちはタイパン四輪駆動車に乗り込み、フォー・ホースメン支配地域を目指す。


 フォー・ホースメン支配地域までは何のトラブルもなく、無事に到着した。ファティマとしてはちょっとばかり拍子抜けだ。


 フォー・ホースメン支配地域内は安全が一定基準で確保されており、ここが襲撃を受けるということはほとんどありえない。


「そろそろ目的地です」


 ソドムの車列(コンボイ)はフォー・ホースメンの基地のひとつに入った。


「エルダーさん。それが商品かね?」


「そうともチェン中佐。無事に運んできましたよ」


「結構。では、取引を始めよう」


 フォー・ホースメン側はアジア系の兵站将校が仕事(ビズ)の相手だった。薬品の取引だが、今回はグレースはいない。


「こちらとしての希望価格を提示します」


 エルダーはそう言って兵站将校の端末にデータを送信。


「これは高すぎる。いくらなんでも暴利だ。値下げを求める」


「我々は需要と供給の原理に基づいて動いています。需要があるから供給する。欲しい人間がいるから商品を作り、販売する。あなた方はこの薬品が必要なのでしょう? だから、取引を持ち掛けた」


 兵站将校は金額に不満を言うがエルダーがそう返す。


「であるならば、我々が値下げする必要があるのでしょうか? あなた方が必要ないと仰るのであれば他に必要とされる方に販売するだけです」


「分かった、分かった。払おう。全く、強欲だな。長い付き合いだというのに」


「これでも勉強はさせていただいているのですよ。しかし、今回は我々もリスクを犯しましたのでこれぐらいは払っていただかなくては」


「では、これで──」


 取引が締結されそうになった時、反重力エンジンの音が突如として響いた。恐らくはこの基地の直上だ。


「不味い。ゲヘナ軍政府の民間軍事会社(PMSC)だ。応戦しろ!」


「了解」


 フォー・ホースメンは基地に現れたのがフォー・ホースメンのレーダーの探知を避けて現れた民間軍事会社(PMSC)だということを確認し、基地の警備要員が送り込まれた民間軍事会社(PMSC)部隊との交戦を開始。


「おっと。どうします?」


「フォー・ホースメンの援護を。これを値引き分としましょう」


「了解」


 ファティマはフォー・ホースメンの援護のためにサマエルと出撃。


「私も手伝おう。今回はフォー・ホースメンがエルダーを守るはずだ」


 そこでマムルークがファティマの援護に回った。


「おや? フォー・ホースメンを警戒していたのでは?」


「思ったより相手がごねなかったから問題ないだろう。前に一度酷く揉めて銃弾が数発使われたことをエルダーが根に持っていただけだ」


「では、お願いします」


 マムルークが加わり、ファティマたちは送り込まれた民間軍事会社(PMSC)と交戦を開始した。


「どうやらあのロゴからしてラザロですね。エルダーさんの狙い通りですか?」


「分からない。エルダーは私にも状況を明らかにしていないからな。あの男が秘密を好む。自分だけが情報を握っていることの重要さを分かっている」


「なるほど」


 襲撃してきた民間軍事会社(PMSC)はラザロだ。ソドムとゲヘナ軍政府内の汚職軍人の取り締まりを進めている民間軍事会社(PMSC)である。


 ということは、狙いはソドムだろう。


「まずは通信妨害をお願いします、サマエルちゃん」


「分かったよ」


 サマエルがラザロの通信を妨害。


「オーケーです。では、殲滅しましょう」


 そこからはスムーズだった。


 そもそもここはフォー・ホースメンの基地であり、防空コンプレックスが存在する。それらが妨害されながらもラザロが送り込んだハミングバード汎用輸送機を撃墜。


「次は上空援護機を叩きましょう!」


 ファティマは上空援護機のバルチャー攻撃機に向けて“赤竜”を放つ。防空コンプレックスを攻撃しようとしていたバルチャー攻撃機が撃墜され、基地のグラウンドに墜落する。基地の外でも周りに民間施設はないので問題ない。


「後は歩兵を叩くだけ」


「ああ。殲滅しよう」


 ファティマとマムルークはフォー・ホースメンの部隊と連携して送り込まれたラザロの部隊と交戦。


「機関銃は制圧射撃だ! 対戦車ロケットはアーマードスーツを叩け!」


「了解!」


 数においてはフォー・ホースメンの方が多いが、装備の質はどうやらラザロの方がいい。ラザロが最新のヘカトンケイル強襲重装殻を使用しているのに対して、フォー・ホースメンは旧式のハニー・バジャー強襲重装殻を使用している


「まずはアーマードスーツを撃破、ですね」


「援護するからその赤いエネルギーブレードで叩け」


「了解ですよっと!」


 ファティマはマムルークに援護されながら“赤竜”でラザロのヘカトンケイル強襲重装殻を攻撃。ヘカトンケイル強襲重装殻が貫かれ爆発炎上する。


「撃破です!」


「よし。敵の火力は激減だ。殲滅できるぞ」


 ファティマとマムルークの働きによってフォー・ホースメンが前進できるようになった。生き残りのハニー・バジャー強襲重装殻が歩兵に援護されながら火力を叩き込み、ラザロの部隊を次々に撃破していく。


「クリア!」


「クリア!」


 そして、フォー・ホースメンが殲滅を宣言。


「片付きましたね。エルダーさんのところに戻りましょう」


「ああ」


 ファティマとマムルークがエルダーのところに戻る。


「そちらが招いたトラブルだろう。責任を取ってほしい」


「分かりました。では、少しばかり値引きを。こちらも戦ったのですからね」


「それでいい」


 どうやらエルダーは兵站将校に襲撃を招いだことを責められていたようだ。


「取引は終わりました。帰りましょう」


「大丈夫だったのですか?」


「あまり大丈夫ではないですね。これではこちらの信頼が失われてしまいます。迅速に潜入工作員(モグラ)を捕えなければ」


「ですね」


 エルダーとファティマはそう言葉を交わしてソドム支配地域に戻った。


……………………

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