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ピクニック//ウィッチハント部隊

……………………


 ──ピクニック//ウィッチハント部隊



 ファティマが放った空中炸裂(エアバースト)弾はMAG部隊に直撃した。


「うわ──」


 生じた爆発でMAGのコントラクターたちが薙ぎ倒される。


「手榴弾」


 さらにグレースがキャニスター手榴弾を投擲し、炸裂したキャニスター手榴弾が殺戮の嵐を引き起こした。


「敵襲、敵襲!」


「各自エネルギーシールドを展開。応戦しろ」


 だが、敵の動きはこれまで戦ってきたMAGの部隊と違って素早く、正確だ。強度のあるエネルギーシールドを部隊の隊列にとって効率的に展開し、強い陣地を瞬時に構築。そして、すぐさまファティマたちの位置を推測して応戦してきた。


「確かにこれは精鋭みたいですね」


「そうみたい。面倒なのがまた。ファティマ、“赤竜”で掻き乱して。私はスモークを展開後に突入する」


「了解です、ボス。“赤竜”!」


 ファティマは十本の赤いエネルギーブレード“赤竜”を展開し、その刃をMAGのウィッチハント部隊と思しき部隊に向ける。


「3カウント」


「3、2、1──」


「ゴー」


 グレースがスモークグレネードを投擲し赤外線遮断効果のあるそれが戦場を覆う。同時に“赤竜”がそのスモークの中を突き進みウィッチハント部隊に襲い掛かった。


「エネルギーシールドを破られた!」


「後退しながら弾幕を展開。このスモークでは赤外線センサーが使えない」


「了解」


 ウィッチハント部隊はアーマードスーツなどを“赤竜”に撃破されながらも商業ビルの中に撤退して陣地を作り、粘り強く抵抗する姿勢を見せた。


「貰った」


「なっ──」


 しかし、そこで回り込んで突入してきたグレースが思いがけない方角から攻撃。何とウィッチハント部隊の背後を突いた。後方からの攻撃を受けてウィッチハント部隊が大打撃を受ける。


「ファティマ。このまま畳む。仕掛けて」


「了解です」


 前方からファティマが後方からグレースが押し、ウィッチハント部隊を挟み撃ちにするとそのまま撃破しようと試みる。


「クソ。挟み撃ちだ。撤退するぞ。後方の攻勢は前方より火力が低い。後方から脱出する。火力を集中しろ!」


「了解」


 ウィッチハント部隊はグレースの方向に向けて火力を叩き込んだ。銃弾と爆薬が飛び交い、破壊の嵐が吹き荒れる。


「援護します、グレースさん!」


 ファティマがクラウンシールドをグレースの方に展開させてウィッチハント部隊の攻撃を防ぎ、さらに“赤竜”で猛攻をかける。


「突破、突破」


「撤収だ。急げ」


 しかし、ウィッチハント部隊は巧みな動きで撤退を成功させた。


「不味いですね。精鋭ってのは嘘じゃなさそうです」


「実戦経験もあるみたい。早くガーゴイルたちの救援に」


「ええ。急ぎましょう」


 ファティマたちは商業ビルの階段を駆け上り、ウィッチハント部隊と交戦しているガーゴイルたちの救援を急ぐ。


「サマエルちゃん。通信は妨害できていますか?」


「あ、あの、レーザー通信を使用してるみたいで、そっちはまだ……」


「レーザー通信。なるほど。その手もありましたね」


 ガーゴイルたちを攻撃しているウィッチハント部隊は通信を維持しているようだ。


「ガーゴイル、もう少しでそっちに到着する。無事?」


『かなり不味い。バルチャー攻撃機まで来た。狙われているが撃ってこないのは俺たちを生け捕りにしようとしているからかもしれないな。少佐、やはり来ない方がいい』


「もう少しで到着する。頑張って」


『クソ。分かった。何とか維持する。ウォッチャー! 少佐が来るまで踏ん張れ!』


 銃声と爆音が外から響いてくる。戦闘の真っ最中だ。


「ファティマ。この先でガーゴイルたちが戦っている。援軍に向かう。いい?」


「オーケーです。突っ込みましょう。私が先頭に立ちます」


「お願い。では3カウント」


 3秒のカウントの後にファティマたちが屋上に突入。


「リッパー! 敵の新手です!」


「はん。随分とのろまだね」


 ファティマたちは無事に屋上に辿り着いたものの遅かった。


 ガーゴイルとウォッチャーはMAGのコントラクターたちに拘束されていた。ナノマシンを使用するデバイスで失神させられている。


 そして、ガーゴイルたちを襲ったウィッチハント部隊の指揮官らしき人物がひとり。若いように見え、髪は赤毛のポニーテイル。


 だが、それより異様なのはT-4030強化外骨格に着けられた2本のマニュピレーターアームと小型の反重力エンジンで周囲を自律飛行する4本のリモートアームだ。そして、そこに握られている6本の超高周波振動刀。


「リッパー。撤収の準備はできています」


「じゃあ、撤退だ。フォー・ホースメンも大したことはない」


 リッパーと呼ばれたその女性が頷く。


「お姉さん! あの人がリーア・エラザールだよ!」


「なるほど! あれが指揮官! その首を貰いましょう!」


 サマエルが叫ぶのにファティマがクラウンシールドを展開してハミングバード汎用輸送機で離脱しようとしているリッパーことリーアに向けて突撃する。


「ほう? 面白い魔術を使っているな。その魔術、確かめさせてもらおう」


 リーアは獰猛な笑みを浮かべてファティマを迎え撃つ。4本のリモートアームはファティマがクラウンシールドを展開していない側面に回り込み、そのままファティマを貫こうとする。


「やらせませんよ!」


 ファティマは迫るリモートアームを“赤竜”で迎撃。リモートアームの超高周波振動刀とエネルギーブレードが剣戟を繰り広げた。


「リッパー。撤退命令が出ています。撤退を」


「ああ、クソ。分かった。ここは退く。じゃあな、フォー・ホースメンの犬」


 リーアは部下に呼ばれてスモークを展開するとその姿を消した。


「逃げられる!」


「お姉さん! 敵の攻撃機が向かって来ているよ!」


 リーアが撤退するのをファティマが追撃しようとしたとき、2機のバルチャー攻撃機が上空から降下してきた。爆撃態勢だ。


「“赤竜”!」


 ファティマは素早く“赤竜”を放ち、迫りくるバルチャー攻撃機を撃墜。


 しかし、その間にリーアとガーゴイルたちを乗せたハミングバード汎用輸送機は飛び立ち、飛び去っていった。


「不味いですよ。逃げられました。どうします?」


「当然救出する。今基地にいるバーゲスト・アサルトを呼び出した。緊急即応部隊(QRF)として待機している部隊」


「では、私たちも準備します。サマエルちゃん、情報収集をお願いします!」


 ファティマはサマエルに通信傍受を要請。


「さっきの敵はロック基地って場所に向かってる」


「ロック基地。軍刑務所ね。捕虜を運んでいるなら間違いない」


 それから未だにMAGのレーダーがダウンしている中、ハーピーたちを乗せたハミングバード汎用輸送機が商業ビルの屋上に到着。


「少佐。状況は?」


 パワード・リフト輸送機からウェンディゴが姿を見せて尋ねる。


「ガーゴイルとウォッチャーが拉致された。奪還する」


……………………

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