表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

152/171

内戦の序章//クーデター勃発

……………………


 ──内戦の序章//クーデター勃発



 ファティマたちはいよいよアデルがクーデターを起こすことを知らされた。


「アデルが動きますよ」


 アデルの動きはファティマたちにも伝えられていた。


「しかし、それとほぼ同時にドミトリーが戒厳令を布告するつもりのようです。恐らくスムーズなクーデターとはいかないでしょう。エデンは内戦になるはずです」


「アデルには伝えておかないの?」


「ええ。ドミトリーの戒厳令布告の知らせを得たのはアリスさんです。アデルに伝えればアリスさんの潜入が発覚します」


 グレースが尋ねるのにファティマが首を横に振る。


「それに内戦になってくれた方がこちらとしてもエデンは制圧しやすいです。彼らには是非とも内戦を戦ってもらいましょう」


 ファティマたちにとってはアデルがクーデターを成功させても意味はない。アデルのことはいずれ裏切るつもりなのだから。


 アデルにも内戦で疲弊してもらった方が都合がいいのだ。


「我々はゲヘナ制圧作戦アッティラ作戦の準備を進めましょう。いつでも動けるようにお願いしますね」


「了解」


 ファティマが改めて指示し、デモン・レギオンに加わっているものたちが頷く。


 そして、エデンでは情報通りアデルが動こうとしていた。


「シー議長。やれますね?」


「部隊は配置についています」


「では、始めてください」


 この命令と同時に国家保安委員会の捜査官たちが一斉に動きだす。


「国家保安委員会だ! 動くな!」


 シーの命令を受けた国家保安委員会の捜査官たちがエデン社会主義党の党幹部やエデン統合軍の司令官たちを拘束していく。


『プルート・ゼロ・ワンより各部隊へ。エデン統合軍部隊を無力化せよ』


 さらに国家保安委員会隷下の特殊作戦部隊が作戦開始。


 彼らはエデン統合軍部隊の制圧を始め、統合特殊作戦コマンドの無力化も図った。


「クソ。敵の抵抗が激しい。奴らこっちの動きに気づいていたな」


「どうしますか?」


「統合特殊作戦コマンドを基地から出撃させなければいい。ここに布陣する」


「了解!」


 国家保安委員会の特殊作戦部隊は基地の傍に狙撃銃や機関銃を配置し、さらにはアーマードスーツを配置して統合特殊作戦コマンドの出撃を阻止。


「アデル。党幹部のほとんどは拘束できたようですが、ドミトリーとレナトの拘束に失敗しました。相手はある程度この状況を予期していたようですね」


「それではクーデターは成立しません。何としても拘束を、シー議長」


「急がせます」


 国家保安委員会はトロイカの頭であったドミトリーとレナトの拘束を行おうとしたものの、ドミトリーはエデン統合軍に守られており、レナトはジェリコに守られていた。


 国家保安委員会の攻撃は残念なことにエデン統合軍に守られたドミトリーとジェリコに守られたレナトには通じず、ふたりはそれぞれ生き残るために必要なことを始めた。


「ただちに戒厳令を布告し、エデン統合軍をエデン全域に展開させる。ゼレール元帥、裏切者のアデルを殺してくれ」


「了解。ただちに軍の治安出動を開始する。一応聞いておくが国家保安委員会との交戦も許可するのだな?」


「許可する。全面的にやってくれ」


「分かった」


 そして、ドミトリーも命令でゼレール元帥が戒厳令を布告。


『現在エデン全域に戒厳令が布告されました。これに伴ってエデン統合軍の治安出動が決定されており、全ての市民はエデン統合軍の指示に従うよう──』


 あらゆる放送通信媒体で戒厳令が布告され、軍が治安出動する。


「これより我々は国家保安委員会本部を制圧する」


 機械化歩兵連隊と戦車連隊からなる1個戦車旅団戦闘団が国家保安委員会本部ビルの制圧のために動員され、バルチャー攻撃機の上空援護を受けた部隊が進軍。


 MBT90無人戦車を先頭に進む部隊が国家保安委員会の捜査官たちと交戦。


「対戦車ミサイルを使え! 敵の戦車を叩け!」


「クソ。装備が違い過ぎる!」


 所詮は治安機関であり、軍事組織ではない国家保安委員会は戦車などの重装備をほとんど有しておらず、エデン統合軍と正面から戦えば勝ち目はない。


 国家保安委員会は次第に押されて行き、国家保安委員会本部ビルも放棄し撤退。


 ここにきてアデルのクーデターは行き詰った。


 しかし、ここに来て別の動きが。


「国家保安委員会は当初の予定通り、エデン統合軍との正面戦争になって押されている。このままでいけばエデン統合軍によってクーデターは鎮圧され、アデルは失脚。ドミトリーは権力を握って核攻撃で問題を解決する」


 そう語るのは統合特殊作戦コマンド司令官のクリスティーナだ。


「そうなると無能なゼレール元帥も権力を握り続け、また民間軍事会社(PMSC)を使った愚策が続く。それは阻止しなければならない」


「全部隊、ただちに出動可能です、閣下」


「よろしい。エデン統合軍のドミトリーとゼレール元帥についた側の部隊の司令官の暗殺を実施し、混乱を呼び込む。ドミトリーとアデルが潰し合って双方の勢力が倒れることがもっとも望ましい」


 クリスティーナが命じ、統合特殊作戦コマンドが動き始めた。


 統合特殊作戦コマンドがドミトリーの側についたエデン統合軍の司令官やエデン社会主義党の幹部、また警察組織の幹部を暗殺。


 ドミトリーの側が押していた戦況が混乱し始め、アデルの勢力との潰し合いとなる。


 エデンはもはや銃弾と砲弾が飛び交う戦場と化した。


 そのような状況でファティマたちも行動を起こそうとしていた。


「アッティラ作戦を発動。この作戦を以てしてゲヘナ軍政府を殲滅します!」


 ついにゲヘナ軍政府制圧作戦であるアッティラ作戦が発動される。


「バーゲスト・アサルトとイェニチェリ大隊が配置についている。いつでも動ける。本当に始めるのね?」


「ええ。始めますよ。私も前線に行った方がいいでしょうか?」


「今のところは指揮官に徹して。前線の任務は他の人間がやる。これは大規模な軍事作戦だから個人の前線での働きはあまり戦況を左右しない」


「そうですね。今は指揮に徹します」


 ファティマとグレースが指揮する中でデモン・レギオンが行動を開始。


「ガーゴイル。MAGとジェリコの連中はまるで連携できないみたいだ」


「らしい。連中、エデンで何かあったな」


 バーゲスト・アサルトは前線に配置されているMAGとジェリコの部隊の間で緊張が見られるのを確認した。


 両者はMAGがドミトリーに、ジェリコがレナトについたために混乱しているのだ。


「各個撃破のチャンスだ。司令部を襲って攪乱するぞ」


「了解。やろうぜ」


 バーゲスト・アサルトとイェニチェリ大隊はMAGとジェリコの司令部を襲撃し、敵の指揮系統を破壊。前線配置されているMAGとジェリコの部隊が混乱状態になる。


「全軍前進です!」


 さらにデモン・レギオンが圧倒的に勝る物量を駆使した人海戦術が展開される。


「勝利を!」


「我々に勝利を!」


 勝利を信じて人々がゲヘナ軍政府が守るシナイ・フォートレスに向けて進軍し、ゲヘナ軍政府の制圧を目指す。


「戦車を盾にしろ!」


「対戦車ロケット、叩き潰せ!」


 本来ならば物量だけで質のないデモン・レギオンだったが、フォー・ホースメンやソドムから装備を入手したことで重武装の部隊を展開していた。


「進め! 勝利を!」


……………………

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新連載連載中です! 「人生リトライな悪役魔術師による黒魔術のススメ」 応援よろしくおねがいします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ