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内戦の序章//浮き上がる対立

……………………


 ──内戦の序章//浮き上がる対立



「先のアデル・ダルラン閣僚会議議長によって行われたエデン統合軍の作戦の漏洩は重大な国家に対する犯罪である!」


 そう批判するのはドミトリーだ。


「私は既に警察機関に向けてアデル・ダルランを拘束することを指示した。この任務が果たされ、適切な裁きが下されることを祈る。エデン社会主義党万歳!」


 ついにドミトリーがアデルへの攻撃を始めた。


「ドミトリー・アンドロポフ書記長による命令は法的根拠がなく、違法である。我々はこの暴挙に立ち向かう準備がある!」


 これに対してアデルは国家保安委員会の部隊で身を固めた。


「このままでは内戦が起きる……!」


 レナトはそう呻いていた。


「オフィーリア・ナイト最高経営責任者(CEO)。私の安全を最優先にしてほしい。どこか安全な場所へ逃げるのだ!」


「了解しました、ファリナッチ最高会議幹部会議長閣下。我々の保有する基地に移動しましょう。手はずは整えてあります」


 レナトが求めるのにジェリコの最高経営責任者(CEO)であるオフィーリアが応じる。彼らはハミングバード汎用輸送機に乗り込み、エデンをジェリコの基地がある安全なセクターへと脱出した。


 もはやトロイカ体制は完全に崩壊。内戦が近づいている。


「レナトは逃走しました。ドミトリーも軍の信頼できる部隊で周囲を固めつつあります。行動するならば迅速に動くべきです」


「そうですね。動きましょう。ドミトリーとゼレール元帥さえ排除できればレナトを排除するのは容易い。しかし、ひとつ問題が」


「核兵器ですか?」


「ええ。ドミトリーが核攻撃を命じる可能性について考えなければなりません」


 恐れるべきはエデン統合軍の核兵器を握っているドミトリーが核兵器を自分たちに使用するかもしれないということだ。


「仮にもエデン内で核兵器の使用には至らないでしょう。核攻撃を行うとしてもかなり追い詰められた段階です。エデンが崩壊すれば我々は共倒れなのですから」


「一応万が一に備えておきたいと思います。核兵器の使用を防ぐための作戦を」


 シーが説明するのにアデルがそう求めた。


「分かりました。ライオンハート特殊任務旅団を動員しましょう。国家保安委員会の精鋭です。確実に任務を果たしてくれるでしょう」


「実はデモン・レギオンからも申し出を受けているのです。彼らも核攻撃の標的となっているので核兵器を無力化したいと。そのために部隊を派遣する準備もあるとのことです。私はこれを受けようと思っています」


「それはいけません。デモン・レギオンはゲヘナにおいて活動すべきです。エデンに入れるべきではありません。彼らはこれまでずっとエデンを憎んできたのですよ」


「ですが、我々がそのエデンを生まれ変わらせるのです。同盟者は受け入れなければ信頼は得られません。それに送られてくる部隊は元はエデンの民間軍事会社(PMSC)だと聞いています」


「だから問題はないと?」


「ええ。彼らの信頼を得て、この戦争に勝利しましょう」


 アデルがそう押し通して作戦にデモン・レギオンからヴリトラ・ガーディアンズを加えることをシーに認めさせた。


「核兵器が無力化でき次第、ドミトリーとゼレール元帥を国家反逆罪で拘束します。では、お願いします」


「了解」


 そしてアデルたちが動く一方でドミトリーたちにも動きがあった。


「アデルを国家機密漏洩罪で拘束する」


 ドミトリーはゼレール元帥にそう告げた。


「向こうは抵抗するぞ。国家保安委員会は複数の準軍事作戦部隊を抱えている。それらが牙を剥くことは明白だ」


「だから、戒厳令をまず布告し、エデン全体に軍政を布く。その上でエデン統合軍の全部隊を投入するのだ。いくら国家保安委員会が準軍事作戦部隊を有していようとも本物の軍隊を相手にして勝利できるはずがない。だろう?」


「確かに。国家保安委員会の軍事力は限定的だ。叩けるだろう。しかし、その後はどうするのだ? アデルを拘束し、どうする?」


「軍事法廷で死刑にする。エデン社会主義党からも除名処分とする。それからゲヘナへの全面核攻撃だ。この戦争に勝利しなければ」


「ああ。この戦争に勝利しよう」


 ドミトリーの言葉にゼレール元帥が頷く。


 陰謀渦巻くエデンが戦場となる気配を見せる中、ゲヘナではもちろんデモン・レギオンが動いていた。


「アデルはヴリトラ・ガーディアンズの受け入れに同意しました。ヴリトラ・ガーディアンズを送り込みましょう。よろしくお願いしますね、カイラさん」


「ああ。任せておけ」


 ファティマは早速アデルが核兵器制圧のためヴリトラ・ガーディアンズを受け入れたことを報告する。


「それではいよいよゲヘナの完全掌握とエデン侵攻について考えましょう」


「説明する」


 ファティマが言い、作戦立案に当たっていたグレースが応じる。


「まず重要なのは軌道エレベーターを確保すること。そのためにはアルファ・ゼロ基地を制圧する必要がある」


 グレースは拡張現実(AR)を使って説明を開始。


「そうであるが故に軌道エレベーターに先行してソドムの部隊を侵入させる。軌道エレベーター基地の情報を収集し、いざという場合は軌道エレベーターを制圧する。これが先に実行しておくべきこと」


 軌道エレベーターを失えばエデンに攻め込むことはできない。


「そして、エデンにも伝手があるソドムならば軌道エレベーターに侵入することもできるだろう。それによって軌道エレベーターを確保しておくのだ。


「それからゲヘナ軍政府に対する全面攻撃を開始。作戦の詳細はこれを。これによってゲヘナ軍政府を壊滅させる」


「いよいよだね」


 グレースの言葉にデフネがそう言った。


「その後、ソドムが確保した軌道エレベーターによってエデンに向かう。それからエデン侵攻作戦を発動。まずはアデルと協調しながら敵対勢力を排除し、最終的にアデルも排除する」


「そして、エリュシオンへ。ファティマさんのためにも」


 今度がグレースの言葉にシシーリアがそう言った。


「では、皆さん。作戦配置についてください。いよいよゲヘナにおいてエデン社会主義党の勢力を排除する決戦を始めます。我々に勝利がありますことを!」


「勝利を!」


 ファティマの言葉にデモン・レギオンの面々が応じる。


「ファティマさん。念のためにアヴァロン・リカバリーで検査を受けておきませんか? その、まだ時間的な猶予があるかどうかを」


「ええ。そうしましょう。私としても把握しておきたいですから」


 シシーリアがそう申し出るのにファティマが頷く。


「では、アヴァロン・リカバリーへ向かいましょう」


 そして、ファティマたちはアヴァロン・リカバリーへと向かった。


 デモン・レギオンが勝利し、ゲヘナ軍政府を撃退する中でグリゴリ戦線の支配地域も少しばかり盛り上がっているかのように思えた。


「そろそろです」


 ファティマたちはアヴァロン・リカバリーの研究所に到着。


……………………

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