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大混乱//合流

……………………


 ──大混乱//合流



「敵の司令部は叩きました。次は友軍との合流です」


 敵の司令部を叩いたファティマたちはいよいよ友軍本隊との合流を目指す。


「このまま友軍に合流しましょう。既にこちらが向かっていることは知らせてあります。ただし、慎重にお願いします。敵は混乱していても敵の戦力が消滅したわけではないのですから」


「了解です、シシーリア様」


 ディアハンター小隊の生き残りがジェリコの司令部にあった武器弾薬を回収してから、グリゴリ戦線の本隊との合流を目指す。


 砲撃や爆撃で荒れ果てた廃墟を進み、ファティマは偵察妖精で周囲の索敵を続けた。


『こちらパトリオット・ゼロ・ワン。ホテル・ゼロ・ワン、シシーリア様。こちらに向かっているのはあなたですか?』


「こちらホテル・ゼロ・ワン。その通りです。受け入れ準備を願います。友軍誤射(ブルー・オン・ブルー)に警戒してください」


『了解。お待ちしています』


 そしてグリゴリ戦線の本隊からの連絡が入る。


「友軍が近いです。発砲には注意してください」


「了解!」


 シシーリアの指示でディアハンター小隊は友軍本隊との合流を目指した。


 そして──。


「おーい! こっちだ!」


 CR-47自動小銃で武装したグリゴリ戦線の兵士たちが廃墟から顔を出してファティマたちに向けて手を振って来たのが見えた。


「ああ。合流できましたね。指揮官は?」


「こちらです。既にイズラエル様にも連絡してあります」


「ありがとうございます」


 シシーリアとファティマたちはこの地域を防衛しているグリゴリ戦線の部隊と合流し、その指揮官と会うことになった。


「シシーリア様! ご無事で何よりです!」


「ええ。戦況はどうですか?」


「敵の砲爆撃が止まり、反撃が始まっています。敵の装甲部隊をあちこちで分断し、各個撃破しています。無理やり前進した敵の部隊は待ち伏せで叩きのめしました」


「そうですか。悪くない状況ですね」


 どうやらグリゴリ戦線にとっての苦境はある程度緩和できたようだ。


「では、これより我々は拠点に向かいたいと思います。拠点について移動したなどの情報は入っていますか?」


「いいえ。特にそのような情報は。ジェリコもここで前進を阻止できていますので」


「ふむ。一応確認をしておきたいと思います。通信機を借りられますか?」


「もちろんです」


 シシーリアはそのまま通信機に向かった。


「お姉さん。まだまだ戦うのかな?」


「そうかもしれません。私としてもグリゴリ戦線が潰れるようなことがあっては困りますしね」


 ファティマにとってもグリゴリ戦線はエデンとエリュシオンに反逆するために必要な戦力である。潰れてもらっては反撃が困難になる。


「連絡が付きました。拠点に向かいましょう」


「了解です」


 ファティマたちはシシーリアとともに拠点へと移動を開始。準備してあった軍用トラックに乗り込んだ。トラックの運転はシシーリアが行い、ファティマとクラウディアは護衛に当たる。


 さらにテクニカル2台が護衛し、トラックは拠点を目指した。


 暫くグリゴリ戦線支配地域を走るとトラックは無事に拠点に到着。


「シシーリア! 無事でしたか!」


 拠点に着くなりイズラエルがシシーリアを出迎えた。


「電子励起爆薬に罠を仕掛けた人間がいます。探し出してください。私の暗殺を試みた人間です」


「まさか、そんな。分かりました。リストアップします」


「それからインナーサークルの招集を。私が連れて行った人間はクラウディア以外全滅しましたから」


「了解」


 シシーリアの指示でインナーサークルの招集が行われ、また電子励起爆薬の準備を担当した人間がリストアップされる。


「リストです、シシーリア。しかし、どうするつもりですか?」


「やるべきことをやるだけです。まずはジェリコを押し返します」


 イズラエルが尋ねるのにシシーリアがそう返した。


「ジェリコに対する大規模な反転攻勢を行います。私が指定する部隊を先頭に立て、ジェリコに対して正面攻撃を実施。同時にテクニカルを主体とするゲリラ部隊を使って敵戦力に打撃を与えます」


「正面攻撃ですか?」


「その通りです。今の我々ならば可能です」


「分かました。やりましょう」


 そして、シシーリアの指示通り、グリゴリ戦線の部隊がジェリコに対する反転攻勢のために編成されて配置され始める。


 正面攻撃を行う部隊はCR-47自動小銃を装備しているくらいで数だけが多い。当初から人海戦術でどうにかするつもりなのは明らかだった。


「正面攻撃でジェリコを拘束することが目的です。我々の支配地域に入り込んだジェリコの部隊を逃がすわけにはいきません。敵に打撃を与え、二度目の攻撃がないようにすることこそが重要です」


「了解。厳命しましょう」


 シシーリアたちは攻撃に向けて動く。


「シシーリアさん。私たちはどうすれば?」


「ファティマさんたちはテクニカル部隊に加わり、ジェリコの襲撃をお願いします。私もそちらに加わります」


「分かりました」


 ファティマの役割がシシーリアから指示される。


「それでは作戦開始と行きましょう。車両へ」


 そうシシーリアが言い、ファティマたちはテクニカルに乗り込む。あらゆる車両に武器が取り付けられ、テクニカルに改装されていた。


 シシーリアは通信機能を強化した指揮車に乗り込んだ。


「イズラエル。正面攻撃を開始させてください」


『了解です』


 シシーリアの命令でグリゴリ戦線の大規模な部隊が正面攻撃を開始。


「進め、進め!」


「勝利を!」


 正面攻撃に加わる兵士たちには向精神薬が配布されており、彼らは異様な熱狂の中で強力な装備を有するジェリコの部隊に向けて突撃を開始。


「クソ! グリゴリ戦線の連中、数で押してきやがった!」


「叩きのめせ!」


 ジェリコは砲爆撃の支援こそなくなったものの、まだまだ装甲化された戦力を有している。戦車の歩兵戦闘車(IFV)が火力を発揮し、歩兵もあらゆる火力を発揮してグリゴリ戦線の津波のように押し寄せる大群と戦う。


「怯むな! 進め!」


「戦え!」


 友軍の死体を乗り越えてグリゴリ戦線の大群が突き進む。


「畜生! こいつら──」


 彼らはジェリコに肉薄すると梱包爆薬などで自爆し、装甲戦闘車両(AFV)や機関銃陣地などを吹き飛ばした。


 ジェリコの歩兵には無数の銃弾を叩き込み、津波のように押し流してく。


「司令部との連絡も取れず、さらには砲爆撃の支援もない! 撤退だ!」


 ジェリコの前線指揮官たちは撤退を決意。


「逃がすな! 追撃しろ!」


 だが、グリゴリ戦線が送り込んだ大規模な歩兵部隊に拘置され、身動きができない。彼らの相手をやめれば瞬く間に津波に飲まれてしまう。


「勝利のために! 進めえっ!」


 グリゴリ戦線は押し寄せ続ける。


……………………

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