№8 アーサーとベディヴィア
腹心との戦い。
第四宮にはベディヴィアが、その時を待ち、目を閉じ瞑想している。
彼の身長は160㎝の小柄で華奢な体格をしている。
透き通る青い瞳と童顔が、彼の24歳という実年齢より、若く幼く見えてしまう。
3人が辿り着くと、彼は静かに言った。
「アーサー様、勝負です」
「ああ」
アーサーは腹心の声に頷くと進み出た。
アリエルとケイがそれを制する。
「アーサー、君は、さっき、戦ったばかりだ」とケイ。
「無茶よ」とアリエル。
アーサーは2人に向かって微笑む。
「大丈夫だ」
彼はインターバルをおかず戦いの場へと立つ。
「来い。ベディヴィア」
アーサーは伝家の宝刀を抜いた。
「アーサー様、エクスカリバーを抜かれるとは、嬉しや、本気の勝負痛み入ります」
ベディヴィアは深々と頭を下げた。
「お前には、全力でいかねばならぬことぐらい分かっている」
アーサーはエクスカリバーを上段に身構えた。
「恐縮です・・では」
騎士は杖を頭上にかざし回転させ、下段に振り下ろす。
「変異覚醒、闇戦衣を召喚」
ベディヴィアの頭上に闇が覆い、中から闇の鎧と兜が現れ装着する。
「・・・な」
「闇騎士ダークヴィア見参・・・まいる」
ダークヴィアは神速で、アーサーに迫り、杖を一閃する。
彼はエクスカリバーで攻撃を受け流す。
「魔法陣、虜囚」
騎士は同時に受け流されながら、次の一手を打つ。
地に杖をかざし即座に魔法陣を描き、アーサーの動きを封じた。
すらり。
仕込み杖を抜き、細身のショートソードが煌めく。
「お覚悟」
アーサーはニヤリと不敵に笑った。
「いかがなされた」
彼の様子に、ダークヴィアは訝し気に尋ねる。
「ベディヴィアよ。お前には迷いが見える」
「何ですと」
「私は確信した。円卓の騎士はやはり円卓の騎士だと」
「・・・今更、あなた様は我が魔法陣にとらわれし身、どうあがこうと・・・」
「だったら・・・やってみるがいい」
「・・・よいでしょう・・・生死は問わず。バーン様の命ならばそれも一興」
ベディヴィアはアーサーへ剣を突き立て、駆けだした。
「ダーク・デス・イリュージョン!」
「ベディヴィアよ。お前の魔法陣、心の乱れがある。ゆるい、これでは私を捕らえられん。はああああ!」
アーサーは気合もろとも魔法陣を打ち払う。
刹那、エクスカリバーを頭上に高々と掲げる。
「シャニング・サンダーっ!」
輝く雷が剣に被雷し、光が闇の宮を煌々と照らし出す。
「ぐはーっ!」
ベディヴィアは雷の直撃を受け、気を失う。
「目を覚ませよ。ベディヴィア」
アーサーはエクスカリバーを鞘におさめる
3人は第四の宮を後にした。
圧倒的勝利。