№2 円卓の騎士覇王の配下となる
急転直下。
「まさか・・・父上」
アーサーは絶句する。
覇王の身体のまわりを覆う禍々しきオーラを感じたアリエルは、思わず彼の袖を握りしめる。
「アーサーよ。父は帰って来た」
「父上、あなたは・・・」
「死んだ。ワシもそう思った・・・だが生きておる」
「・・・父上」
ケイは額に汗をうかべその名を呼んだ。
「おお、ケイか、相変わらず修練に励んでおるか」
「・・・はい」
変わらぬ威厳ある父の声・・・だが、彼女は奥底に感じる不安を拭えない。
円卓の騎士筆頭であるランスロットとガヴェインは立ちあがり、バーン王の前に進み出ると膝をついて平伏した。
他の騎士達もそれに倣う。
「皆の者も息災で何より・・・さて」
バーンは息子に視線を戻す。
「これからのことだが」
「・・・父上」
「ワシがこの国を再び治める」
「父上、この国は前の国ではありません・・・これよりサン・ウエスト・ガイアの国々は一つにまとまります!」
「ならぬ!」
バーン王は即座に拒絶した。
「・・・なっ」
「お前のようなやり方では駄目だ」
「・・・父上」
「力と武をもって制する。これがバーン王朝のやり方ぞ。覇道の再開である」
「そんな・・・」
「バーン王、今はアーサー様がこの国の長であられます」
宰相レオナルドが書状を持って円卓の広間へ入って来た。
「なんじゃ、こわっぱ」
レオナルドはバーン王の前で平伏し、恭しく書状を掲げた。
「・・・ふん」
王は書状を開き見る。
「ワシの死亡証明書か」
「はっ!」
「現実を知れとな」
「恐れながら」
「はっはっはっ!」
王は豪快に笑い飛ばすと、書状を破り捨てた。
「ワシは生きておる。ここに」
「父上」
「もうよい」
王が右の手をひらくと聖邪槍が現れた。
「・・・・・・」
「アーサーよ。下がるがよい。ここからはワシが再びこの世界を手にする」
「父上、あなたの時代はもう終わったのです」
アーサーは意を決して言った。
「今なんと」
バーンは床に軽く聖槍の柄を置く。
瞬間、地響きが起こり、床が砕け窓ガラスのすべてが割れる。
王は繰り返す。
「今なんと・・・今なんと言ったアーサー」
「・・・父上」
「アーサー」
アリエルはアーサーの手をきつく握りしめた。
「ほう、小娘の方がワシの力が分かると見える」
「・・・父上」
「ワシは年老いたあの時の王ではないぞ。アーサーいかにお前が強くてもこのワシの相手ではない」
「・・・・・」
「ワシはお前の父だからだ!」
親子は互いに睨み合う。
ふと、バーンは顔を緩め笑顔を見せる。
「よかろう。それでこそわが息子。ならばここはひとつ雌雄を決しようではないか」
「何故ですか、父上」
「何故?バーンはずっとこうしてきたのだ」
王はイビル・ロンギヌスを息子へと突きつけた。
「ワシの言う事、お前の申す事、どちらが真か・・・」
禍々しい闇の力が辺りを渦巻き、騎士達を取り込むと、その瞳が鈍い鉛色へと変わる。
「我が円卓の騎士たちよ」
王は言った。
「はっ!」
アーサー、アリエルそしてレオナルドを残し、円卓の騎士達が膝まづく。
「お主たちは、これよりいづるワシの覇道暗黒宮を守るのだ」
「仰せのままに」
「アーサーよ。この現実を受け止めるのだ。そして覚悟が決まったらワシに帰順を示せ、または実力行使でワシに貴様の力を見せよ」
バーン王は身を翻し、その場を後にする。
従うは、円卓の騎士達、姉のケイは去り際にアーサーに目配をして広間を離れた。
呆然と立ちつくアーサーとアリエルそしてレオナルドであった。
アーサーは?