終章~おわりとはじまり~
ゴールっ!
アーサーの一閃一撃の攻撃をかわしたバーンは笑った。
「・・・実にいい剣だ!迷いのない一撃、アーサーよ、見違えた・・・なっ!」
バーンが喜悦する。
二撃目。
覇王は気づく間もなく、聖剣エクスカリバーが覇王の心臓を貫いていた。
「ま・・・アーサー、お前っ!」
父が見た息子の姿は、本来のアーサーではなかった。
瞳の中の黒眼は消え、全身から天上へととどかんばかりの神々しい光のオーラを発し、それは人智を越えた者であった。
「ふふふ、そうか、アーサー、昇りつめたか・・・父を超える為、そこまで・・・ぐふっ!」
闇の力により復活したバーンの身体が光に覆われ、浄化され消えゆこうとしている。
「・・・だが、息子よ。その後はなんとする?お前の意識、心、魂が失われた器では、その光はやがて暴走し世界を滅ぼすであろう・・・」
その時、そっと覇王を抱きしめる。あたたかい光。
「・・・お前か・・・迎えに来たのか・・・だが、私たちの息子が・・・」
王は消えはじめる意識の中、円卓の騎士達がみえた。アリエルが、そして、康治は右手を突上げ、ぎゅっと拳を固めてみせる。
「そうか・・・そうだな。アーサーには仲間がいる」
バーンの身体と心が熱くなる。
「いこう・・・さらば」
覇王は光りの中へと消えて行った。
光りに包まれたアーサーは、意識を失ったまま、やがて力が暴走しはじめた。
玉座の間は崩れ落ち、視界が光で白んでくる。
「ガヴェのおっさんと騎士たち、アリエル、ケイ、俺に力をくれ!」
康治は神と化したアーサーを見つめ言った。
「どうするのだ?」
尋ねるケイに、ニヤリ笑う康治。
「あいつの目を覚まさすしかないだろ」
康治は走りだす。
みんなは頷き、繰り出すのは祈りの最大奥義発動。
「祈り!アーサー・ナイツ・エクスクラメーション」
「うおおおおっ!」
康治は聖炎大剣を、光神アーサーへと振るう。
「目を覚ませっ!」
目も眩む光と力が、康治たちの思いを阻む。
「アーサーっ!」
アリエルは信じて叫ぶ。
「アーサー!」
ケイは祈る。
「アーサー様!」
円卓の騎士達は思いひとつに叫ぶ。
「アーサー殿」
ローリアンはじっと戦いを見つめる。
「おーっとぉ!」
虎徹の小指が激しく震えながら立った。
「こなくそっ!」
みんなの祈り願いが大剣に宿り、紅蓮の炎が光を裂いた。
「!」
無から驚の表情をみせる光神。
康治は器を真っ二つに斬った。
光が次第に薄れ、視界に世界が広がりはじめる。
・・・・・・。
・・・・・・。
「ありがとう康治、みんな」
目覚めたアーサーは感謝を述べる。
「・・・いや」
康治やみんなし浮かない顔をしている。
「どうした?」
アーサーが半身を起こしみれば、康治にべったりとまとわりつくブロンドの美少女がいた。
彼は親近感を覚える。
「・・・それは」
ブロンドの彼女を指さす。
黄金髪の女性は屈託なく笑った。
「アーサーだよ~。康治だあいすきっ!」
「ぬわあにぃぃぃっ!」
驚きと怒りがこみあげる。
「すまん、なんか、お前を斬った時、2人になってしまって・・・」
ごにょごにょと康治は言う。
ここぞとばかりに虎徹のゴールデンマイクが光る。
「おーっとぉ!これは凄まじい力を宿したアーサー殿の身体が容量に耐えきれず、分裂したとみた~!」
「んな、バカなっ!」
アーサは真っ先にツッコミを入れる。
みんなは苦笑いをする。
「まま」
「まあまあ」
みんなはなだめる。
「認めん、認めんぞ!」
アーサーは顔を真っ赤にして怒る。
「まあまあ」
「まあまあ」
ぽんぽん。アリエルが彼の肩を叩く。
互いに見つめあい破顔するふたり。
「・・・・・・くく」
思わずアーサーは声をあげて笑った。
みんなもつられて笑顔となる。
こうして覇王バーンの復活と闇世界の訪れは、アーサーと円卓の騎士達そして仲間たちによって阻止されたのであった。
ウエスト・サン・ガイアに再び、平和が訪れたのである。
おしまい
これにて完結です。
読んでくださった皆様には感謝しかありません。
ありがとうございます。
またのスピンオフで会いましょう(笑)。




