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№24 真なる者よ

 アーサー。

 

「ぐぐぐぐ」

「ぬぬぬぬ」

 力押しを試みる康治に、熟練の技と力で応じる覇王バーン。

「これは決着がつかんぞ」

 ガヴェインはエクスクラメーション中に思わず呟いた。

 アーサーの回復を祈りながらも戦況を見つめる騎士達であった。


 静かな光の世界にアーサーは一人佇んでいた。

私は・・・死んだのか・・・。

いや、まだ死ねない。

瞼の裏に浮かぶのは、アリエル。円卓の騎士たちに仲間たち。

 柔らかなあたたかい光に包まれる。

目の前には亡き母の姿。

母上っ!

 母は寂しそうに笑い、彼の心に問いかける。

(あなたは、それでいいのですか)

よくないっ!私はまだまだ生きたいっ!

 母の顔が慈しみの表情へと変わる。

(では、仲間を自分を信じなさい・・・ほら)

 アーサーは、はっと気がついた。

 みんなが自分を呼ぶ声が聞える。

(さあ、自分の力を解き放ち、父上を・・・あの人を解放してあげて)

・・・母上。

(行きなさい)

はいっ。

 アーサーは目を見開き願った。

 身体中から生気と力が漲って来る。

 戦える、戦うんだ。


「おい、じいさん、いい加減、根をあげたらどうだ!」

 康治は全力で聖炎大剣を押し込む。

「そなたこそ、ごり押しでは勝てぬ、相手がいることを知るがよい」

 バーンは涼しい顔で、イビル・ロンギヌスの力を最大限に発揮し、拮抗状態を保っている。

「埒があかない」 

 康治は歯軋りする。

「どうする?動くか?」

 バーンは不敵な笑みを浮かべた。


 アリエルの涙がぽとり、アーサの顔へと落ちた。

 彼はそっと彼女の手をとった。

「!」

 ゆっくりと目を開けるアーサー。

「アーサーっ!」

 アリエルはアーサーの顔をぎゅっと抱きしめる。

「アーサー様っ!」

 円卓の騎士たちは、彼の生還に喜び震える。

「アリエル」

 アーサーは優しく落ち着いた声で言う。

「・・・・・・」

「もう、私は迷わない。父上を解放する」

「うん」

 彼女の頷きに、彼は微笑むとゆっくりと立ちあがる。

 アーサーを雄々しく揺らめく光のオーラが包んでいる。

「アーサー」

 ケイは彼の名を呟いた。

「姉上、父上との決着つけてまいります」

 アーサーは一歩ずつ歩きはじめた。


「こなくそ!」

 先に力の均衡を破ったのは、康治であった。

 一度、大剣をひき攻撃態勢へと振りかぶった瞬間、バーンの強烈な一撃が腹に突き刺さる。

「ぐっ!」

「英雄コォジィ、仕留めたりっ!」

 バーンは槍をそのまま押し込める。

 槍圧で康治は吹き飛ばされる。

 

 アーサーは軽く舞うように、高々と飛びあがると康治を受け止めた。

「康治待たせたな」

「おっせえよ」

「もう大丈夫だ」

「おう」

「傷は深手か?」

「俺を誰だと思ってる」

 康治がニヤリと笑うと、アーサーもニヤリ笑い返す。

「では」

「ああ、行ってこい」

 彼は康治を床に降ろす。


 くるり、アーサーは父バーンを見つめる。

「アーサー」

 覇王が呟いた次の刹那、アーサーは目の前に現れ、エクスカリバーを一閃する。

 かろうじてバーンは強襲をイビル・ロンギヌスでかわした。



 ここに復活。

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