《10.ずっと会いたかった》
「お久しぶりですね。お義姉様……」
「ニーフ、姫殿下?」
王家専用の客間、そしてその場所はニーフ姫殿下だけが使用を許されている特別な場所。
そんなことは勿論知らなかったシーラは、目の前に現れた人物に驚きを隠せなかった。
──ニーフ姫殿下がどうしてここに?
混乱するシーラの疑問を解消するが如く、少年はニーフの方へと歩みを進め一言。
「もう、遅いよ!」
「ごめんなさいね。公務が予想以上に多かったの」
少年の安心したような無邪気な声によって、シーラの思考は正常に稼働する。
──ということは、まさか!
信じられない。そう考えるシーラはどうしてもあと一歩が踏み出せずにいた。
「まさか……ニーフ姫殿下が私を?」
「ええ、そうよ。お義姉様」
「どうして?」
シーラが尋ねると、ニーフはシーラに駆け寄りシーラの胸に顔を埋めた。
「だって、言ったではありませんか。……私にとってお義姉様は、世界で一番大切な存在だって」
「そ、それは……」
──3年前の話でしょ?
シーラはそう考えていたものの、ニーフの方はそんなことは気にしていなかった。
「お義姉様……月日がどれだけ過ぎようとも、私のお義姉様に対する気持ちは変わりません。ずっと、ずっと……お会いしたかった」
顔を埋めたまま、ニーフはそう答えた。
「お姉さんさ」
見兼ねた少年は、目を細めながら言った。
「取り敢えず、今はその子に言うことあるんじゃないの? お姉さんのことをずっと大切に想っていて、こんなことになっても助けようと尽力してくれたんだよ」
「……そう、よね」
──そうだったわ。御託なんて今は必要ない。
抜け出せない泥沼から引き上げてくれたニーフ姫殿下に私が伝えたいことを伝えるのが最優先よね。
「ニーフ姫殿下」
「……はい」
「ありがとう。私を助けてくれて」
シーラの感謝を聞くと、ニーフは涙ながらにポロリと呟いた。
「当たり前のことです。お義姉様は、私の……私だけのお義姉様なのですから」
こうして、シーラはニーフと3年ぶりの再会を果たした。
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