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第36話 眠り姫と唐突な提案

「さて、いつもの行きましょうか!」

「……」


 ベッドに潜り込み、毎度の如くクイズチョップタイムといこうと意気揚々な白音。

 そのすぐ隣で、固まる叶多。


「どうしたのですか?」

「いや……」


 背筋に冷たいものを感じながら、口を開く。


「なんか近くないかと」

「あっ、いえ、これは……」


 白音は見てわかるくらいの狼狽を見せる。

 が、それでも離れようとしない。


「なんか、その……ちょっとくっつきたい気分だったというか、なんというか……」


 代わりに、布団でちょこんと口元を隠し、上目遣い。

 その破壊力たるやツァーリ・ボンバ(人類最大の水素爆弾)の如し。


 なんだ? 先ほど撫でたお返しか?


「……さっき、いきなり撫でたりして、ごめん」

「いえいえそんな! 謝らないでください」


 にじり、と白音が余計に身を寄せてくる。甘ったるい匂い。


「むしろその……」


 もじもじ。


「えっと……」

「……どうした?」

「や、やっぱりなんでもありません! ささ、早く見ましょう、クイズチョップ」


 強制的に話を流されてしまった。

 叶多的には一刻も早くこの甘い空気から逃れたかったため、白音の提案に乗っかることにする。


 Youtubeのレコメンド機能で最初に表示されたクイズチョップの最新動画をタップ。

 お馴染みの挨拶とともに、クイズが始まる。


『支線式鉄塔を除く……』

「東京タワー」

「えっ!?」

『世界の塔の高さランキング第24位……』


 ピンポーン!


『東京タワー!』

『正解です!!』

「す、すごいです叶多くん!」


 わーぱちぱちと、白音が大仰に拍手をする。


「なんでわかったのですか?」

「支線式鉄塔、って出た時点で、世界の塔の高さランキングの問題ってわかったし、1位はスカイツリーなんだけど、それだと安直だから日本の中では2番目に高い東京タワーが来るかなと」


 加えて、Youtube向けコンテンツということで視聴者がパッと結びつきやすい解答が来るだろうという直感もあった。


「すごいすごいすごいです!! クイズチョップのメンバーさんたちよりも速かったですよ!」

「いやいや、今回のは運要素強かったよ……実際のところ、2位や3位が聞かれる可能性も十分にあったし」

「それでも、しっかりと正解をもぎ取ってくるのはさすがとしか言いようがありません!」

「先ほど頭が茹で上がった分、冷静さが消え失せて思い切りがよくなっているのかも……あ」

「んぇっ……」


 自分から掘り返してどうする。


「……」

「……」

「と、東京タワー、叶多くんは行ったこと、あるのですか?」


 顔を東京タワーみたいな色に染めて、白音が話題転換を試みてくれた。


「あっ、いや、ないな……スカイツリーはあるけど」

「奇遇ですね、私もです」

「まあ、みんなNo.1に行きたがるよな」

「個人的には、東京タワーの方が好きなんですけどねー」

「どうして?」

「だってなんか、趣があるじゃないですか。何十年も東京の発展を見守ってきたかと思うと、なんだか、素敵だなぁって」

「……なるほど?」


 優しげに目を細める白音。

 まるで、長年家族と時を過ごしたマイカーに別れを告げる時みたいな、愛おしげな瞳。



「叶多君!」


 良いことを思いついた、と言わんばかりに白音が声を弾ませる。

 

「明日、暇ですか!?」

「えーと、朝昼晩とカロリーと息を摂取する以外は、特に?」

「フリータイムってことですね」

「カラオケみたいに言うね」

「東京タワー、一緒に行きませんか!?」


 それは唐突が過ぎないか?



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― 新着の感想 ―
[一言] ……古くありません? それ、現役の高校生は普通知りませんよ……?(多分……) か、かわいい~。
[良い点] ふふっ、ナデナデのせいで距離感がバグってきてるぞ~ いい傾向だ(ΦωΦ) [一言] おっ、デート?デートのお誘いですね?( *´艸`)
[良い点] 白音さん自身は気付いてないですが、普通にデートの誘いをしてますよね。出会った当初から誘っていても不思議はないですけど。 [一言] そろそろ、叶多さんが帰るときに無意識で引き留めるとかしそう…
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