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side森山未来 その後のクラスメイト達

 真也が落ちていった日、森山未来は自分の部屋で泣いていた。


「やっぱり、真也君だったのかな...あの時助けてくれたのも」


 未来は、昔、車に轢かれそうになった時に、助けてくれた男の子の面影を真也にかさねていた。


「また助けられちゃったのかな......まだお礼もできてないのに」


 彼女はその時、倒れるようにして助けられので、思わず跳ね飛ばして、その場から逃げてしまったのだ。

 そんなことを考えながら、彼女が泣いていると、


「未来、大丈夫? 入るよ~」


 そういって愛が入ってきた。


「あ、愛。 私は大丈夫だよ」


「そんなわけないでしょ、ひどい顔だよ」


そういいながら彼女はハンカチを渡してくる。


「あ、ありがとう」

「ううん、仕方ないよ。クラスメイトが目の前で死んじゃったんだもん」

「愛は悲しくないの?」

「う~ん、どうかな。 真也君とは関りがなかったから、悲しいとは思ってないかもしれないけど、少なからず動揺はしていると思う」


 そういって彼女は同情してくれた。


「そろそろご飯だよ? 今日はみんなで話し合うことがあるらしいし、いこっか」

「うん、そうだね!」


 そういって無理矢理気持ちを立ちなおし、未来は食堂へ向かっていった。

==========================================================================================

 食堂へ入ると、みんなが集まっているテーブルがあったため、未来達もそこへ座ったが、やはりここは暗い空気になっていた。


「これでみんな揃ったね。 今日は大変だったね。だけど・・・・・・」


 そういって勇気はみんなに励ましの言葉をかけていたが、


「おい勇気、別に真也が死んだからって何か変わるわけじゃねーだろ? 俺はもういくぜ」


 そういって岡田達は立ち去ろうとした


「待ってくれ岡田君! ここから先が重要なんだ。 この話だけでも聞いてほしい」


 そういって岡田達をひきとめると、勇気は今後のことを話していた。対して前と変わることはないが、死を目の当たりにしたクラスメイト達にとっては少なからず救いの言葉になったであろう。しかし、それとは別に未来は他のことを考えていた。


(誰も真也君が死んだことを悲しんだりはしていないんだね。私たちが助かったのは真也君のおかげなのにな。)


 元々孤独な真也だったが、勇気の口からでるのはこれからも頑張ろうという言葉のみで、他のクラスメイトからも真也が死んだことに対することは特に言われなかった。そうして、勇気の言葉により、クラスメイトの団結力は元より強固なものになり、今日は解散となった。


========================================================================================== 自分の部屋に帰った後、未来は親友の愛に自分の涙の訳をはなしていた。


「愛、私ね。 前にも真也君に救われたことがあるんだ。 中学生の時にね。 車に轢かれそうになったとき、真也君が私を助けてくれたの。 その時は抱きしめられてたから、恥ずかしくて何も言わずに逃げちゃったんだんだ。」


 愛はその話を、無言で聞いてくれていた。


「今回もさ、真也君はみんなを助けてくれた。 でも、誰にもお礼さえ言われてないよね。 その上、みんなはもう彼のことを忘れようとしている。 これってすっごく悲しいことだと思うの。 もし、もういないとしても、私は彼にちゃんとお礼を伝えたいなって思ったんだ。 だから、この思いを背負って生きていこうと思うよ」

「うん、そうだね。 未来の言うことは正しいと思うよ。 私たちはみんな真也君に救われたのに、もう彼のことを誰も気にしてない。 私もできる限り覚えていようと思う。 でもね未来、無理をしちゃだめだよ? ただでさえ異世界に来て、精神的には辛いでしょ? その上、真也君が落ちて言った理由は分からないよね。 煙のなかから真也君が出てきて、落ちていった。 今は魔法の爆風に巻き込まれてしまったってことになってるけど、きっとあなたは自分の魔力が大きいせいで彼を吹き飛ばしてしまった、とかも思っているんでしょう? だから、今は思いっきり泣いても大丈夫。 きっとそのうち、彼が落ちていった理由もわかるようになるから。それに、私もあなたの思いを、少しだけ背負ってあげれるかもしれないから」


 そう言われて、未来は思いっきり泣いてしまった。 愛の言う通り彼女は少なからず自分のせいだと思い込んでしまっていた。 その上、未来は、真也の孤独さ、そして、救われなさに同情してしまっていた。 それらが、彼女の涙の訳だった。


「絶対、あなたが救ってくれた命を無駄にしないからね、私、頑張るね、真也君」


 そういって彼女は、真也を初めて認めた人になった。



 


















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