ステータスの確認
「おお、成功したぞ!」
俺が目を覚ますと同時に、そんな声が聞こえた。まさかとは思ったが、本当に
異世界へ召喚されてしまったらしい。
「おい、ここはどこだ!?」
「元の場所へ帰してよ!」
そんな声が聞こえてくる。中には、俺と同じオタクで、むしろ興奮してるやつもいた。
「勇者様方、落ち着いてくだされ。エルザ案内してやれ」
そんな声がした。声の方向へと視線を向けると、いかにも王様のような恰好をした人がいた。
よく見てみると、自分たちがいる周りも豪華なつくりになっており、声の主はその中でも
特に派手な椅子に座っていた。
「はい、お父様。それでは勇者様方、どうぞこちらへ。質問はこちらでお受けいたします」
中にはまだ文句を言ってるやつもいたが、みんなそのエルザと呼ばれた女性へとついていった。
「初めに、こちらから説明をさせていただきます。皆様は魔王討伐のために、私たちが召喚した
勇者です。」
話を聞いていると、いかにもテンプレといった内容だった。魔王が誕生して、この国に被害が出ているらしく、それを助けるために僕たちが召喚されたといった内容だ。そして話をしているエリザという女性も、この国のお姫様だった。
「以上で説明は終わりです。勇者様方の質問にお答えいたします」
質問が終わると同時にクラスメイト達が一斉に質問をした。中には罵声を浴びせる人もいた。
「今すぐ帰らせてよ!」「早く帰して!」「ここはどこなの!?」
多くが冷静を欠いていて、同じような質問しかできておらず、無駄に時間が過ぎていると、
「みんな、いったん落ち着こう。話を聞いていると姫様も仕方なく僕たちを呼んだんだ。姫様が困っているなら、僕たちは助けてあげるべきじゃないか? 僕たちにはそれができる力があるんだ!」
と、完璧超人の勇気がいった。それに対し、みんなはわりとすぐに落ち着きを取り戻していった。その理由として、話の中で説明された"固有技能"というものがある。召喚された僕たちにはそれぞれ強力な固有技能が備わっているらしい。
「姫様、僕たちは帰れるんでしょうか?」
少したって、勇気がいった。
「ええ、もちろん。魔王討伐が終わり次第、変えることができます。勇者様方が今の状況に対して納得いかないのは理解できます、しかし、我が国は危機に瀕しているのです。どうか、どうかお願いします......」
いかにも信用できなそうな返答だった。しかし、それに対し、人を疑うということをしない勇気は、
「みんな、姫様もこういっているんだ。僕は目の前でこの国を救えるのに見捨てるなんてことはできない!でも僕の力だけじゃこの国を救えないかもしれないんだ。みんな、一緒にこの国を救ってくれ!?」
勇気は頭を下げてそういった。それに対するクラスメイトの対応は、みんな一緒で
「おう!(はい!)」
だった。俺もこの国に対する多少の疑惑はあるが、今帰れない以上は仕方ないと思い、特に何も言わなかった。それに、夢にまで見た異世界転移であり、かなりワクワクしていたのも事実だった。
「勇者様方......ありがとうございます! それでは、次へ移らせてもらいます。私についてきてください。」
そういって姫様は歩き出す。
「それでは今から勇者様方のステータスと固有技能を確認します。こちらに並んでください」
そうして僕らは、球体の前へと並んだ。
「これは勇者様方のステータスを確認するための道具です。この道具で確認した後は、<ステータス>ということで確認することができます」
「それでは、誰から確認しますか?」
「僕からいこう」
そう勇気がいい、それに続いてほかの同級生達も並んでいった
「それでは、この道具に手を置いてください」
勇気が手を置くと、その道具が光りだす。しばらくして、光が止まる。
「それでは、ステータスを確認しますね......な!?これは......まさか本当に出るとは...噂だとしか思っていませんでした」
どうせ<勇者>でも出たんだろうと思っていると、本当にその通りだった。固有技能なしとかだったら面白かったのにとか思ってしまった。とりあえず、そんな勇者な彼のステータスがこれだ。
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佐藤 勇気 歳:16歳 男 種族:人族 レベル 1
職業:勇者
体力:500
魔力:500
筋力:500
俊敏:500
耐久:500
固有技能<勇者>
技術:言語理解
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「なんだこのステータスは...レベル1で騎士団長の俺とほぼ同じステータスだと!?」
「流石勇者様というところですね」
残念ながらものすごく高いことは間違いないらしい。他のクラスメイトでは、すごかったのは松田愛と森山未来で、そのステータスは
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松田愛 歳:16歳 女 種族:人族 レベル 1
職業:聖女
体力:700
魔力:650
筋力:250
俊敏:250
耐久:300
固有技能<聖女>
技術:言語理解
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森山未来 歳:15 女 種族:人族 レベル 1
職業:魔導士
体力:600
魔力:800
筋力:200
俊敏:200
耐久:200
固有技能<魔導士>
技術:言語理解
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どうやらこの世界の平均は100らしく、騎士になると150~350、ちなみに今の騎士団長は520あたりらしく、この国ではトップらしい。他国にも同じぐらいの人はいるが、数は両手で数え切れるぐらいらだ。
ほかの人を見ていてわかったが、固有技能は職業とは関係ないらしい。なので、職業と固有技能が同じ人たちは、召喚された中でも、さらに強いらしい。ちなみに、固有技能は戦闘系と生産系にわかれていて、生産系はステータスが戦闘系より低かった。
他の人の番が終わり、ついに俺の番がやってきた。ちなみに俺は最後になってしまった。
「それでは、手を置いてください」
「はい」
そして手を置いてでてきた自分のステータスは、予想的中というか、ひどいものだった。
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星野真也 歳:16 男 種族:人族 レベル1
職業:
体力:100
魔力:100
筋力:100
俊敏:100
耐久:100
固有技能<合成>
技術:言語理解
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『「えっ?」』
驚きのあまり、姫様とハモった。
「あ、あはは~、こういう人もいますよね! 気にしないでくださいね!」
「は、はぁ」
俺は何となくこの後に起こることを想像してため息をついた。そして俺は姫様についていき、みんなの場所へ戻ってきた。そこでは案の定ステータスの見せ合いっこが繰り広げられていた。どうやら<ステータス>というと見れる画面は、見せようと思えば他人に見せれるらしい。
「以上でステータス確認は終わりです。職業がなかった人はステータスの中から選ぶことができますのでご自由にえらんでください。次に、この城を案内させていただきます。私についてきてください」
再び姫様へついていく、どうやら俺たちがいたのは城の一室で、俺たちを召喚するために作られた部屋らしい。 その後、食堂や訓練場、謁見の間をまわって解散となった。俺たちには一人一部屋与えられたらしく、みんなはこれからのことを友達と話しながら部屋へ向かっていた。俺は一人で部屋へ歩いていた。そのことがいけなかったのかもしれない。
「なぁ星野、お前のステータス見せてみろよ!」
「あ、ああ わかった」
ヤンキー3人組に囲まれては恐怖で考えを回すこともできず、俺はステータスを見せてしまった。
「はっはっは!!なんだこいつのステータス!みんなみてみろよこいつのステータス!全部100だぞ!」
「おいおい、マジで言ってるのか?」
「なにそれ~、低すぎない?」
「生産系の私たちでさえ、平均200はあるのに」
本当にその通りだった。言われてから見せたことを後悔した。こうして、低すぎる僕のステータスはクラスメイト達に公開されてしまった。そしてそれは、ステータスが実力にかなり影響するこの世界では、かなりまずいことであった。
「明日からが楽しみだな!!」
逃げるように部屋に入るときに、そんなセリフを吐かれた。召喚された中には誰一人として仲がいい人がいなかった。彼はこうしてクラスメイト達に突き放されてしまった。




