新たな体
「またここか」
真也は大きな扉の前で大きくため息をついた。 それは、真也達が転移された時の扉のようなものだった。
「こんなことになってるってことは、ボス部屋ってことか、ま、とりあえず入ってみるか」
そういって中に入ると、中には
「な......」
半人半牛、ミノタウロスがいた。
「くそ、またこいつとあうのかよ」
どうやらミノタウロスはこちらに気づいたらしく、こちらに向かおうとしていた。しかし、
「遅い......?」
その動きがやけに遅く見えた。 まるでスローモーションを見ているようだ。
「俺が速くなったのは確かだが、ここまでなのか?」
そんなことを考えながらミノタウロスに近づいていく、そして、
「フンッ」
思いっきりミノタウロスの前の空間を殴ってみる。 すると、
バンッ、という音とともに、ミノタウロスの上半身が消し飛んだ。
「え...? ここまで強くなっているのか。 加減に気を付けないといけなそうだな」
そういいながらミノタウロスの死体に近づいていくと、いびつな形の石をみつける
「これが魔石か......<合成>」
そういうと、魔石が光り、その光が自分の中に入ってくる。
「これでいいのか? <ステータス>」
------------------------------------------------------------------------------------------星野真也 歳:16 男 種族:? レベル25
職業:剣士
体力:250750
魔力:250750
筋力:250750
俊敏:250750
耐久:250750
(変更があるときステータスだけ表示します)
------------------------------------------------------------------------------------------
「おー変わってる。 ミノタウロスの魔石が+500、レベルが1上がるごとに+10ってことかな?」
そういってステータスを確認していると、ミノタウロスの死体の後ろの壁が崩れ、階段が現れだす。
「これで先に進めるってことか。 でもその前に、色々試してみるか」
「まずは<火支配>かな。 う~んどうすればいいんだ?」
真也はとりあえず使ってみるため、方法を考え出す
「"火よ"」
そういうと、視線の先に火が出てきた。それを頭の中で色を変えたり、大きくしてみたりする、そうすると、それに伴い、その火も変化する。
「なるほど、火を出したのが<全魔法支配>で、火を操っているのが<火支配>かな? なんとなくそんな感じがするんだよな」
<水支配>も試してみたが、同じような結果だった。
「なら次は、<毒生成>と<毒支配>、<糸生成>と<糸支配>か?」
そう思い、さっきと同じように、やってみる。
「"毒よ"」
これでも毒は出てくる、が、どの程度の毒なのかわからない。 とりあえずミノタウロスの死体にかけてみた。
「うわっと」
かけた瞬間に死体は解けて、床に毒の液がつく。どうやら、詠唱で使える毒は危険らしい。 なので、頭の中でミノタウロスの死体を溶かさない毒の液を想像して毒を生成してみる。すると、
「お、うまくいったな。 どうやら生成やら支配とかは、イメージしたものができるってことか」
これを<糸生成>でもやってみたが、同じような感じで、ミノタウロスの死体を切れるぐらい固い糸も作ることができたり、ミノタウロスの死体を持ち上げれるぐらい粘着力が強い糸も作ることができた。
「さてと......次は<全魔法支配>だな。 とりあえず色々と実験してみるか...」
そういって頭の中でイメージをしてみる。 まずは氷魔法で、床一面が氷になるようにイメージをして、手をした方向に向けてみる すると、
「わお。 無詠唱でも魔法を使えるのか。」
目の前にはイメージした通りの景色が広がっていた。
「ってことは、今の体の中を通っていく感覚が魔力か。 とりあえずこれに慣れてみるか。」
そういって真也は、胡坐をかいて、瞑想のような構えになり、全身に魔力が行き渡るのをイメージする。すると、
「お、おーー。 これが魔力っていうものか? やっぱり見えないのか。」
なんとなく体に行き渡るのは感じることができるが、見えないことにイライラしていると、
「ん、あれ。 魔力見えてるな。 これ、魔力っぽいな」
体の周りを覆っている魔力のようなものが見えるようになる。 試しにさっきの氷魔法を使ってみると。手の先から魔力が出ているのを感じることができた。
「なるほど、これが魔力か。他の魔法も試してみるか。」
そういって真也は他の魔法を試してみた。どうやら真也の魔力はほぼ無限に等しく、どれだけ使っても半分も使うことはできなかった。
「よしよし、<全魔法支配>は分かった。~無効とかはその通りだろう、<硬化>はたぶん俺の体はめっちゃ固くなっているんだろうな。 <光速移動>はここで試すのは怖いからやめよう。 次試すなら<飛翔>だな!」
そうやって彼は<飛翔>を試そうとする、すると、
「バサッ」
「あ?」
翼のような音が聞こえたと思ったら、自分の背中から白く輝く翼が生えていた。
「これを使えってことか?」
そういって翼を動かそうとすると、まるで手足のように動かすことができた。 どうやらこの翼は、<飛翔>を使おうとすると出てくるらしく、使わないと思うと消えた。
「不思議な翼だな。 まあいいか、自分の状態は分かったし、鏡が欲しいな。 <不老不死>と<再生>の効果はいずれわかるときが来るだろう」
そういって真也はダンジョンの下層へ進むために、階段を降りて行った。