ステータスを検証してみた
ステータスの『編集』に夢中になっていたら、『編集』を始めた時は深夜だったがいつのまにか空が明るくなっていた。でも興奮して今更眠るに眠れないし、家族が起きだすまでまだ少し時間があるから外を散歩することにした。
家の扉を開け、外に出ると朝の空気は冷たくて気持ち良かった。
「ステータスオープン」
【エディット・ツクラー】
【年齢】見た目は14だが本当は10000
【職業】真の勇者
【HP】99999/99999【MP】99999/99999
【攻撃力】9999【防御力】9999
【魔力】9999
【保有スキル】全てを見通す目、絶空両断剣、すべての魔法を極めしもの、スキルテイカー
『編集』
ステータスを表示するとやはり昨夜『編集』したままだった。
もっともこれは俺が勝手に書き換えただけなので、実際の能力とは全然違うはずだ。
でもなんとなく、俺はものすごく強くなった気がする!もしかしたら本当に強くなったのかもしれない。
それを確かめるべく俺は村の外にでて、一番近い草むらで手頃なモンスターを探し始めた。
この草むらによく出るのはスライムというゼリー状のモンスターで、この世界で一番弱いモンスターらしい。実際村の大人たちが定期的にスライムを棒で叩いて退治しているためそこまで強くはないのだろう。
でもそのときは平均より貧弱な俺はスライムを一人で倒せることができなかった。悲しい。
もし『編集』したステータスのままだったら俺はスライムを一撃で倒すことができるだろう。もしかしたら殴った瞬間に弾け飛ぶのかもしれない。
10分ほど草むらを探し回っていると、果たしてスライムを見つけることができた。ただ気になるのは普通のスライムは綺麗で透明なグリーンなのだが、このスライムはちょっとどす黒い。初めて見るが、昔聞いたスライムの変異種といわれるものかもしれないし、単に体調が悪いだけなのかもしれない。
「まあこいつでいいか、《絶空両断剣》!」
スキルの発動にはスキルの名前の発声をしないといけない。俺は手刀を剣の代わりにして渾身の力でスライムにチョップを繰り出した。
ボヨッ
スライムは弾けも砕けもせずに俺の攻撃をはじき返した。さすがにダメージは入ったらしいが倒せたわけじゃない。
「《絶空両断剣》!《絶空両断剣》!《絶空両断剣》!《絶空両断剣》!」
繰り返してチョップをスライムに打ち込む。スライムはかなりダメージを負ったみたいだがそれでも倒せる気配はない。
そうしていると今度はスライムが体当たりを繰り出してきた。
ドゴォ!
うわめっちゃ痛い!一旦スライムから距離とって現在のHPを確認してみる。
「ステータスオープン」
【HP】99989/99999
HPは10しか減っていなかった。いやステータスを『編集』する前の最大HPが20だから、もし本当のステータスが『編集』前ならば最大HPのちょうど半分が吹っ飛んだことになる。
つまりあと一撃食らったら死ぬ可能性がある。やばい、逃げよう。
結局スライムを倒すことすらできなかった上、調子に乗ってスライムに殺されました、なんて恥ずかしくて死んでも死にきれない。
俺は全力疾走でその場から逃げ出し、村の入り口まで必死の思いでたどり着いた。幸いスライムは足が遅いから追ってきたりはしなかった。
さっきまで命からがら逃げてきたので息が上がってゼエゼエと必死に肺に空気をとりいれようとしていると、村のおじさんが声をかけてきた。
「エディ、どうしたんだ?そんな息苦しそうにして」
「ちょ……っと、村を、出たら、スライムに、殺されかかって……」
「ああ、それで村まで逃げてきたのか。無理すんなよエディ、お前は弱いんだから。スライムは大人たちに任せればいいし、魔王は勇者様がきっと倒してくれるさ。お前が無理して強くなろうとしなくていい」
そう言っておじさんは鍬を担いで畑に向かった。すでに日は登っており、昨夜から眠っていないのでものすごく眠いが、俺も畑仕事を手伝わないといけない。
どんなにステータスを『編集』しても、いくらステータスをカンストさせても俺は弱い雑魚のまま。所詮このステータスは『嘘』でしかないし、ちょっと強くなった気がしていい気になっていた俺が馬鹿みたいだ。
でも、
「ステータスオープン」
【エディット・ツクラー】
【年齢】見た目は14だが本当は10000
【職業】真の勇者
【HP】99999/99999【MP】99999/99999
【攻撃力】9999【防御力】9999
【魔力】9999
【保有スキル】全てを見通す目、絶空両断剣、すべての魔法を極めしもの、スキルテイカー
『編集』
やっぱかっこいいししばらくこのままにしようかな。