怪魔惨状
「それにしても異世界転生者かぁ…最近増えてきてるってのはきいたことあるけど」
そう呟いたのは怪魔帝国の怪魔・デリバリー・カンパニーのカスタマーサービスの一人、コーン・ヤーントである。彼は今魔王レディ・サタンの側近クモジィの魔法による水晶玉によって勇者たちの動向を監視を一緒に見ていた。
「奴らはやはりナントー街を出発し、ファーム村を目指すようです。」
「ふむ…予想通り我が城の結界を解くつもりだな。ところで近くの魔物たちはどうなっている?」
「はい、先程配下のインプが奴らに向かいましたが一瞬でやられました。」
「…あまり重要視してはいない村であるがゆえにこうなることは分かっていたがな」
そう魔王は残念そうに言うとコーン・ヤーントに振り向いた。
「コーン・ヤーントとやら、貴様らが派遣する怪魔という奴らは本当に大丈夫か?」
「うーん…よくわかりませんけどまぁこっちのペースに持ち込めはできると思いますよ。」
「本当に大丈夫か…?」
魔王は不安に思うとクモジィはこう告げた
「そろそろ怪魔が奴らの元に辿りつきますよ。」
「よし…では見せてもらうぞ。貴様ら怪魔の実力を」
そして魔王とその側近は再び水晶玉を除いた。
「まあここらへんの魔物は余裕だよねぇ〜」
そういうアズマとアカルの前にはインプの群れが倒されていた。
「神から貰った力のおかげだがな。」
そう言ってアズマは長刀、アカルは剣と盾を収めた。
「そういえば僕達は職業としては何になるんだろう。」
「強いて言えば俺は魔法戦士、お前はパラディン、と言ったところだろうな。」
「でもそれって僕たちの武器だけで決めてない?」
「実際それっぽいだろ。俺たちが習得してる魔法もスキルも含めてな」
そう言って再び歩き出すと上空から新たな魔物の気配がした。
「なんだ?」
「うん?あれって…見たことない魔物だなぁ。」
そしてその魔物は勢いよく着地し、砂煙が上がった。
そして砂煙が晴れて見えたのは頭は丸く、細い角がはえて顔は一つ目でたらこ唇に左右それぞれに出っ歯が2本、人の顔に見える鎧を着て大きな翼の生えた悪魔がそこにいた。
「お前は…魔王が使わした刺客か?」
「………」
その悪魔はじっと2人を見つめていた。
「え〜と、なんか言ってくれないかなぁ?」
「俺たちと言葉を交わす気はないということ」
「ほあ〜!こりゃおったまげった〜!!!」
そういうと悪魔はいきなり近づいて彼らに握手をした。
「!?」
「ほえ!?」
「ん〜だ噂の異世界転生者に出会えたのははじめてだっぺ〜。この色紙にサインしてくんろ!」
そう言ってその悪魔は色紙とペンを彼らに渡そうとした。
「まてまてまて!お前は一体何なんだ?」
「オラの名か?おらん名前はヴァベルムっつって怪魔の一人だ。」
「かっ怪魔?」
「そう!おめぇさたちを倒すために魔王様に呼ばれた怪悪魔だっぺ」
「やっぱりそうか」
そういうとアズマは静かに長刀を抜いて構えた。
「俺はこんなところで立ち止まってるつもりはないんだ。」
「いんやちょっと待ってほしいだーよ。その前にサインほしいんだけんども。」
「お前にサインなど与えるつもりはない…ていうか何で俺たちのサインなんか欲しがるんだ?」
「そらぁ自慢したいからに決まってるだーよ!!帝国にいる奴らに―
ダキューン!!
「危ない!」
「うわわっ!?」
「だっぺー!?」
突然後ろから狙撃音が鳴り響いた。
「バアーット!!敵にサイン求めるやつがあるか阿呆ぅ!!」
そして音が鳴った方にいたのはその狙撃音の正体だと思われる狙撃銃を持ち、頭と腰下から緑色の電気を放出し、タレ目でおちょぼ口で軍服をきた妙な怪人がいた。
「プラズマン!いきなり撃ってくるなーよ!!」
「シャラップ!!テメェが阿呆な事するからだ」
「なっ何!?銃!?」
「イエース!私の名はプラズマン
「お前もそいつの仲間か?」
狙撃音で転んでいたヴァベルムはすぐさまプラズマンのところへバツが悪そうに戻ってきた。
「ザッツライ。まぁこのざまだけどな。」
「んだどもさぁ。やっぱこう」
「ワンモアシャラップ!今は仕事!こいつらを仕留めろぉ!!」
そう叫ぶとプラズマンはアズマに向かって狙撃した。
「ふんっ!!」
しかしアズマはそれをいとも簡単に斬り払った。
「オゥイエス。まぁこれくらいはやってくるだろう
だかこれはどうかな?」
プラズマンは再び狙撃した。だが弾は途中で3つに分かれて左右上から襲いかかってきた。
「はぁ!!」
しかしアズマはひるむ事なく弾を斬り捨てていく。
「ワッツ!?ホーミングショットが!」
「そこだ!!」
プラズマンが撃つと必ず当たる魔弾、ホーミングショットを斬り捨てたことに驚くと同時にアズマはプラズマンに向かって素早く剣による刺突を放った。
「ウェアイントラブル…!!」
だがプラズマンはそれを銃で危なく受け流し避けた。
「そっこだー!!」
しかし避けた先にはいつのまにかアカルが剣を振り下ろそうとしていた。
「やらせぬだーよ!!」
そこにヴァベルムが飛んできてタックルを仕掛けアカルを弾き飛ばした。
「うわっとと」
「アカル!!」
「ギガ・ダークボール!!」
アカルを弾き飛ばした先にヴァベルムは闇の魔力の塊を作りアカルに向かって投げつけた。
「テラ・シールド!!」
しかしアカルは手のひらを前に出し大きな光る盾を生成し、ギガ・ダークボールを防いだ。
「悪いけど、僕の守りはそう簡単に破れないよ!」
「グヌヌ…」
一方アズマは再びプラズマンに刺突を放とうとしていた。
「バァート!!これならばどうだ!?」
するとプラズマンは頭をアズマに向けて緑色の電気をビームのように撃ちだした。
「プラズマビーム!」
アズマは向かってきたビームに向かい長刀を縦に構え突撃し、
「ブレイクソード!!」
と唱えると長刀が青く発光し、ビームを2つに割った。
そのままプラズマンに近づき長刀を振り下ろそうとしたところで銃撃音が響いた。
「…!!」
「イェース。流石にあの程度で止まるとは微塵も思ってないがゆえ、少々足の付け根を撃ったが、どうだ?」
プラズマンは頭を向けている途中銃弾をセットし、アズマの足が見えた瞬間その付け根を撃ち抜いたのだ。
流石に痛みと足の付け根を撃たれた影響でバランスを崩し、その場から転げ落ちた。
「アズマァ!!」
「よそ見してるヒマねーだーよ!!」
ヴァベルムは口から凄まじい勢いで毒の息を吐き出した。
その勢いは毒関係なくその勢いだけでもダメージになりえた。
「そこをどけぇ!!」
しかしアカルは負けることなく盾を構えながら突撃し、そのままヴァベルムに突撃し、ヴァベルムはその突撃で盾を顔面に食らった。
「ぶへぇ!!」
プラズマンがアズマに向けて銃口を向ける直前、アカル
はアズマの前に立った。
「テラ・シールド!!」
と盾を生成したあと、
「シールダー・ブレイク!!」
と盾から大きな光線を放った。
プラズマンが迫り来る光線に一瞬動揺するも頭を下げ、プラズマビームを繰り出し、
「オラも手伝うだ!!」
とヴァベルムも毒息で盾からの光線を迎え撃った。
怪魔たちの毒息・ビームとアカルの盾の光線のつばぜり合いは、拮抗しあう所に力が反応し、やがて大きな爆発が起き、目の前が砂煙で覆われた。
「ま、前が見えねぇだ!」
「カムダウン!それは奴らも同じ条件だ!周りをよく見渡せ―」
その瞬間、プラズマンの腹が何かに斬られていた。
「アウチ!!」
「え?」
「まっまさか…」
そして怪魔たちが後ろを振り向くと、そこにいたのは動けないはずのアズマがいた。
「…疾風居合斬り。」
そしてその長刀を収めるとプラズマンを切ったところから大きく出血した。
「プラ…ズーマ…」
そしてプラズマンはその場で消滅した。
「プラズマン!!…こーなったらこっちも容赦しねーだよ!!」
そう言ってアズマの方に振り向くとヴァベルムの鎧から眩しい光が放たれた。
アズマは素早く目を閉じたが、その時、ヴァベルムが再びタックルを繰り出そうとしていた。
アズマはそれを目を閉じたまま気配を感じ取り、ついにそこまで来たところで横一線に斬ろうとしたが、そのままヴァベルムはその斬撃をジャンプで飛び越し、後ろへ回ろうとしていた。
「あっはっは!そーくると思っていただーよ!!」
「ちょっとちょっとー?何か忘れてるんじゃない?」
ヴァベルムがその声に振り向くとそこには剣を構えたアカルがいた。
「げぇ!?」
その声に反応し、再びダークボールを放とうとしたもののすでに時遅く、
「セイントクロス!!」
ヴァベルムを十時に切り裂かれ、ヴァベルムは吹き飛ばされてしまった。
「がぁ!!っ…せめて…せめてサインを…ぐふぅ」
とヴァベルムも消滅した。
「やっやっと倒した〜…」
とアズマはその場で倒れこみ、アズマは長刀を収めるとアカルに近づいた。
「大丈夫か?わりぃ。俺のせいで」
「うん…大丈夫だけど…やっぱり呪文を展開中に他の呪文唱えるのは気分的にすこしダルいねぇ〜…」
実はアカルはテラ・シールド・ビームを展開している時に平行してアズマに回復呪文を唱えており、その時にはすでに足の付け根な治っていた。そして砂煙が舞う中でアズマはスキル心眼で怪魔たちを捉え、怪魔の一人を斬ることができたのだ。
「しかしあの怪魔とかいう奴ら、明らかにこの世界の魔物ではないな。」
「うん…銃持ってた魔物いたけど多分銃はこの世界だとないと思うなぁ」
「あるとしてもあの銃の形は俺たちの世界のものだよな」
「昔見た戦争ものの映画にあんな銃あったよねたしか。」
そういうとアカルは立ち上がり
「でも何とか倒せたしいいじゃん!何か僕たちのこと知ってるっぽいけど」
「いやそれが一番問題だろ」
と会話をしながら二人は再び歩き出した。
「ありゃりゃ、やられちゃった」
そして打って変わってここはレディ・サタンの住む魔王城、その魔王レディ・サタンとクモジィ、そしてコーン・ヤーントは怪魔たちと二人の戦闘を一部始終見ていた。
「我々の実力はこのようなものですけど、どうされますかねぇ?」
「魔王様?この結果を見ていかがなされます?」
レディ・サタンはフム、と頷くと
「まぁ我が軍の魔物たちよりかは腕は立つようだな。最初は何やってんだと思うたが…様子を見る限り真面目な奴もいるようだしな」
「まぁ、はい。仕事は一応しっかりしますんで。」
「多少の不安はあるがまあいい。お前たちとの契約を継続しようではないか。」
「ありがとうございます。では私はこの辺で失礼いたしま…」
「まて。」
映像を切ろうとしたコーン・ヤーントに魔王レディ・サタンは引き止めた。
「はい?あの…まだ何がありますかね?」
「このまま次の怪魔を適当でよいからよこせ。ファームの村までまだ距離はあるはずだ。それまでに奴らを潰したい。」
「了解致しました。では的当に怪魔送っときますねぇ。あっあと今から料金をお忘れなく。料金はこの魔法陣の陣地内において下さーい。では一旦映像切りますねぇ。」
というとコーン・ヤーントはいうと水晶から出ている映像は変えた。
「ふむ…早速次の怪魔を呼び出すご様子ですがなぜ向こうに任せたのですかな?」
「お前がそれ見せないからだろ。」
「あぁそうでした。ではこれを」
とクモジィは主人に怪魔カタログを手渡した。
(…まさかもうボケてきているのか?)
魔王はそんな側近を心配しつつ怪魔カタログを読み始めた。
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