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異世界転生者と怪魔たち  作者: 魔絵腹
19/20

最後の宝玉

アズマとアカルはミリアに連れられてミリアを2人で挟んだ状態で彼らが通った森まで戻ってきた。


「まさかこの森に宝玉がある祠が?」

「もしかして僕たちミリアさん待たせちゃった?」

「あっいえ!結果的にあの怪魔は倒さなければいけませんでしたし!…そういえば2人は宝玉について詳しく知っていますか?」

「…そういえば神様に言われて集めていたけど詳しく知らないな。厄災を打ち払うためにかつていた賢者達が作ったもの。とは聞いているが…」

「ということはミリアは知っているの?」

「えぇはい。…では祠へ行く道すがら、あの宝玉がどういう物なのか話しますね。」


こうしてミリアは祠のある場所へ移動しながら話した。


「あの宝玉はこの大地に込められている聖なる力を貯め、宝玉を7つ使う時に一気にその力を開放することで邪悪な力を打ち払います。」

「大地に込められてる力って…?」

「もともとこの世界は創造神によって一から作られた世界。その土地自体に創造神様のお力が残っているのです。そしてその賢者達が生まれた大地こそ、その聖なる力が特に多く残っている大地。祠が一箇所ではなくまばらに設置されているのもその聖なる力を集中して貯めることがないようにするためです。」

「ちょっと待て。それだとこの宝玉はその大地の聖なる力を吸い取ってしまうという訳か?」

「一つだけでしたら何も影響はありません。大地そのものは聖なる力を常に生み出しますので。ですが、その宝玉を一箇所にまとまって置いてしまうと吸い取る力が強すぎて聖なる力が薄くなってしまい、魔物と言った厄が侵入しやすくなってしまいます。」

「なるほどなぁ。…そういえば祠から事前に宝玉を持ち出すってことはできるの?ミーナさんはやってたけど。」

「何言ってんだアカル。俺たちが今まで行ってきた土地は全て人が住んでるところから遠いところだったろ。魔物に襲われる危険もあるんだ。ミーナさんくらいの戦う力がないと難しいって。」

「確かに宝玉があるところは遠くの洞窟にあります。元々は魔王軍による被害を人の居住区に及ばないようにするためですが…それでもミーナさん以外には出来なかったでしょう。」

「それは何で?」

「実はあの祠ですが…魔王がまだ存命だったころその魔王によって封印が施されていたのです。そしてその封印を解くためには神様の力を持つ者が必要でした。だからこそ、あなた方がこちらに来る前、賢者達の子孫であるミーナさん達に宝玉を集めさせようとしたのですが…」

「俺たちがこの世界で転生したせいでその役目から抜けたというわけか。」

「でも魔王が封印したって言うけど僕たちが最初に宝玉を手に入れたところだと怪魔は祠に触って普通にダメージ受けてたよ。」

「祠そのもの…というよりも宝玉の力がその怪魔を退けたのでしょう。」


そうして話しているとアズマ達の目の前に洞窟が見えてきていた。


「あそこです。最後の宝玉がある祠の洞窟は。」

「この宝玉をとったら、いよいよ魔王の元へ向かうのか…」

「う〜ん怪魔とかいう奴らのせいでかなり時間持ってかれたなぁ。」


そしてアズマは洞窟の入り口の手前で立ち止まった。


「…まぁ多分いるだろうな、最後の刺客が。ミリア、おそらくここから先は危険だと思うが…ついて行くのか?」

「…私はあなた方を神に託された者。あの森であなた方と出会えたのも運命だと思うのです。もうこれが最後の宝玉なのですから私に託された使命を果たすため、見届けたいと思っています。」

「要は…ついてくるってことでいい?」

「はっはい!ですが足手まといにならないよう全力であなた方をサポートさせていただきます!」

「…分かった。じゃあ行こう。最後の宝玉のところへ。」


「ところでアズマさん?少し口調変わりましたか?」

「……………そうか?」

「うん。アズマこの世界に慣れ始めた頃に自分を変えたいって思ってから口調ちょっと変えたよね

。」

「ちょっと待てなんで知ってる?」

「ごめん。どっかの街かは忘れたけど宿屋の部屋開けたら何か独り言言ってたから…アズマって意外と形から入るよね。」

「口にするな恥ずかしいだろ!」


すると洞窟の入り口から大きな足音が入り口まで歩いて行く音が聞こえてきた。


「やはりいたか!姿を現せ!」


そして洞窟の入り口から

顔が傷だらけで背広を着た細身の少女がその背丈に似合わず大きな足音を立てて

こちらへ近づいてきた。


「うわ何?今までよりかはまともっぽいけど…なんかとんでもなくやばそうだ…」

「…怪魔の刺客だな。悪いがそこをどいてもらうぞ。」

「随分話が早いわね。もっとなんかつもる話でもないの?」

「…どうせ何話したって最後の宝玉を譲るわけではないのだろ?」

「…それもそうね。では手短に自己紹介を、私はバゴン…怪魔帝国で幹部をやっているもの。」

「か…幹部!?」


そう話してバゴンは腕を上げてクロスさせると腕から凄まじい雷の力が纏い始め、

「くらえ!!」

そして腕を払うと凶暴な雷の波動が転生者とミリアに向かっていった。


「テラ・シールド!!」


シールドでなんとかその波動は防いでいるがその凄まじい衝撃はアカルの手の感覚で伝わってきた。


「ぐうっ…これで何とか…」

「アカル!次が来るぞ!!」


そして雷の波動が消えたと同時にバゴンが先の波動以上の威力でタックルを放ち、結界を強引に破りアカルは大きく吹き飛ばされた。


「うわあっ!」

「くっ…オラァッ!!」


近づいてきたバゴンに横一閃で払おうとするとバゴンはアズマを見据えたまま胴体に当たる直線で刀の峰の方を持ちそのまま刀を止めた。


「くっ…なんだこいつの力は!?」

「うおぉりやあああ!!」


そして刀を持っていた手をそのまま大きく払い、アカルを吹き飛ばした。

そして吹き飛ばされているアズマは偶然下を向くとバゴンが近きながら手をアッパーの姿勢で殴ろうとする様子が見えた。


「くそっまずっ…!」

「させるかぁ!!」


するとアカルはバゴンに盾を突き出して突進し、バゴンは片腕でそれを受け止めた。

そしてそのまま空いた手でアカルに殴りかかった。


「シールダー・ブレイク!」


アカルは片腕に止められた盾からビームを発射しバゴンに直撃したがそのまま上から殴り、アカルは下に叩きつけられた。

そしてアカルが叩きつけられた直後アズマがバゴンの背後を斬ったが耐えらた。


「むぅ…ならば!」

「えっ?」


先程叩きつけたアカルの足を持ち、そのままアズマにアカルをぶつけた。


「ぐええっ!?」

「ぐはっ!!」

「ヒール・オール!!」


吹き飛ばされたアズマにすかさずミリアは回復魔法をかけたがアカルは二度の大きな衝撃で気絶し、そのままバゴンにまるで大剣を下に構えるように持っていた。


「おい!アカル離しやがれ!!」

「それで素直に離すとでも?…怪魔戦法、人間武器の恐ろしさ。この身で受けるがいいわ…」


そしてそのままアズマに近づきアカルをそのまま斬るように振り上げ、そのままアカルを使って連撃を喰らわした。


「…………」


アズマは凄まじい殺気を放ってバゴンを睨みつけたが意に介さず振り回し続け、そしてアズマはアカルを斬るわけにはいかず避けるしか出来なかった。


「さぁ、そのまま殺してや…」

「おりゃあ!!!」


バゴンがアカルを振り上げた時、意識が戻ったアカルはバゴンの首元に剣を突き刺しすとその反動でバゴンはアカルを持っていた手を離し、バゴンはその場で大きくよろけた。


「ぐぅっ!!」

「……炎上飛鳥剣!」


そしてその隙を見逃さず一瞬で刀身の倍ある炎を宿した刀をそのまま振り上げるとそのままバゴンを斬りつけたと同時にその炎が大きな鳥となってバゴンを炎で包み込んだまま鳥に連れ去られるように巻き込まれ、洞窟の岩場に叩きつけられた。


「アカル!」

「へっ…へへっ…いつまでもやられてばかりじゃ、ないよ…」

「テラ・ヒール!…かなり振り回されていましたが大丈夫ですか?」

「うっうん。まだ頭はクラクラしてるけど…あいつはどうなった…?」


バゴンが叩きつけられたところを見るとすでにバゴンは立ち上がって口についた血を拭うと再び拳を構えた。


「…そう簡単に終わらないか。」

「うぇ!?まだ耐えられるの!?」

「当たり前だ…怪魔の幹部を名乗っている以上、終わるわけにはいかない。」


バゴンは大きく足を上げそのまま勢いよく振り落とすと凄まじい衝撃が大地を大きく揺らし、大きな砂煙をあげた。


「うわぁ!?」

「ちっ!まだあんな体力が残ってんのか!」


そして砂煙が晴れると大地に大きなクレーターができており、そしてバゴンは再び足を上げた。


「くそっ!また来るのか!!」

「……!!」

「ミリア!流石にまずいってこれは、早く逃げたほうが…!」

「…いえ。大丈夫です。」


そうしてミリアはなんと彼らの前に出て、両手を突き出すとそこから多くの魔法陣が一瞬で出現した。

そしてバゴンが振り上げた足は再び振り下ろされ再び大地を大きく揺らしたがその揺れはその魔法陣が防いでいるのか揺れが抑えられていた。


「「えっ!?」」

「…事情は後で説明します。皆さんその間に迎撃の準備をして下さい!!」

「…分かった。あれをやるぞアカル行くぞ。」

「でもあれって魔王を倒すための…」

「今はそんなこと言っている暇はない。相手は絶対ヤバイ何かを使ってくる。…やるぞ。ミリアが張り切っているようにな。」

「…分かった!!」


そうしてアカルとアズマは2人背を合わせて腰を落とし剣を下に向けると魔力を貯め始めた。


「…おそらくこれでどちらかが終わる。さぁ…覚悟しな。」


そして2度大きく足を踏みしめたバゴンは素早く大地を壊しながら3人に近づいていった。


「ゴッテス・シールド!!」


それを見たミリアはその魔法陣からテラ・シールドよりも巨大な結界を展開した。

バゴンはその結界に右手の拳を打ち込んだ。


「壱!」


打ち込まれた拳は結界を大きく揺らしたもののすぐに元の状態に戻った。


「弐!!」


バゴンはすぐに左手の拳を打ち込み結界の破壊を試みたがさらに大きく揺らしたもののまだ揺らぎもしていなかった。


「参!!」


するとすぐさま横から三発目の拳を撃ち込むと

結界に少しだけヒビが入った。


「うっ…!神の結界が…!」

「ごめんミリア!もう少しだけ耐えて!」

「あともう少し…あともう少しで!」

「肆!!」


四発目を撃ち込むと結界がヒビだらけになり結界は破壊寸前になっていた。


「来た!もう大丈夫だよ!」

「ミリアもういい!これ以上は…!」

「いえ!最後まで私は…!」


「伍!!」


そして五発目の拳を撃ち込むと結界はバラバラになり、ミリアは吹き飛んでいった。


「きゃっ!!」

「ミリア!」

「アカル!早くこいつを倒すぞ!」


「陸!!!」


そして最後の凄まじい一撃が2人に襲いかかると同時に2人は黄金に輝く炎の鳥のオーラをまとってその一撃に向かっていった。


「「ザ・フェニックスブースト!!」」


いわゆる不死鳥のオーラはハゴンの一撃に拮抗していき、その度にその拮抗した時の衝撃で大地や森が崩れていった。


「ううう…うおおおお!!!」

「くうっ…まだ僕達には力が足りないっていうの…!?」

「くそっ…!あと少し…!あと少しだって言うのに…ん?」


すると突然2人の後ろから強烈な光が放つと2人の力はどんどん上がっていった。


「えっ!?何何何!?力が!力が急に!!」

「これは…だけどこれで!」

「………!!」


一体何が起こっているかはアカルとアズマには分からなかったがバゴンには分かっていた。

2人の後ろに、先程のシスターが神々の光を放っていることを。

そしてバゴンはどんどん競り負けようとしていた。


「負け…るか…負けるかぁ!!」


バゴンは後ろに引いた片腕を巨大化させるとそのまま拮抗した力に対抗するように加わった。


そしてそのまま拮抗した力の中心が大きな衝撃波を起こし転生者と怪魔は大きく吹き飛んでいった。


「ハァッ…ハァッ…」

「勝っ…たの?僕達?」


アカルとアズマはしばらくして立ち上がると彼らの前にはバゴンの姿はなかった。

そして周りをよく見てみると彼らの周りには黄金のドーム状の結界が張られていた。


「アズマさん、アカルさん。本当にお疲れ様でした。最後の宝玉はこちらに…」


声がした方向へ無理向くとそこには大きな白い翼が背中に生えたシスター・ミリアが最後の宝玉を両手で持っている姿がそこにあった。


「ミリアさん。その羽…もしかして…!」

「いや!でもミリアはフェルマさんの屋敷で」

「はい。フェルマ様の屋敷で話されたことは全てフェルマ様に話を合わせていただけで、私は正真正銘、この世界の神の娘です。度々騙すような真似をして本当に申し訳ないと思っています…本当ですよ?」

「…今までこの世界を見守っていたって訳か。」

「でも何でミリア…さんは最後の宝玉を取るのについていったの?偶然?」

「いつもみたいに呼び捨てで呼んでいいですよ。…一つはあなた方に創造神。…私の父から預かった残りの力を与えるためです。」

「残りの力?」

「我が父があなた方に力を与える途中で力尽きましたよね?…実はあの時渡しそびれた力があって私はそれをあなた方に今一度タイミングを見て渡そうと思っていたのですが、アズマさんもアカルさんも今の力だけでかなりの出来事を乗り越えてきたので…」

「…もしかして俺たち今まで神様からの力を中途半端にもらって戦ってきてたのか?」

「………はい。色々と中途半端な能力なのもそのせいです。…ですがその中途半端で次々と怪魔を倒す様子を見て感心していくうちにいつの間にか最後の宝玉まで行ってしまって…」

「で、バゴンっていう怪魔とちからのつばせりあいになった時に渡したってことだよね?急に力がすごい勢いでついたからさ。」

「はい。…お恥ずかしい話なのですが…そしてもう一つは」


ミリアがそう言いかけたその時、草むらから頭から血だらけのバゴンが飛び出すとアズマに向かって頭から思いっきり拳を振り下ろした。


「アズマ危ない!」

「なっ…!」


そしてその拳はアズマの頭に直撃し、そのままアズマは意識を失って倒れるとバゴンはアズマを片手で抱え、アズマの首元にナイフを突きつけた。


「少しでも…動いたら…こいつの命は…ない…!」

「ありゃりゃバゴン様、結構無茶してましたねぇ〜」


そしてバゴンの背後にはファーム村の洞窟でモニター越しに出会ったコーンヤーントの姿もあった。


「お前らアズマをどうするつもりだ!?」

「まぁ〜はっきり言うと魔王城に連れて行きますですねぇ。何するかは…忘れたけども。」

「とりあえずお前…早く…こいつを連れて行け…」

「はいは〜いっと。」


バゴンはナイフとアズマをコーンヤーントに渡すとそのまま事切れるように倒れそのまま消えていき、そしてそのままコーンヤーントはアズマの首元を片手で持ったままもう一つの手で持っていたナイフを首に突き出した


「まぁそりゃあんな激闘繰り広げたうえにこの魔封じの結界に長く潜伏すりゃあ流石に倒れますよねぇ。俺も今すごいだるいし…まぁ俺の場合いつもだるいけど。」

「そんな…貴方なぜこの結界の中に…!?」

(フハハハッ!それは私よ!)


突如空から身も凍るような声が響き、見上げるとそこには魔王レディ・サタンの姿が映し出されていた。


(私が力をちょっと溜めれば神の娘ごときが作った結界なぞ配下を1人通す程度は雑作もない!!)

「あ、魔王様そろそろ魔王城へ行かせてくださ〜い。…俺もそろそろマジで体力の限界で〜す…」

(フム…では転生者よ!どうせ宝玉はもう揃ったのであろう?我は魔王城で待つがゆえ、とっとと魔王城へ来い!此奴の目の前で捻り潰してやる!)

「待て!!!」


そして魔王レディ・サタンが消えると同時にアズマを抱えていたコーンヤーントも消え去ってしまった。


「アズマ…アズマァァァァ!!」


そしてアカルのアズマを呼ぶ声が虚しく響き渡った。


最終回、魔王レディ・サタンの城

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