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異世界転生者と怪魔たち  作者: 魔絵腹
18/20

怪魔スリーワープ

1ヶ月遅れてしまい、大変申し訳ありません。

次回以降もこのような投稿頻度になるかも知れません。

 

最後、7つ目の宝玉がある街、ナファイルの街へと訪れたアズマとアカルの2人は早速宝玉を持つ貴族の屋敷の中へと入っていた。


「ふむ、お前たちが宝玉を集めて回っている勇者たちというわけだな?」

「はい。村雨東と言います。」

「僕は日ノ町アカルでーす!」

「ふむ、私はフェルマ。この街を管理している貴族だ。君たちのことはよく伝わっている。例の盗賊をも捕まえだのだろう?…あの盗賊どもは本当に厄介でな、奴らはふと、アジトの場所を一瞬で変えるように移動するせいで本当に捕まらなかったんだ。ある意味では運による物ではあるが、運も実力の内ともいうしな、まさに天に選ばれし勇者達と言うのは君たちだろう…おっと話が逸れたな。」


フェルマはアズマ達にそう言ったところで頭を抱えしばらく黙りこんでしまった。

その様子に2人は不安になっていると落ち込んだ声でこう言った。


「無論、君たちはここで宝玉を取りにきたのだろうが、残念ながらもうここには宝玉はない。」

「宝玉はない…というのは?」

(アズマもいい加減目上の人に慣れてきたなぁ。)


アズマがそう聞いた時、フェルマは顔を顰めて、大きくため息をしながら下を向いた。


「あの…何かあったんですか?」


アズマがそう聞くとフェルマは立ち上がった。


「…ついてきたまえ。」


そしてフェルマとアズマ、アカルは屋敷の裏庭に向かうとそこには人の大きさより2倍くらいの小さな祠があった。


「中を開けていいですか?」

「あぁ…」


フェルマは力なく頷き、アズマは祠の扉を開けてみてもそこには宝玉は無く、ただ宝玉の下にあった敷き布だげが敷かれているだけだった。


「あっあれ?ない!?」

「えっ嘘!盗まれた!?」

「鍵も掛けておいて、祠の周りも毎時毎日兵士たちに見守らせていたのだがなぁ…」

「…ん?」


すると祠の中を探っていたアズマは宝玉が置かれてあった敷き布を触っているとふと何かに気づいた。


「どうしたのアズマ?何か見つかった?」

「いや…この部分だけ妙に離れそうというか…少し力入れて…てうわっ!?」


アズマが敷き布に力を入れているといきなり敷き布とその周りの木の板が外れた。


「あぁしっしまった!!」

「大丈夫アズマ!?ってあぁ!!祠の一部が!?」

「…何?」


その様子を見たフェルマは祠へと駆け寄った。


「すっすいません!!この祠は後でちゃんと弁償を…」

「いや、その祠は先週補強したばっかりでそう簡単に壊れるはずがないのだが…」

「…ねぇアズマ。力いっぱい押してこんなに綺麗な丸になるとは思わないんだけど…」


アカルが祠の中を覗くとそこには敷き布があった場所に綺麗な丸の穴がぽっかりと空いていた。

そしてアカルの言葉に応じてアズマもその中を除き、その穴の側面に思わず触れるとそこには透明な接着剤のようなものがくっついていた。


「…これもしかしてこの下から宝玉が盗まれたんじゃ…」

「あ〜アニメとかでよくあるやつね。うん多分だろうねこれ…」


そしてアズマとアカルは険しい顔で祠を見ていたフェルマに盗んだ方法についての予想を話した。

そしてフェルマは再び大きなため息をついて頭を抱えた。


「盗んだ方法が分かったところで…そいつがどこに入ったか分からん以上どうすることも…」

「いや、こういう方法なら多分大丈夫ですよ。」

「大丈夫?どういうことだ?」

「うん!僕に任せて!」


そしてアカルは穴の側面に付着していた接着剤に触れた。


「う〜ん、ちょっと気持ち悪いけど…えっ!?」

「この子は今何を?」

「アカルは手に物を触れるとその所有者が今どこにいるが分かるんですけど…おいアカル?盗んだ奴は今どこに?」

「いやあの、うんそれが…どうやらノスウェスト王国の近くの洞窟にあった盗賊のアジトっぽいんだよね…」

「はぁっ!?」


盗賊のアジトはアズマ達が転生して2番目に訪れた所であり、王国まで歩いて行ぬ途中でアカルが洞窟を見つけて入ったところこそがその山賊達のアジトであり、ついでに襲いかかってきた山賊を返り討ちにして人質を助け近くに人達から信頼を得た思い出の場所である。


「だけどそこはもう違う大陸だろ?一体どうやって移動したんだ?」

「う〜ん、もう怪魔っていうのは何でもありなことしてくると思うけど…普通に考えたら転移魔法とかだよねぇ。」

「まあ確かにこの世界だと常套手段だな。…でもあれこの世界だと転移魔法は結構強力でミーナさんくらいでないと使えないって言ってたぞ。」


2人が話していると若干置いてけぼりだったフェルマが割り込んできた。


「…場所が分かったのなら問題はない。これを使うといい。」


そう言うとフェルマは懐から3枚の紙を取り出した。


「えっと、これは?」

「ワープチケットと言ってな、1枚だけでもかなり高額な物だがそこに場所の名前を書いて上に掲げると書いた場所まで瞬間移動するアイテムだ。…少しお忍びで安全に旅行する時にこっそり持っていた物だが、今こそこれが役に立つだろう。」

「そんな物使ってもいいんですか!?」

「構わないさ。それで魔王への道が開けるのなら安い物だ。」


こうしてアズマ達はワープチケットで一番初めの洞窟の入り口に着き、洞窟の中を歩いて行った。


「こうしてみると懐かしいねぇ。…もうあの時もらった盗賊の懸賞金はもう少しでなくなっちゃうけど。」

「いや仕方ないだろ。ほとんど街の復興費に使ったんだから。」

「まぁそのことに関しては何も文句はないけど。

あっもうそろそろだっけ?」


そうして歩いて行くと、そこには盗賊達のアジトがしばらく人の手が入っていないせいかところどころ錆びれていたり腐り始めていたがあの時と変わらずに残っていた。


「奴らのアジトはそんなに変わっていないね。」

「…まて、何か話し声が聞こえる。」


アズマ達は盗んだものの倉庫に話し声のようなものが聞こえるとその扉にそっと耳を当てた。


「いやー、こうして見るとほんっと綺麗ですねぇ!」


はっきりとその声が聞こえるとアズマ達はそっと扉を開けて中の様子を見た。

するとそこには


つぶらな瞳をもつ子供が描いたような顔をして、右腕には手の代わりに棘状の骨が飛び出た

唐草模様の袋を担ぎ、

所々つなぎ合わせた服を着た人っぽい怪魔


が口をもごもごさせながら左手に軍手のようなもので宝玉を持ち眺めるように見ていた。


「うわー、また変なのが出てきたなぁ。」

「とりあえず一気に開けたら攻めるか?」


そうして小さな声で話しているとその怪魔から何か飲み込むような音がすると


「…そこの君たちもそう思いますよねぇ!これを売ったら高く売れそうですよ!まぁ売りませんけど。」


不意にその怪魔が振り向き、アズマ達に声をかけてきた。


「うわっ気づいてた!?」


アカルが驚いている間にアズマは扉を乱暴に開け、その怪魔に斬りかかった。

だがその怪魔はその斬撃をギリギリではあるが避けた。


「うおっとビビった!問答無用ですねぇ!!」

「それが最後の宝玉なんだ。それに、この前大分時間をかけてしまったからな。」

「ははは!血気盛んですねぇ!あっしは盗人の怪魔ンラポといいます!よろしくお願いしますね!まぁもうさよならいたしますが!」


すると右腕の骨の先には例のワープチケットが突き刺さっていた。


「あのチケットは!」

「…もしやこの洞窟に?」

「はいそうです!洞窟の中を探していたら見つかりましてすでに書かれていたところに行くとなんと宝玉がありましたからほんっと助かりました!」


そしてンラポはチケットを上に掲げると消えて行った。

それと同時に扉の方から突然大きなライオンの首が火の玉を纏って現れた。


「何だこの魔獣!?」

「きっとあいつの仲間だ!俺たちの邪魔するきだろうな!」


そう言うと同時にアズマはその魔獣に向かい刀を振り下ろした。

その魔獣はその刀を避け纏っていた炎を吸い込みそのまま吐き出そうとしたところ、アカルがその魔獣の横から盾でぶつかるとその炎はアズマの横に吐き出され、吹き飛ばされていった。


「アズマ落ち着いて!焦ると周りが見えなくなるよ!」

「分かってる!だけど早くしないと宝玉が!」


そう話しているとその魔獣は吹き飛ばされたところから牙を向いて突進してきた。


それにアズマはいち早く反応して魔獣に素早く近づき刀を口に突き刺すとそのまま刀を上に切り上げた。


「ァァッ…!」


そして魔獣はそのまま消滅していき、アズマはアカルに駆け寄った。


「ふぅっ…」

「もぅアズマってば!また無茶して、ミリアの言ってたこと忘れたの!?焦ると周りが見えなくなるって!!」

「だから!!」

「アズマ!!」

「ブフッ!?」


するとアカルはアズマの頬を両手で挟み込むように叩いた


「まったくアズマは相変わらず焦ると周りが見えなくなるんだから!!焦るのも分かるけどそれで命を落としたらどうするのさ!?」

「…ごっこめんてアカル….ちょっ!分かったから早く手離して、意外と痛い、結構痛いから。というかそっちが落ちつけ、うん。」


アカルは1分間アズマの頬を手で挟みながらむにむにと頬を乱暴に動かした。

そしてアカルは手を離したあと、アズマは頬を押さえながら答えた。


「…奴がどこに行ったか分かる?」


アズマはアカルの言葉を遮って彼に尋ねるとアカルは少しだけ頭を抱えて応えた。


「……ごめん、あのチケットに書かれてある場所は分からなかったよ。」


そう答えるとアズマは周囲を見渡しすと地面に何かあることに気づき、気づいた方向へと近づいて行き、その何かを拾ってよく見ていた。

そしてアカルはアズマの方へと近づきアズマのうしろを覗き込むと銀色の紙のような破片を持っていた。


「アズマ?何か見つけたの?」

「…多分、これで行けると思うがどうだ?」


アズマはアカルに銀色の紙のような破片を渡し、アカルがその破片の裏側を見ると見覚えのある文字が書かれていた。


「これって…もしかしてキッズカットの紙!?」


それは元々アズマの世界にあったチョコレート菓子の一つであり、その破片はそれを包んでいたアルミ箔であった。


「多分あいつの持ち物だろう。この世界にキッズカットなんて無いし。」

「うん。僕もあの時持っててないしね。えーと…」


そしてそのアルミ箔を拾い、目を閉じてアルミ箔の一片を握りしめるとンラポがどこへ行ったかを探った



場所は変わってファーム村の洞窟。

かつて祠があった洞窟の最奥には怪魔ンラポは何かを探していた。


「あら〜ここにあったって言ってたんだけどなぁ〜?」


ンラポはこの世界に派遣される前コーンヤーントにファーム村の洞窟に映像機の残骸がある筈だがらそれをこれで直せと復元装置を渡されており、それを探すために、ファーム村の洞窟へとワープしていた。


「爆発したって言ってたけどそれでも形だけは残ってるだと思ったんだけど…」

「探しているのはこれか!?」


大きな声がした方にンラポは振り向くとそこにアズマがいつの間にか現れ、映像機を投げ渡していた。

そしてその映像機反射的に左手で受け取っていた。


「おっとこれは映像機!?なんで…ってなんか軽いですね?」


映像機に気を取られた瞬間アズマが飛び出しンラポに向かって横に薙ぎ払った


「うおっと!?…あれ中身が!!」


ンラポがバックステップで薙ぎ払いを避けたがその通信装置が斬られ中身を見ると空の箱になっていた。


「あちょっ!?あなたこれぇ!?…あっあっちょっあっナパルムさーん!?ナパルムさーん!!?」


そう叫ぶとンラポの目の前に黒い影のようなものが集まりそこから

黒いローブを着た三つ目の妙な魔術師風の怪人

が現れた。


「…くらえ。」


そう呟くとその怪人の頭上に杖が出現すると激しくその場で360度回転しだし、紫のオーラを纏ってアズマに向かいぶつけてきた。


「させない!!」


ぶつかる前にアズマの前にアカルが飛び出し盾でその杖を払った。

そして払った杖はそのままブーメランのようにまた怪人の元へ戻り手前で浮かぶとそのまま横に回転して杖から妙なリング状の光線がアズマに向かって行った。


「テラ・シールド!!」


リング状の光線は結界によって防いだがその光線を見ているたびに頭の中で何かがぐるぐる回っているかのような感覚に襲われていた。


「アカルこの攻撃は、」

「あのドラゴンと同じ感じだね。でももう同じ轍は踏まないよ!!」


そういうとテラシールドを展開していた盾が赤く光るとそのまま盾の形の光線が放たれた。

放たれた光線は避ける間もなくナパルムを包み込み、光線が収まるとナパルムは黒焦げになってそのまま倒れた。


「アカル、テラシールド中にも攻撃できたのか?」

「まぁ防御結界も消えるから結構危ないけどね。」


2人は正面から凍てつくよう魔力を感じるとナパルムの杖は彼らを向いたまま怪しく光を放っていた。


「まだ…まだ終わらぬぅ…!!」


そして杖から鎌を持った死神のような巨大なオーラが彼らになる放たれた。


「なんだあのいかにも触れたらやばいオーラは!?」

「アズマ!僕の後ろに…」


するとアズマが持っていた袋からピンク色の光が輝いていた。


「えっ、アズマその光は?」

「この袋に入ってるものと言ったら!」


そしてアズマは袋の中に入っていた回復の石を取り出すと光はより一層強くなり、死神のオーラはその光に飲み込まれ消えて行った。


「ぬゔぅ…最後の足掻きもダメか…すまんンラポ…!」


そして怪魔人ナパルムはそのまま消滅していった。


「ふぅ…とりあえず何とかなったけどどうするの?とりあえず周りを見て見たけどもうキッズカットの袋は無いよ?」


ナパルムを倒した後、2人は洞窟の周りを探していたが彼の落とし物と思われる物は無かった。


「…じゃあ、あれはどうだ?」


アズマが指を刺した先には中身が空の映像機だった。


「最後に持ったのはあいつだし、もともとこれは奴らのものだから多分いけると思うんだが…」

「もしかしてアズマ最初からこれ狙ってわざわざ映像機持ってったの?」

「まぁ拾った時にはこれ使って怪魔達の居場所を探る鍵にはなるとは思ってたが…正直もう捨てようかと思ったけどまさかここで役立つ時が来るとはな」

「そういえばこれ使ったあと次も使ったらあっちまでまた戻らないといけなくなるけど大丈夫?」

「まぁそれは次に奴がどこへ行ったかになるな。」


そしてアズマは映像機をアカルに渡すと三度ンラポがどこへ行ったかを探った。 

だがアカルが目を開いたときにはアカルの顔は青ざめていた。


「どうしたアカル!?」

「…多分この時ばかりは急がないとまずいかも…」


アカルが見えた先はナファイルの街、そこのフェルマの屋敷である。


「フェルマさん無事ですか!?」

2人は急いで屋敷にワープし、裏庭に行くとそこには腕の骨をフェルマに向けて2人が開けたドアを真っ直ぐ見据えたンラポがそこにいた。

そしてフェルマは縄でぐるぐる巻きにされ猿ぐつわをされていた。


「は!は!は!さて、大人しくしてもらいましょうか!」

「あぁっ!もう遅かったか!」


アズマとアカル達はその場で立ち止まるしかなかった。


「フフフ!立ち止まるだけではどうしようもないですよ!」


するとンラポは口をおちょぼ口にするもそこから超高熱の熱線を2人に放った。


「おわっ!?」

「祠の下に穴を開けたのはあの光線か!」

「ウフフ!これだけじゃありませんよ!!」


そしておちょぼ口から粘着性の液体が放たれると液体はアズマの足にかかってしまい、その液体は一瞬で固まってしまった。


「くそっ!動けない!」

「待ってアズマ今」

「おっと!そこで大人しくしてくださーい!」


アカルが動こうとするとンラポはフェルマの頬に手の骨を突き刺さらない程度に深く突いた。


「うっ!」

「……………!!」

「まぁまぁそう緊張しないで!楽に殺せるようその脳天に私の熱光線を…」


するとその拍子に唐草模様の袋に包んでいた宝玉が転がり落ちてしまった。


「おっと私としたことが!ンフフ、動かないでくださいね!」


そして右手の骨をフェルマに突いたまま、()()()()でその宝玉を拾った。


「………えっ?」

「…そこの怪魔。お前それを素手で持って大丈夫なのか?」


「………………………あれぇ!?」


素手でも持っている事に驚くと宝玉を落としてしまい、その宝玉は粉々に砕け散ってしまった。…そしてそれと同時に人質にしていたフェルマまで離してしまった


「えっ!?結果オーライ!?いや、ですがこの程度で壊れるなど!?」

「…それは偽物の宝玉だ。大体本来祠に置いてある宝玉を勝手に持っていくわけなかろう。」

「はいぃ!?」

「あれ?ミリアさんはあなたの家にあるって…」

「少しな、そのシスターに口裏を合わせてもらっていたのだ。本当の場所は私も知らない…おそらくそのシスターが知っているのだろう。」

「うぅっ…こうしちゃおれません!今からでも…」

「遅い!!」


ンラポが振り向いた時にはもう遅く、そのまま切り捨てられ消滅していった。


「…ンッフッフッ…ツウシンキヲ…ツケッパナシデ…ヨカッタデス…」


最後に吐いた不吉な一言はその場にいる誰にも聞かれなかったが。


屋敷に戻ってフェルマに待つように言われた後、シスターのミリアが屋敷を訪れフェルマとアズマとアカルが待つ応接間へ訪問した。


「フェルマ様、最後までこのことを内密にしていただきありがとうございました。…それと2人を騙すような真似をして申し訳ありませんでした。」

「いやいや気にしなくていいよ。でも何でこんなことしたの?」

「…実はあなた方がここを訪れる何週間も前、森へ薬草を取りに行った時に奇妙な姿をした明らかに人ではない男の姿を目撃しまして、もしかしたら怪魔がこの地の宝玉を狙っているのではないか。と思い、急遽フェルマ様に頼み込んで偽の祠を立てて貰いました。…あなた方に黙っていたのも万が一のことがあっては。と…」

「まぁその万が一な事態になってたし、ミリアに騙されたとかそういうのは思ってないからな。」

「そういや何でミリアさんが本当の宝玉の場所を知っているの?」


するとそこへフェルマが会話の中に入ってきた。


「それはそうさ。ミリアはこの街の出身で七賢者の子孫。と言われているからね。」

「…言われてる?」

「はっはい。私の父は七賢者の1人とは聞いていますが…父も母も顔すら覚えていません。私が物心ついた時にはすでに消息不明で…そのことを不憫に思ったフェルマ様が一時期私を引き取って育ててくださったんです。」

「その後は教会に引き渡してシスターとして生活している。と言う訳だ。」


それを聞くとアズマとアカルは2人同時に頭を抱え、アカルが先に口を開いた。


「…ごめん。辛いこと聞いちゃった?」

「あっいえ、どうかお気遣いなく!」

「…さて、本当の祠が分かった以上。ここに長居する理由もないだろう?ミリアも早く案内してあげなさい。」


フェルマがそういうとアズマがはっとして懐から1枚だけ残っていたワープチケットを取りだした。


「あっあの!これお返しします!」

「ん?あぁそれはもう貰っていっても構わないよ。」

「えっ!?これはかなり高級品だと…」

「最初に言っただろう?魔王への道を開くために使えるな

ら良いと、もしかしたら何かの役に立つかも知れないから取っておきなさい。もし使わないというならその時には私に返して来ればいい。」

「「……ありがとうございます!」」


こうしてアズマとアカルはミリアと共に祠へと赴くのであった。


「………嘘も方便…とは異世界の言葉であったか?ともかく何とも畏れ多いというか何というか…」


応接間で1人となったフェルマはそう呟いた。

次回、最後の宝玉

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