あったか〜いはお好き?
更新が大幅に遅れて大変申し訳ありませんでした。
アズマとアカルがサマルーの街へ向かっていた頃、とある2人はスルーノの街へ行くための祠にいた。
「しかしいいんですかね?我々が宝玉を2回も手にしても。」
「なぁに、どうせあの2人に託すために取りに行くんじゃ。過程がどうあれ、最終的にあの2人の手に渡るなら問題ないからなぁ。」
その2人とはミーナとトライアスの2人である。
彼女達はアズマ達がサマルーの街へ向かった次の日にスルーノの街からこちらに来て欲しいとの手紙が届けられており、行くついでにどうせなら宝玉も取っておこうという感じで宝玉も取っていこうとしていた。
「そういえば留守番はアクロさんに任せていましたけども彼女さんのほうは…」
「何、アクロの彼女も一緒に居させておるからまぁ大事には至らんと思うがのぉ…」
そして彼女たちは祠へ着くとそこにはスルーノの街へ行くための魔法陣があったが、街へちょくちょく行っている彼女たちにはその魔法陣に違和感を感じていた。
「……ところで師匠。我々はスルーノの街へむかっているのですよね?」
「………皆までいうなトライアス。何故か、転移用の魔法陣から妙に蒸し暑い風が吹いていることなぞ分かっておる。恐らくあんな手紙が届いたのも関係あるじゃろうなぁ絶対。」
「まぁとりあえずさっさと行くか!」
「そういえば忘れ物はないですか?自分の杖はありますか?水筒は持ちましたか?持ってたとしても水は入っていますか?ハンカチは…」
「ええい全部あるわい行くぞ!」
そうして彼女たちはスルーノの街の近くの祠へついたが、
「…思った以上に暑いわい…」
「…何ですかこの暑さ…最早暑いどころか痛い暑さですね…」
その強すぎる日差しは彼女たちの肌を容赦なく炙るように輝いていた。
「…気のせいか太陽がいつもより
近くにあって大きく感じます…」
「…ん?いや待て、本当に大きくないかあの太陽?」
彼女たちは上を見上げると、そこにはこちらの世界でもあり得ないほどに太陽が大きく、まるで目の前にあるかの如く巨大になっていた。
「どうやら人工的に…いや、恐らく魔法的に作ら
れたものですよねあれ。」
「ほぼ間違いなく魔族が関わっておるな。そうじゃなかったらこの街の人間の誰かがイカれたとしか思えん。」
道中、彼らは雪におおわれた山々が見えるところにまでやって来た。
その山々は異変が起こる前まではとても綺麗な雪で覆われていたのだが、今では雪の名残もなく、それどころかところどころ遠くからでも分かるぐらいに焼け焦げた跡があった。
「あーあー!寒くとも綺麗じゃった雪山がただの山に…って思ったらところどころ燃えた後があるな。」
「山火事でしょうか?しかし見る限り最近出来たもののようですね。」
「こんなクソ暑い中で焚き火なぞ、軽い自殺行為じゃわい。」
そして彼らはスルーノの街へとたどり着き、入り口で街を見渡した。
スルーノは寒さに強い建物が多く密集しているような街であったが、今ではところどころ本来建物があった場所は燃炭しか残らず、無事な建物でさえ、外壁はまっくろになっていった。
「街もよく見ると焼けた後がちらほら見えるな…」
「イカれた人がいる訳では無さそうですね。」
そんな中汗にまみれた街の住民が声をかけて来た。
「あぁ…ミーナさんとトライアスさんですね…町長がお呼びです…入ってくださいお願いします…」
「うむ…御主もすっかりやつれておるな…まぁこんな惨事では仕方ないがのぉ…」
「暑さに慣れない人ばかりですから、さらに悲惨ですね…」
そして彼らは街で一番大きい町長の屋敷へ免れた。
「本当によく来てくれた…まぁ察しの通り魔族共の仕業だ…」
町長ベオデンは汗で濡れた頭を抱えていた。
「ここ何日か前にあったか〜い一派となのる謎の魔物…いや怪魔?と名乗ったよくわからん魔族共が現れ、(あったか〜いをあまり知らない貴様らにあったか〜いの素晴らしさ、感動を与えよう!ありがたく思え!)と言ってこの街周辺にあの馬鹿でかい太陽を出現させた…そして度々魔物共をけしかけてこの街のどこかに炎をつけていっている…まぁこんなところか。」
「人間を襲うことは?」
「直接は無いが…最早これは襲われていると同じだ…」
「そやつらはこの街の住人を蒸し殺そうとしているのでは無いか?」
「まぁ多分そうだろう…まったく何があったか〜いの素晴らしさだ…」
そんな中、屋敷の使用人が慌てた様子で部屋を訪れた。
「ベオデン様!また魔物が!」
「おのれ飽きない奴らだ!!」
「すぐにいきましょう!」
「さ〜て、どんな奴か拝見させてもらおうか!」
「あぁっ!!私の家がぁ…!!」
街のとある一角の上空に
閉じた瞳がつき、メラメラと燃えたまめがついたもやしのような生物
が漂い、燃えている家の様子を見ていた。
「燃えろ…」
「素晴らしき暑さを与えん…」
「火を絶やすな…」
「神から与えられた唯一の良き文明を拒むな…」
そんな中、燃えている家に巨大な水塊が落下し火が消化された。
「…!!」
「火が消えた…」
「…誰だ…」
「つめた〜いを与えた愚者は誰だ…」
そしてその水塊を落とした2人が彼らのすぐ下にいた。
「愚者は貴様らじゃ!!…いや愚野菜…か?」
「ええっと、もやし…ですかアレ?」
そして怪魔たちは一斉に2人に話しかけた。
「我らはモヤシー…」
「我々はあったか〜いの素晴らしさを再び生命体に伝えるためにここに遣わされた…」
「火を拒むというのか、歴史の、文明の火を…」
「冷徹な奴らだ…」
「冷酷な奴らだ…」
「貴様らには血も涙もないのか…」
「ええい!街を襲いに来た奴らに言われたくないわ!!」
「「「………???」」」
ミーナの発言にモヤシー達は(何を言ってるんだ?)と言っているような目で見つめ始めた。
「そこの小娘は何を言っている…?」
「我々はあったか〜いの恩恵を与えているだけだ…」
「そこに襲うという悪意なぞ微塵もない…」
モヤシーらの発言にミーナ達も戸惑った。
「此奴らは何を言っておる?」
「…どうやら暑いことこそが幸福、と考えているようですね。」
「その通りだ…」
「よく分かっているではないか…」
「分かっていて何故つめた〜いことをする?イカれているのか…?」
「この街の人間と同じか…」
「…哀れな奴らだ…」
「頭を熱くしなければ…」
「やはり火だ、熱さだ…」
「熱さは全てを解決する…」
「だあぁぁぁぁあ!!もういい!"アクアアロー"!!!」
モヤシーらの極端な発言に対しついに痺れを切らしたミーナが水の矢を大量に生成し、発射した。
モヤシー達はそれを見て左右に避けた。
「「「我らのジャマはさせぬ…!」」」
「ボールシールド!!」
モヤシーらはミーナとトライアスに向けて激しく燃え盛る炎を放射するもトライアスの防御結界に遮られた。
「小癪な…」
「だがそれではそちらも動けまい…」
「この目を見よ…」
モヤシーたちは閉じていた瞳を一斉に見開くと、妖しく光る目の紋章が結界に刻まれた。
「ふむ。これは火炎耐性を下げる魔眼か。」
「成る程…っ!通りで結界維持が辛い訳です…!」
「よしトライアス。…」
「…分かりました。」
このまま結界が刻まれた状態だと先程の炎は耐えられないと判断したミーナはトライアスに向けて小声で話し始めた。
「もう少しか…」
「終わりだ…」
「焼け焦げよ…」
そんなことも気づかないままモヤシー達が再び炎を放射しようとすると、
「ボールクラッシュ!!」
突如展開していた結界が大きく広がり、モヤシー達を弾き飛ばした。
「!?」
「潰れっ…!?」
「アクアアロー!!」
そしてミーナが水の矢を吹き飛ばされていたモヤシー達に向けて一斉に発射し、その一つ一つがモヤシーらに確実に命中した。
「おおお!!!?」
「冷やされる…!!」
「ああ…命の…炎が…」
そしてその水の矢に彼らは耐えきれず次々と消滅していった。
「ん。まぁこんなもんじゃろ。」
「師匠。大丈夫ですか?」
「うむ。それよりも街の皆はどうじゃ?」
2人が周りを見渡すとモヤシーらが焼いていた家のそばに膝をついてうなだれていた1人の若者がいた。
「はっはい!…私は無事ですが…家が…」
「あ〜…まぁ命あってのものじゃしの。」
「少なくともベオテンさんから援助金は出ると思いますよ。」
「そうしたいんだがなぁ…」
「あっ、ベオテンさん。」
するとどこからか町長が姿を現した。
「いやはや、最近はああ言った魔物どものせいで金が追い付かん。正直、勇者達を待ってる余裕すらないのだ。」
「ええと、ということはつまり…」
「うむ!まぁこうなっては最早やるしかなかろう!」
そうしてミーナとトライアスは本格的に怪魔討伐に向かった。
怪魔達が陣取った場所は街に向かう前に見えていた山であり、ちょうどそこの近くにある洞窟の中にある祠に宝玉があるとのことだった。
「…あの、すでに魔物達の手によって壊れてるってのことは…ありほうですねぇ…。」
「そうじゃのう…邪しきものには簡単には触れられぬはずだが…うん?」
ふと、遠くを見ると
頭にマッチが刺さっていて気弱な表情をした猫背の怪人
が何かを売っていた。
「マッチ…誰か…マッチを買いませんか?」
「あれは…人間ではないようですね…?」
「う〜む…まぁ人間に見えなくもないが?」
互いに視認できるところまで近づくとその怪人がトライアスに向け気弱そうに声をかけた。
「そこのお兄さん…マッチを買っていただけませんか…?」
「いやあの、なぜこんなところでマッチを?」
「多分今の状況じゃ絶対売れんぞ。」
「このマッチはとてもいいですよ…なんでも燃えますよ…このマッチの火はどんな建物でも燃え広がりますよ…」
「余計売れんわ!というか何者じゃお前は!」
そしてその怪人はまごまごしながら答えた。
「マッチ売りの怪魔、マッチールです…どうか…どうかマッチを…」
「貴様怪魔か!そんなもんいらんわ!」
「あっ…」
「まったく…だいたい何が目的でぐふぉっ!?」
ミーナがマッチールが持っていたマッチが入った小さなかごをはたき落とすと突然マッチールがミーナをぶん殴った。
「師匠!…貴様!一体何を…!?」
「………」
今まで気弱な表紙をしていたマッチールの顔が突然無表情になり、頭のマッチは激しく燃え盛っていた。そしてトライアスは顔が無表情ながらも凄まじい殺意が感じ取れた。
「おっおのれ問答無用か…」
「ギガ・ウォーター!!」
トライアスが巨大な水塊をぶつけようとするもマッチールは素早いステップでそれをかわし、かれらに近づいていった。
「ええい!アクアアロー!!」
ミーナが水の矢の連射させるもそれすらもてかわし2人に近づき再び殴ろうとしたもののトライアスはボールシールドを繰り出し攻撃を防いだ
しかしそれでもマッチールはその結界にに連続で殴りかかっていた。
「………」
「見た目によらず力が強いですね!」
「顔から感情すら無くなっておるなぁ…う〜む、ワシやらかしたか?」
「師匠、どうしますか?」
「…よし。すまんがもうちょっとだけ耐えておけ。」
そしてマッチールは拳に炎を纏わせ結界にに思いっきり殴ろうとすると
「今じゃ!!」
「………!?」
いきなり結界が溶け、マッチールの拳は勢い余って空振り、転んでしまった。そしてその隙を見計らい、ミーナは最大の魔力を貯めて
「テラ・ウィンド!!」
強力な竜巻を発生させ、マッチールはその竜巻に飲み込まれてしまった。
「…あぁ…火が…命の灯火が…消えていく…」
そして巻き込まれている内に激しく燃えていた頭のマッチの炎が徐々に消え、完全に消えるとそれと同時にマッチールは消滅した。
「…完全に消滅しましたね。流石です、師匠。」
「ふぅ…まったくこの前の奴といいさっきのもやしといい妙な魔物どもじゃわい、怪魔というのは…まっいいわい。先を急ぐぞ。」
そしてミーナとトライアスはとうとう祠がある山のところにまでたどり着いた。
「しっかし奴らもまた、よくこんな山奥にあるってのが分かったのぉ。」
「場所自体は魔王の入れ知恵でしょうか?」
「まぁそうじゃろうな。…それにしてもあの熱い連中がこんなところに陣取っているせいか山火事がひどいな。」
周りを見渡すと、山の木々が真っ黒く染め上がっている悲惨な光景が広がっていた。その光景を見渡している内にトライアスは何かの視線を感じ取っていた、
「…誰かに見られているような気がするが…どう思うか?」
「…何となく妙な魔力を感じますね。まるで魔物がいるような…」
そして2人がすぐ後ろを振り向くとそこには
まるでなきかを嘆いているような顔に見える穴が開き、上が焼けきって空洞になっている謎の木が
立っていた。
そしてその木をよく見てみると水分を感じられない見た目ではあるが、まるで冷や汗をかいているかのような水滴がその木に垂れていた。
「…のぅトライアス。この木、変な違和感を感じないか?」
「そうですね。ですがお化けに見えるような木はそんなに珍しくはないのではないでしょうか?」
「いやー周りを見ても燃えているとはいえかなり違和感があるのう。」
「一本くらいはこんな化け物風な木は見つかると思いますけどね。まぁさっきまで歩いてた道にはこんな木はなかったはずですが。」
「どーじゃのー。というかさっきの魔力がかなりこいからのー。」
「……………」
2人がわざとらしく話していると突然その木の穴から炎球弾が発射された。
「エンチャント・ファイアー!!!」
2人がそれを避けるとその木は激しく喋り始めた。
「キヅイテタロナァ!ゼッタイキヅイテタロ!ハヤクイエヨイヂワルダナオマエラ!!!」
「それならもっと早く正体を表したらいいじゃろ!」
「で、やっぱり怪魔とかいうやつです?」
「オレノナハヤマカジノカイマ、フレイムウッダー!トリアエズゥ〜、ニゲル!!」
怪魔がそういうと突然黒い煙を2人に向けて吐き出しその煙が2人を覆い始めた
「うぉっ!?」
「師匠!口を塞いでください、間違いなく危険です!」
「分かっとるわい!クソッあの怪魔はどこへ行った!?」
「とりあえず煙から脱出しましょう。」
「そうじゃな…クイック!!」
2人は加速呪文を使い、とにかく一直線に逃げて煙から脱出した直後、火球弾がその煙に直撃し、その煙ごと爆発した。
「煙が炎に包まれて爆破しました!」
「ええい!厄介な!」
煙から脱出はできたものの、2人は怪魔を見失ってしまった。
「サァサァ!ハタシテオレヲミツケラレルカナ!?」
そして2人を挑発するかのような声が森全体に響いた。
「見た目で判断するのは容易いですがこんな広大な山では見つけるのも骨が折れますね。」
「とはいえ流石に目視できんほどの距離からの攻撃は…確定できんとはいえ、持ってはいない筈じゃ。持っていたら、山に入った時点で攻撃されるからの。」
「だったらこれじゃろう!レイン・アロー!」
「ボールシールド!」
ミーナは両手を上げるとそこから目に見える範囲内の大きさの雨雲を発生させ、そこから水の矢を雨のように降らし始めた。そしてトライアスはすぐさま球状の防御結界を展開した。
「さて…これで炙り出せるはず…うん?」
ミーナは明らかに違和感のある木を見つけ呪文を解くとその木に近づいた。
何故か枝にちょうどよく木全体を隠せるほどの大きな傘をさしてるような木を
「「………」」
「……………………」
「テラ・ウォーター!!」
「ギエェ!?」
しばらく沈黙が続いた後、強力な流水をその怪魔にぶつけた持っていた傘でそれを防いだ。
「あの傘、丈夫じゃな。」
「ギガ・ウォーター!!」
「アブネェ!!?」
そしてトライアスが間髪入れず怪魔に巨大な水塊を落とすもそれすらも傘で防いだ。
「ハァッ…ハァッ…コウナッタラ…マタ」
「「ギガ・ウォーター!!」」
「エッチョッマッ!!?」
ミーナとトライアスは2人で呪文を唱えると2つの巨大な水塊が怪魔に襲いかかり、傘では防げないと判断し、逃走しようとするももはやすでに手遅れだった。
「ヒエェェェェ!!!」
そして怪魔は消滅した。
「…あの、いいんです?今ので我々かなり魔力消費しましたよ?」
「なぁに、このためにこれを持ってきたのじゃよ。」
ミーナが取り出したのは握り拳サイズの液体の入った瓶であり、それは失った魔力をその場で回復する魔法薬であった。
そして2人がそれを飲み終わると頭上から何かが落ちてくるのを感じ取り、加速呪文を使ってそれを避けた。
「「クイック!!」」
そしてそれが落下凄まじい熱風を砂埃を上げた。
「ぐっ…凄い熱気ですね…」
「おのれぇ…もうやってきおったか…」
「…俺の部下だぢが、世話になっだぞうじゃねぇが…」
2人が見上げるとそこには
顔がポットでサングラスをかけた
パンツのみで体の所々に炎のタトゥーが入れてある出っ腹の巨漢
が姿を現した。
「俺の名はフットルル…あっだが〜い一派の副長だぁ…ぜっがぐごの世界のづめだ〜い一派がいなぐなっだど思っだのに…許ざんぞでめぇら…」
「アクアアロー!!」
「ギガ・ウォーター!!」
怪魔に対し、すぐさま水の呪文をぶつけるものの、頭の蓋があき、その水の呪文を頭の中に引き込んだ。
「ぬ?」
「水を吸収した…!」
「でめぇらにはあったか〜いお湯でもぐれでやろう…」
そして怪魔はポッドの口から強力な熱湯を2人に放った。
2人はそれを交わしたものの、その放たれた熱湯は地面をえぐり、えぐられた地面から出てくる蒸気は触れるだけでも大火傷しそうなほどに熱い熱気を放っていた。
「ちっ…恐ろしい温度の蒸気じゃわい!」
2人がそのえぐれた地面を見ている内にその怪魔は突如いなくなっていた。
「師匠!あの怪魔の姿が消えています!」
「…いや!多分上からじゃ!」
そして見上げるとその怪魔が先ほどと同じように2人に向かって落下し、潰そうとしていた。
「ボールシールド!」
トライアスはそれを結界で防ぐも一瞬での凄まじい衝撃で結界の維持が困難になっていた。
そしてそして結界にはばまれていた怪魔は結界に向けて腕に熱を宿らせ、腕から蒸気を吹き出させながらその結界に向けて殴りかかった。
「スチームパンチ!!」
「ぐあぁ…っ!」
ミーナが結界が破られる直前にトライアスを連れて加速呪文で逃げたために直撃は防げたものの、その凄まじい温度の蒸気を浴びながら吹き飛ばされていった。
そして怪魔は吹き飛ばされているミーナに向かって再び熱湯を放った。
「師匠!」
「トライアス!!」
咄嗟にトライアスはミーナを庇うものトライアスは先ほどのパンチと熱湯により、そのまま勢いよく転がり、そのまま動かなくなってしまった。
「………」
「ぞごの男はうごげなぐなっだが。今のうちにでめぇを…」
「テラ・ウォーター!!」
話している途中で凄まじい流水がフットルルに襲いかかり、大きく吹き飛ばされた。
「があぁっ!!…おのれ…!」
「アクアアロー!!」
そしてミーナは間髪入れず凄まじい水の矢を怪魔に放った。
フットルルはそれに対し、熱湯で周りの水の矢を消し去ったが、その隙にミーナは怪魔に素早く近づき、杖を振りかぶった。
「はぁっ!!」
「ぐぅっ!?」
それを腕をクロスして受け止めたものの、その杖の威力は受け止めた腕が痺れるほどであった。 そして対峙していた2人は互いに離れた。
(特別な呪文も使っでおらず、素であの力…!)
「どうした?ワシはまだ半分しか力を出しとらんぞ…」
ミーナは不敵に笑っていたが怪魔はその目が全く笑っておらず、ただじっと自分を見つめていることに気づいていた。
そして怪魔はそれが明らかにまずいことを理解した。
「…だげどもここで負けてちゃあったか〜い一派に傷がづく!熱量最大!!」
「ぬ!?」
フットルルは全身に力を貯めると体中が真っ赤に染まり、周りには陽炎が立ち込めていた。
「ローリング・ビード・ブレイグ!!!」
「!!」
そして再び高く飛ぶとミーナに向かって体を横に回転しながら強い熱気を放ち突撃していった。
ミーナはそれをかろうじて杖で受け止めるもじょ徐々に押されていった。
「おっおのれぇ!!」
「どっせえぇぇえい!!」
そして押されている感覚を感じたフットルルはさらに回転を速くし、ミーナを押しつぶそうとするも
「…そぉい!!」
「あでっ!?」
ミーナは受け止めていた片手の力を抜くと、ミーナは横に吹っ飛ばされたが、フットルルはそのまま頭が地面にめり込んでしまった。
「じっじまっ…!!」
「スキありじゃあぁぁ!!」
そして吹っ飛ばされたミーナはすぐさま立ち上がり杖の先端に強力な魔力を込めてそのままフットルルの腹に振りかぶった。
「スタッフ・ボンバー!!」
そしてフットルルは減り込んだ頭が抜けるほど勢いよく吹き飛ばされて、顔から落下し、大きな音と砂埃を上げながら倒れ、動かなくなった。
そしてミーナはその様子を一通り見終えたあとすぐにトライアスに駆け寄った。
そして意識を失ったトライアスにキツい匂いを放つ濁った紫色の液体を口に流し込むとその液体の色と同じ顔をしながらトライアスは跳ねるように復活した。
「ぐふっ…ゴホッゴホッ…相変わらず酷い味ですね…」
「…………馬鹿者。お前の方が体力がないというのに。」
「いやいや。流石に見た目は幼い女の子に護られては流石に男としてどうかと思いまして。」
「それで死んだらどうしようとなかろう!!…まぁ良いか…」
そして2人はスクッと立ち上がった。
「色々あったが、これで何とかなったのう!!」
「とりあえず宝玉はこの奥ですかね?」
「うむ!とりあえず行ってみることにするかの!」
しかしその時、フットルルが突然顔を上げて2人のいる方向に熱湯攻撃を放った。
しかしフットルルが熱湯を放った先には2人はすでにいなかった。
フットルルが後ろを見た時にはテレポートで移動したと思われる2人が両手に巨大な水の塊を掲げていた。
「あっ!!やべっ!?」
立ち上がろうとするもののときすでに遅し。2人は怪魔に向けてニコッと笑い、
「「ギガ・ウォーター!!!」」
その水塊を振り下ろした。
そしてフットルルはそのまま消滅していった。
そして祠のある洞窟内
「フッフッフッ…そのような浅知恵でワシらを出し抜けると思うたか!!」
「…仮にも一団体の副長を名乗る者が死んだフリなどというこすい手を使うとは…」
「まぁ彼らもおそらく必死なのじゃろう…そろそろ洞窟の最深部だと思うのだが…」
2人が祠の前まで歩いていくと祠の前に少し不思議風な機械が置かれていた。
しかし2人は転生者ではないので鉄でできた謎の魔道具にしか見えたなかった。
「これは…魔道具…か…?」
「…今までに見たことない魔道具ですね?魔族特有のものだと思われますが…」
「まぁとりあえず壊すか。あいつを倒しても太陽が大きいままである以上これが太陽を大きくしている原因じゃろうし。」
ミーナはそれを躊躇なく壊し、スルーノの街に再び雪が降り始めた。
2人は宝玉を取った後、彼らは歓迎されながらスルーノの街へ一晩すごした。
そして、次の朝。
「いやはや、本当に助かりましたよ本当。」
「ま、わしらはこの宝玉を取りにきただけじゃけどな。」
「師匠どうしますか?このままここで彼らを待ちます?それとも私たちの家へ…」
その時、2人の後ろから聞いたことのある声が聞こえた。
「いや。その必要はないようじゃのう。」
次回、怪魔のドラゴン現る。