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異世界転生者と怪魔たち  作者: 魔絵腹
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神様奮闘記

〜数百年前〜

「よいか賢者たちよ。厄災は去ったがこれで二度と来ないとは限らぬ。そこでお前たちに邪悪なる力を払う宝玉の作り方を教える。」

私の名はエデン。

この世界の創造神である。

愛すべき人間たちとともに来た厄災を打ち払ったもののやはり不安であるがゆえ、賢者達には宝玉の作り方を教え、作らせてみたがそれでも不安は残る。

やはり何が起こるかわからぬ以上地上を見張らなければ…


〜数百年後〜

やはり来た。

魔王軍という厄災が来てしまった。

今の人間たちは平和な時期を過ごしていた者も多く、確かにある程度の力を持ったものもいるがそれでも大半は戦うことを知らぬ無垢な人間たちが多い。そして困ったことにさらには魔王軍には多数の幹部達も存在する。

「ふぅむ…こうなったら私達で奴らを叩くしかないな。」

そして私たちは人間達のためにそして、魔王軍を打ち滅ぼすために出来る限りのことをした。


魔王軍の幹部が火山近くに陣取ったとなれば、

近くの人間たちに幹部に悟られぬようこっそり離れるように伝え、人間たちが離れたあと、火山を噴火させ一網打尽にし、

海の近くに来たとなれば、人間たちを火山と同じように陣取ったあと、津波で流し、

山に幹部が陣取ったならば幹部に雷を落とし、山火事で魔物たちを焼け焦がし、

アンデットを召喚…することは恐らくできはしない。

この世界では火葬が基本であり、もし、火葬できずに死んだ遺体があれば私が直接いって死体ごと浄化した。

そして私たちはついに魔王に寿命を大幅に縮める薬を飲ますことに成功し、とうとう魔王も寿命で亡くなった!私たちの勝利だ!…と言いたかったのだが、残念ながら魔王にはなんと娘がいた。一応、まだ若く、魔王を名乗るには未熟なのだが…やはり不安は残る。もしかしたら魔王軍に新たな勢力が入るかもしれない!ここはやはり…

うぬ?…何故か…目の前が…まっ…くら…に…


「いや!ここは食いしばり時だ!」


魔王の娘を倒して今度こそ愛すべき人間たちの世界に平和を取り戻す!


とはいえこの後はどうしたらいいものか…確かに敵戦力は枯渇しているが忌々しくも魔王城にかけられている結界が強力だ。まぁ破壊出来ぬこともないが

「これ以上休みなく力使ったら過労で死にますよ!?」

と娘や部下にまで言われてしまった。

…こういう時のために宝玉が使い所ではあるが地上の誰に取りに行かせたものか…確か一人の賢者にミーナという娘がいたがその者に取りに行かせるか?いや、弟子は2人がいるとはいえ子供であるし…

悩んだ私は知り合いである別世界の神様のところに相談しに行ってきた。

ただ私の知り合いは私の顔を見るや否や


「お前マジで過労で死ぬぞ。」


と言われリフレッシュの意味合いも兼ね、知り合いの世界を眺めることにした。

知り合いが担当する世界はすっかり神に対する信仰がこちらの世界と比べて少ないがそれはこの世界の人間たちが我ら神々の力がなくとも大丈夫という証でもある。子供が親から巣立ち、自立するように、人間たちもまた、我々神々から巣立って自立している様を見るのは人間たちを造り出した私としてはたとえ他の世界とはいってもとても感慨深いものがある。

まぁこちらの世界も世界で結構人間たちは苦労してはいるが…


そして世界を眺めている最中にそれは起こった。


まだ未来ある学生2人がトラックという乗り物に轢かれて亡くなってしまった。


…何ということだ。まだ未来ある若者が…


しかし私はここで名案が浮かんだ。

「なぁ。すまないがあの2人の若者の魂をこちらの世界へ転生してはくれないか?」

他の世界の神々は最近違う世界で死んだ人間を別の世界へ送り、魔王に襲われている世界に送り込み、そして実際に魔王を倒しているという話があちこちで出てくる。

この世界の人間たちにも何故か小説として伝えられており

「なろう系」とか「俺tueeeee!」

とかいうらしい。

なれば私も彼らに今出来る限りの力を渡し、私の世界を救った勇者にしてあげよう!

厄災を打ち払い世界も平和になり、そして何よりあの人間たちも報われる!

…だが大丈夫だろうか?今の私の力を全て使ったとしても中途半端な強化になる気が…

「いや。そうもいってられまいか…」

そして私は2人の魂を譲り受けたあと、すぐに私の部屋に向かった。





…なんだ?

気がつくとそこは真っ暗な空間が広がり、俺はアカルと共に椅子に座っていた。

「おい。アカル、アカル。起きろ。」

「…うん?どうしたの…って!?」


そしてアカルは目の前の光景に気づくと周りをキョロキョロと見渡した。

「ねぇっ!?僕たちってさっきまで学校から帰ろうとしたあとだよね!?」

「確かにそうだが…途中から記憶が…」


すると目の前に一筋の光が見えたと思うとその光は一気に広がっていった。


「突然こんなところへ呼び出してすまない。だが少々私の話を聞いてはくれまいか?」


そして雲の上のような神秘的な空間になったと思ったら目の前にいかにも神様的な人がこちらに向かい話しかけてきた。

…傍目から見ても顔がかなり青いが…

「えっと…あなたは一体…」

「もしかして神様?」

「うむ。正確にいうとこの世界の神ではないがな。」

この世界の神様ではない?一体どういうことだ?

「さて、こんなことをはっきり言うのも辛いが君たちはトラックに轢かれて死んでしまった。」 

「「えぇっ!?」」


…そうだ朧気だが思い出してきたぞ。俺達は信号を渡ろうとした時に急にトラックが突っ込んできて…

俺たちは混乱していると神様は話しかけてきた。

「まぁそんな反応も無理はない。いきなり見ず知らずの人に死んだと言われても何がなんだか分からぬからな。とはいえ君たちが不幸にも死んでしまったのは事実である。…誠に残念だがな。」

神様はまるで我が子を思うように悲しく手を震わせて呟いていた。


「さて、本来なら君たちは天国行きになるのだが…少々私から提案がある。君たちは世界を救う勇者になってみないかな?」

「「世界を救う勇者!?」」

唐突な展開に俺たちは驚いた。

「あの!!さっきこの世界の神ではないって言ってたけどもしかして…」

「察しが良いな。その通り、私の世界は今魔王につけ狙われている。私は出来る限りのことをしたのだがそのせいで体が限界に近い。…とはいえこのまま部下や娘に全て頼るのも心配である。…というわけで私の世界へ転生し、世界を救って欲しい。無論、君たちに勇者としての力をできる限り与えよう。」

「デジマ!?」


…まさか俺たちがこんなライトノベルのような事態に巻き込まれるとは思いもしなかった。とはいえ気になることも多い。

「あの…具体的には俺たちは何をしたらいいのでしょうか?」

「やっぱり、魔王退治?」

「うむ。それももちろんではあるが、まず魔王の城には結界が張られてある。この結界は非常に協力で流石に今の私の力ではあれを破るのは難しい。そこでその結界を破るためにかつて私の世界にいた賢者達に厄災を打ち払うための宝玉を作らせ、それを私の世界のどこかに預けておいた。まずは君たちにはこの宝玉を集めてもらいたい。」

「それって…場所は分かるのですか?」

「うぅむ…できれば教えたかったのだが実は万が一の為にあえて賢者がどこに宝玉を隠したかは賢者達に各々任せておいたがゆえ、あの世界の人間達に聞くしかないのだ。…いらぬ手間を掛けさせてすまないがな。」

「いいえそんな!大丈夫です!」

「僕たちがあなたの世界を救って見せます!」

「おぉ!本当に手を貸してくれるか!?」


流石にここまで話を聞いておいて断るなんてことはできない。

「「俺(僕)たちに出来るのであれば手伝います!」」

「なんという心強い…!では早速私から祝福を送ろうぞ!!」

そして神様はブツブツと何かを唱え、両手を天にかざすと俺たちの上から光がさしてきた。

「ねっねぇ!アズマ!この光を浴びるとなんだか力が湧いてくるよ!?」

「俺もだ!しかも頭に何か入ってくる!?」

「私がいま君たち浴びせているのは強化の祝福!君たちには少ないが私がいま上げれる分だけの力を君たちに与えよ…うぅっ!?」


だが、突然光がフッと消え去ると突然神様は倒れてしまい、俺たちは駆け寄った。

「神様!?」

「どうしましたか!?」

そして神様は今にも枯れそうな声で言った。

「いや…私のことなど良い…あとは…君たちを…私の世界の教会に…」

「あぁ!もういいですから!」

「もう喋らないで下さい!このままだと多分あなた死にます!」

この神様が事前に何をしていたか知らないが少なくともそんなことがわかるくらいこの神様は衰弱していた。

「私は大丈夫だ…私の世界に転生するのはおそらく…私の世界の…今日から2日後になるであろう………

"ワープ"」

すると俺たちの体が急に宙に浮かんだ。

「神様!神様ー!!」

「僕たちが必ずあなたの世界を救って見せまーす!!」

「フフフ…良い…返事だ…やはり人間は…素晴らしい…」

そして俺達は意識が戻り目を開けるとそこはRPGとかでよく見る教会の真ん中であった。



「お父様は大丈夫ですか!?」

「はい。今のところ眠っているだけであります!」

「ハァ…それは本当に良かったです…」


転生者たちに力を限界まで与えた父上はまるで死んだかように横に倒れていたのでとても心配しましたがどうやら命は残っているようでした。

「うっ…うぅ…」

「お父様!!」

「おぉ…ミリアよ…私が送り出した転生者たちはどうなった…?」

「はい!無事に私たちの世界に転生しました!」


あの2人は人間たちを見守るため、私がシスターを務めている教会へと降りてきていた。


「それは良かった…すまぬ…私が無理をしたせいでお前たちに…」

「いえ。私たちは大丈夫ですが、お父様は…」

「なに。命に別状はない…ただ…神としての力はしばらく使えないようだ…重ねてすまぬが私の願いを」

「分かっていますお父様。あの転生者たちの見守り、そしてお手伝いですね。」

「…いってくれるか?」

「はい。愛する世界と人間たちのために。」


そして私は転生者2人のために再び地上の教会へと戻った。

次回、つめた〜い

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