ラストバトル
99階へ行く前に……。
ラストバトルに向け各自のスキル、称号等の確認を取った。
俺は、神の任命者の称号を知らぬ間に取っていた。
効果は神属性に対する、ダメ増加パーティにも影響あり。
これって完全にメタ称号だよな……。
「神属性のモンスターって、今までいたっけ?」と、俺が聞くと。
「いなかったわ、98階は古竜だったし」と、ユキが答えた。
そうなるとだ、なんとなく想像がついた。
99階でまた会おうと、神が残した言葉の意味とこの称号。
まるで戦おうと言わないばかりだ。
「俺、称号で神の任命者という称号を取ってた、効果は神属性への特化だ。
もしかすると、99階のボスは神様じゃないのか?」
俺としては、ほぼ確定だろうと思っていた。
正直、対策なんて思いつかない。
称号を神の任命者に変えておくくらいか……。
称号:[探求者]から[神の任命者]へ変更
「たとえ、神だろうと99階踏破を阻むなら倒すまで!!」
ユキとタクトが前衛をやる。
ジョンとリーに中衛を任せて、俺とユウヤが魔道士コンビが後衛を受け持つ。
この編成で、99階へ挑むことになった。
99階へ続く階段を進み、99階の広間に出た。
案の定、羽の生えた偉そうなおっさんが浮いてた。
「よくきたな、ファウスト。
本当に、99階まで到達するとは思っていなかったぞ」
「そりゃどうも!! 99階まできたんだ、これでゲームクリアなのか?」
「まさか、わかっているだろう神の任命者よ。
神の私が真のラスボスだという展開をやりたくてのぉ」
そのために、この世界リ・アース作ったのかこの人。
「それじゃ、始めよう……」と、やる気なさそうな、おっさんが急にイキイキとしだした。
「さあ、最初はそちらから攻撃してくるがいい」
あまりにも舐めた口を利くんで、全員でとりあえず総攻撃を仕掛けてみた。
ボロボロになりながら、神は言ってきた。
「なかなかてきびしいのぅ。それなら、これはどうじゃ」
杖を掲げて、雷を落としてきた。
パーティが、これによりほぼ半壊。
ユウヤと、俺で回復に回るが、正直間に合わない。
神が再び杖を掲げた瞬間、鋼鉄の剣を天に投げた。
鋼鉄の剣が雷を受ける。
何度か、ユキに怒られたからな、とっさにに思いついた。
思い付きによる行動だったが、二度目の雷は不発にすることができた。
「ユウヤ、回復を回していてくれ」
同じように雷撃を返してやるよ、[サンダーボルト:LV10]だ。
DEXが上がっている俺は、それほど詠唱に時間をかけずに魔法を放つことができる。
雷撃が放たれドガッと、ニブイ音を立て神にサンダーボルトが直撃する。
「ぐぬっ、そんなパラメータの魔法がこれほど利く?」
「俺は、不敬者だぞ。
魔石も組み合わせりゃ、十二分にダメージ出るに決まってんだろ!!
俺は、アンタにだけは完全特化なんだよ。
魔石なしで特化120%って頭おかしいだろ……」
神の手が止まったところを、また再度皆で攻撃する。
「ファウストだけじゃないな、お前かリー。
最初に脱落しかけた男が化けるとはな。
お前ら二人は、ちと厄介じゃのぅ少し黙っておれ」と、俺とリーが氷の壁に阻まれた。
クソっ、出れない。
こうなれば発破かけれそうな、二人を暴れさせるしかないな……。
「タクト、ジョン!! お前ら、あのおっさんに舐められてんぞ。
勇者と正義というのは、その程度の力かぁ?」
「なんだと」「オウ!!ヒドイですねー」
タクトとジョンの二人が暴れりゃ、これで少しは、持つだろうがどうやって出るかと考えていたら。
ユウヤがファイアボルトで、氷の壁をぶち破った。
「わははは、舐めるでないぞ。
神よ、このパーティには我がおるぞ」
ついでに、リーの氷の壁も魔法でぶち破って救出した。
「ぐぬぬ、調子にのるでないわ!!」と、翼を羽ばたかせ、風を起こす!!
[アースウォール]の魔法をとっさに使い、土壁を作り風を防ぐ。
ユキが、やけにおとなしいと思ったら、弓構えてやがる。
こうなりゃ、土壁壊れた瞬間に全員攻撃しかねーな。
攻撃させたら負けなら、攻撃させる前に潰せ。
俺たちゃチートな三次職さ、出来ないことはねーよ。
[アースウォール]が破れた瞬間に、全員で全力の攻撃を打ち込んだ。
神様が、モンスターと同じように砕け散った。
「や、やったか?」
「それ辞めなさい」と、即ユキからツッコミが来た。
ログでねーぞと、思っていたら。
胡散臭い黒い服の男が、こちらに近づいて来た。
「いやぁー。サービスし過ぎたとはいえ。
強引に倒されるとは思わなかったなぁ」と、黒服の男が話しかけて来た。
「あっ、防音室持ってきたおっさんじゃねーか!!」
皆、それに反応した。
「私こういう者です。」と、名刺を渡してきた。
名刺に、[神様]っておい。
「ラスボスになった気分を味わいたかったので、ゲームを作ってみたがいいが人数が集まらず。
私の目的達成されないまま、このゲームを破棄するのかと考えていたよ」
「けど諦めない6人が、プレイヤーにいたってな」と、俺が言った。
「システムも仕様もよーく出来たものを作ったと、自負しておるが6名では到底無理じゃろうなと思っていたが。
そこのロールプレイ男が、バランスの穴をついてきおったわ」
「あははは、製作者の意図しない部分攻めるのも面白いだろ」
「まぁ、良い。一度だけではあったが、ラスボス気分は味わえたので満足した。
ゲームクリアだおめでとう、諸君」
最後のクリア報酬として、ファウストにこれをやろう。
[大きな持ち運びの箱](10個の枠まで、アイテムを入れて現実に持ち帰れる箱)
「大きな持ち運びの箱じゃ31階の奴の10倍の効果じゃ。
皆で、持ち帰るアイテムを選ぶといいぞ」
続けて、黒服の男が言ってきた。
「最後に、私はこれでこの世界を去る。
あとはお主らの好きに扱えばいいこの奥の部屋に、このゲームのシステムが置いてある。
新たにダンジョンを増やすなり街を作るなり、なんでもできるぞ。
システムで、この世界をとめてくれても問題ない、好きにしてくれ」と、言葉を残しつつ、神様と名乗る黒服の男は消えていった。
どーするんだ……みんな。
もうすこしで、ゲーム内で一年経とうとしてる。
正直、続けるのはないだろうな、皆にもリアルがあるんだし。
「どーする? クリアしちゃったけど」と、俺が聞いてみたが全員押し黙ったままだった。
動きがなかった為、とりあえず俺は一つ提案をした。
「とりあえずさ、システム見に行かね?」と、俺は言ってみた。
「そうね、そうしましょ」と、ユキが返してくれた。
あ、奥の部屋には、モニターがある。
プレイヤーのデータとか、そんなのここで見ながら俺たちが来るのあの人待ってたんかな……。
「あのさ、俺はこのゲーム何だかんだでたのしかったわ」
「あんたにゃ、迷惑かけられっぱなしだったけど私も楽しくはあったわね」
俺とユキが続けて言った。
「魔法を使えて楽しかったですよ」
「キツかったけど、最後は楽しかったよな」と、ユウヤとタクトが。
「こんなゲームが現実にあるといいですね……」
「オウ!!ソウデスネー」と、リーとジョンが続けて言った。
皆、現実に戻る前提だけどゲームが楽しかったってのは同じかぁ。
なんか引っかかるなぁ。
ん……? こんなゲームが、現実にあるといいですね。
このゲームのシステムを持ち帰れたら、現実でもこんなゲームが作れるんじゃないのか?
「あっ、思いついた。
大きな持ち帰りの箱で、ゲームシステムを持ち帰るってのはどうだろうか?」
「えっ!?」と、パーティ全員が驚く。
「いやさ、あの神様さ。たくさんの人にこのゲームして欲しかったんだよ。
けど、これだけ作り込んでも俺ら6人しか来なくてさ悲しかったはずなんだ。
だから、あの人の代わりにプレイヤー集めてやりたいなって思ったり」
「あぁ、またアンタらしい部分が出てきたわね。
私は構わないわよ、現実帰っても贅沢できるくらいは稼いでるしね。
この世界で……」
「リーダーが、やりたいようにしたらいいよ」と、皆が言ってくれた。
「えっ、俺いつからリーダーだったの?」
「最初からよ……」と、ユキが言ってくれた。
「ありがとう、皆。
システムが止まれば現実に帰ると思うから。
皆現実でまた会おう」
大きな持ち帰りの箱に、システムを指定する。
大きな持ち帰りの箱の、スロットを全て使いますがよろしいですか?
えっ、全て?
もしかして、あの人これを期待してたんじゃ。
「それと、各自持ってる。
持ち帰りの箱で持ち帰りたいアイテム入れて置いてね」
各々、持ち帰るアイテムを持ち帰りの箱に入れた。
ユキが、指輪を外して箱に入れていた。
「皆、バイバイ。また会おうな」
システムを[YES]に選択する。
システムがコピーされ、[大きな持ち帰りの箱]に入った。
「あるぇ?」
「また、あったわね」と、ユキに言われ。
俺も含めて、皆が笑ってしまった。
「なんか、締まらないんで一旦パーティハウスに帰ろっか」
[脱出の書]を使い、パーティハウスに帰ることにした。