神の任命者
翌日、ミノタウロスを倒すため、再び36階へ向かうのだった。
30階でキャンプを行い、ミノタウロスの対策を事前ににしておいた。
もし、タクトが2匹を相手にしても盾があるので、ユウヤのフォローさえあれば死ぬことはない。
ユウヤは純粋な魔法職タイプなので、タンク役は絶対後ろに抜けられないように気をつける等の基本的なことだ。
逆に、その基本的な事が出来てれば36階で詰むことはなかっただろう。
俺の魔法と、ユウヤの魔法の違いは、圧倒的に威力の差がある。
詠唱こそ、DEXを振っている為俺の方が速いが、純粋な魔法職の魔法威力の差は歴然としてる。
なにが言いたいとかというと、タクトは、タンクに徹しろだ!!
何かあるなら自分がフォローする、という事で翌日は36階で探索をすることとなった。
結果としてみれば、36階〜40階は、俺がほぼ手伝うことなく突破する事が出来た。
すでに、何度も攻略している41階のデカいミノタウロスの習性やパターン等をタクトとユウヤに伝える。
ミノタウロス同様、体の変色後のハンマーフォールに気をつける。
仲間召喚された後に、距離を取る等コツを教えた。
ただ、この戦闘は一方的に終わった。
中衛でひたすら[アイスウォール]を俺がやって、ユウヤが後衛からの[アイスストーム]で、敵モンスターを圧倒していった。
「わかってしまうと、簡単だったな……」
「そうだね……」と、言って下を向いて俯いていた。
二人が、なんとも言えない感じで言葉を発した。
そこで俺が、二人を励ますためにロールプレイを演じた。
「流石じゃないか、勇者タクト!!
俺にはできない完璧な守りじゃないか。
勇者ってカッコいいだけじゃなく、仲間を守るのも勇者の仕事だろ。
もっと、誇れよ大魔道士ユウヤ!!
お前の魔法の威力は、この世界で一番だ。
俯いて下向くんじゃなくて、もっと楽しもうぜ!!」
二人に発破をかけるように、ロールプレイを行った。
「そうだな、守るのも勇者の仕事か」
「我の、魔法が一番と申すか。
当然であろう、あっははははは」と、ユウヤのいつもの、ロールプレイが復活していた。
「それで、前回断られたけどさ。
99階へ行くのに君達の力が必要なんだ協力してくれないか……。
君達が、楽しめるように、俺もロールプレイすっからさ」
俺とタクトが、ニヤリと顔を合わせて笑い始めた。
「仕方ねぇな、仲間を守る為に協力してやるよ」
タクトも、ユウヤのロールプレイがなくなっていた事が気になってはいたみたいだ。
「だけど、俺は勇者だからな」と、タクトは言う。
「神様が言ってたけど。
俺らが三次職なのは、ある意味例外だってさ。
すなわちチートキャラと変わらんさ。
タクトが、勇者やりたければやるといいさみんなが、皆のロールプレイを楽しんでる」
タクトが勇者であることを俺は肯定した。
「俺は赤魔道士だけどな」と、言って赤魔道士のアピールした。
「我は大魔道士たるぞ!!」と、ユウヤが言ってタクトが笑った。
この日、俺達のパーティは6人になった。
ログが流れた……。
称号:神の任命者を獲得した。
(称号使用の際、本人に神属性特攻100%を付与する、パーティに神属性特攻30%を付与する)
さぁ、帰ろう。俺達の家へ……。
[脱出の書]を使い、パーティハウスへの帰路についた。
[コール][ユキ]
「今から俺達、パーティハウスに帰ってくるから」と、言うと。
「あっそ、エミリーとパーティの準備しとくから」と、ユキが言ってくれた。
パーティハウスに皆が集まり、6人のプレイヤーがようやく揃った。
「ここからが、本当のスタートだな」と、俺は呟いた。
テーブルに次々と料理が並べられ、料理が所狭しといった感じに並んでいる。
「パーティ完成!!おめでとう!!」
「おめでとう!!」と、俺が音頭を取り皆がそれに合わせてくれた。
もっといい言葉があるとは思うが、思いつかなかった。
新規で入った二人に、各自の部屋の件や転送屋兼家政婦のエミリーの件を伝えた。
そして、リアルの資金や生活の件や週ごとの探索予定等を、新規でパーティに入ったタクトとユウヤに教えた。
「俺達の部屋を、用意してるのも驚いたが。
転送屋を最初の街から連れてきたというのも驚いた」
「しかも、現実に対しての対策もしていたとか、俺達どれだけお前らに離されてたんだ……」と、タクトは自虐した。
「気にすんな。俺達は、パーティだからなフォローできる事はするさ」と答えた。
その翌日、6人パーティで転送屋を利用して41階から52階へ向かい52階を突破するのであった。
そして、その来週は全員での探索の日に、ユキがこう言った。
「転送使って52階から進むわよ」と、言った。
ユキ的に、51階のボスに何か思うところがあるみたいだ。
そんな、俺達だが探索を地道に進め、99階へ進む階段前まで到達していた……。