勇者パーティ
「エミリー、ただいま」
探索で空けた家を、エミリーが掃除してくれていた。
お風呂も入れてくれてたみたいで、そのまま汗を流すことにした。
風呂は、生き返るねぇ等と思いながら風呂に浸かっていた。
あっ、タクト達にも連絡するか。
[コール][タクト]
「51階まで、到達できたぞボスは、アラクネで男性にとって強敵だった」と、話しを進めていたら自慢するなとキレられた。
そして通信切断……。
これじゃ、情報の提供のしようもないし……。
あいつら探索うまくいってないんじゃないかと心配した。
風呂から、上がって着替えて部屋に戻ってきたら。
[ユウヤ]さんから [コール]があります。
「あっ、すいません。ユウヤです」
いつもの、我とか、そう言った系のロールプレイしないのかな?
「さっきタクトに通信切られたわ、アレだと情報提供のしようがないんだが」
「すいません、あまり探索がうまくいってなくて、情報共有どころか足引っ張ってますね」
「あ、やっぱりそうじゃないかと思ったよ」
俺が考えていた予想は当たったみたいだ。
二人で苦戦するとするなら、スタン持ちのミノあたりかな……。
「36階のミノタウロスが2匹いて、タクトだけじゃ処理できてないんです」
それで前回も、41階の突破報告、51階の突破報告を聞いてタクトが怒り出したと。
やっぱり、そういうことか……。
進めないところを突き放されて心折れそうな状態かぁ。
こうなったら助けるしかないでしょ。
「よし、わかった。
ユウヤ、俺達はお互いに対等だ。
俺を呼び捨てににして構わない、だから俺を臨時でパーティに加えろ。
その件、どんな手を使ってでも、タクトを説得しろ!!」
「わかりました。説得してみます」と、通信が切れた。
その後、説得できたという旨の連絡がユウヤから来た。
夜飯だけど、みんな一階に集まってるだろうか。
一階の食堂に降りて来た。
料理が準備されており、パーティの皆も揃っていた。
「みんな、すまない。一週間程、タクト達のパーティを手伝ってくる。
俺たちが順調に行ってる中、あいつら詰まってるみたいで、ユウヤから連絡がきた。
俺の目標は、六人パーティ揃えて99階を目指す事だ。
このままじゃ、あいつらが消えちまう」
「オウ!助っ人デスネ!!」
「どうせ、止められてもやるんでしょ」
「僕も99階目指したいですから」
そんな感じで、皆から了解を貰えた。
三人でPT組んで、この一週間は探索するみたいだ。
「迷惑かけるけど頼む」と、ユキに言った。
「ハイハイ、アンタに迷惑は何度もかけられたでしょうが、これくらい簡単簡単」と、あっさり返された。
「じゃあ、明日もお互いに頑張ろう!!
くれぐれも無理すんなよ。みんな」
「アンタが一番心配なのよ……」
「オマエガイウナーってヤツデスか?」
「ははは……」
えっ、俺が一番危ないヤツなん?
リー君に至っては愛想笑い。
せっかくエミリーが、これだけ用意して貰えてるんだ、みんな料理を楽しもう。
そして、皆で料理を食べ終えた後、パーティを解散した。
そして夜が明けて、朝になった。
その日は、パーティを離れる緊張から普通に早起きした。
タクトパーティの待ち合わせ場所についた。
「よぉ、タクト、ユウヤ。無理な願い聞いてもらってすまんな」
「いえ……」
「ユウヤが、どうしてもと言ったから臨時で組むんだ。
足引っ張るようなら置いていくぞ」
恐る恐るのユウヤと強気 のタクト。
まず最初に、俺のスデータスを二人に見せた。
[ステータス][オープン]
「俺のステータスは、こんな感じだ。
運用はお前に任せるよ、タクト」
「ぶっ。こんなステータスで、よく戦えてるな」と、笑っている。
「言っちゃ悪いが、これでも51階までクリアしてるぞ」
明らかに、タクトがムッとした表情を見せる。
「俺はステータスを馬鹿にさせるために、ステータス開示したわけじゃない。
タクト、君にパーティとして運用をしてもらうために重要なステータスを開示した」
「うぐ、馬鹿にして悪かった」
「盾が持てるので、タンクが可能だ。
あと、後衛での魔法要員としても動ける」
ドラゴは、一階の小屋において来ている、エミリーに世話を頼んでいる。
今回は、このPTと歩調を合わせる必要があるので、残念ながら騎乗スキルはナシだ。
そんなこんなで、36階まで勇者パーティは到達した。
二人でここまでは攻略できているので、三人パーティになったため簡単なものだった。
「3人になるとかなり違うものだな……」
「それより、ファウストの動きが的確だ」と、タクトとユウヤが言う。
「パラメータがこんなんなんだ、技術でどうにかするのは定番だろ?
そのために、職業選んだしな。
それより、ユウヤは、いつからその普通、口調になったの?
最初の頃の、ロールプレイはやめたの?」
「そんな余裕がない……」と、ユウヤが言った。
「そっか……」
何故か、俺は少し悲しくなった。
36階で、ミノタウロスと遭遇した。
タクトと俺が、各自1匹ずつ抑えて、ユウヤが魔法で倒すスタイルだ。
これで、苦もなくあっさりと倒せた。
しかし、弱点もはっきり見えてきた。
コイツらも、説明書読んでないという部分が顔をだしてきている。
タクトが、ミノのハンマーフォールを食らってスタンするし。
すぐさま、[ヒーリング]して俺が解除したけど。
そんなの、二人パーティでやったら戦犯案件だぞ……。
そう言いたい所だが、ユウヤはそのフォローができていない。
知識がないから、その選択肢を選べないでいる。
「なるほどね……。
二人は力不足とか、人数不足で詰まってるんじゃないな。
お前らも、知識不足だわ……」
「なんだと!! バランス型の雑魚がデカい口聞きやがって」
「ちょっと!」
ユウヤがワタワタし始めた。
「次のミノは、俺が2匹とも倒すわ。
お前らなんもすんなよ」
誂え向きに、ミノ2匹がやってきた。
[アイスウォール]
氷の壁でミノタウロスを足止めした。
すぐさま、[アイスストーム:LV6]を詠唱。
…………!!
……!!
「アイスストーム!!」
そして、その流れをもう一度、繰り返した。
すると、あっさりとミノタウロスを倒せた。
1匹は倒し損ねたが、武器を剣に持ち替えて追撃で一撃を加える。
2匹目のミノタウロスを倒した。
「と、こう言う訳だ」
「自慢か!!俺なら倒せるって自慢かよ」と、タクトがキレた。
「ちょっと違うかな。
お前らは倒せる敵を、わざわざ苦戦して戦ってる」
「どう言うことだよ」と、タクトが突っかかってくる。
「その前にさ、タクト・ユウヤ一度説明書出して」
「説明書関係ねーだろ」
「あるんだよ、だから出せ」と、二人に対して強めの口調で命令した。
仕方なしに、二人は説明書を出す。
二人パーティで、苦戦し続けたから説明書読んではいるが、説明書の読破は半分以上読んでないな。
俺がそれに続き、説明書を出した。
「「えっ!?薄っ」」と、タクトとユウヤの二人が驚く。
「この説明書さ、読んだらその分表示されなくなるから薄くなっていくんだよ。
まず一つ目、これが俺とお前らの差だ、つまり知識の差がお前らとの差。
なんで現状、詰んでるんなら説明書もっと読まないんだよ……」
(お前が言うな……って、神様の声が聞こえてきそう)
「タクトが馬鹿にしたこのバランス型は、俺がデスゲームと勘違いして必死で生きるために選択した形だ」
「そういえば、そうだったな……」と、タクトが言った。
「二つ目は、必死さが足りない。
パーティのユキなんか、死にながらでもモンスター倒したぞ。
勇者や大魔道士という強い職業に就けたから、二人に慢心があるんだろ。
だから必死さが足りない。」
続けて、最初にユウヤのプレイスタイルに注意をした。
「ユウヤ。
なんでタクトが、スタンした時[ヒーリング]を即しない。
なんで[アイスウォール]で間合いを作ってやらない。
死んでしまうから、デスペナがきつくなって繰り返しになる、だけど低層でレベル上げはしたくない。
なんて、慢心以外のなにものでもないよな」
次に、俺様状態のタクトに注意した。
「ユウヤのフォローも残念だが、タクトお前も悪い。
お前は、勇者だから自分でやるって背負うが、もっと仲間を頼ってやれよ。
作戦出してやれよ、リーダーだろ」
何も言い返せない二人……。
「逆に言えば、さっき行った分を治せば君達はもっと強くなれるよ」
「タクト言ったじゃん。バランス型ごときって、その通りだよ。
LUKとかほぼ戦闘に無用のステ振ってるんだから。
俺よかよっぽど、君らの方が強くなるさ……。
けどな、俺はこのステータス最高に楽しんでるんだよ。
タクトもユウヤも、ゲームなんだから、もっと楽しもうぜ」
最後に、二人に結論を言った。
「今の君達では36階が荷が重い理由は、わかったかい?わかったなら帰るよ」
「「わかった」」
[脱出の書]を使い、ダンジョンを脱出した。
「二人とも明日やる事は、わかってるよな……」
「説明書を読めって言うんだろ」
「Exactly(その通りでございます)」
ネタがわかったみたいで笑われた。
「一度言ったと思うが、俺は6人しかプレイヤーのいない、このゲームで6人のパーティが組みたいんだ。
せっかくなら、みんなで楽しみたいしな」と、二人に再び俺の気持ちを伝えた。
その日は宿屋に泊まり、その翌日は、タクトとユウヤの勉強に付き合った。