ゲームクリア?
光の柱へ近づいていく、光の柱に手を触れると……。
「おめでとう、この世界の、ゲームクリアだ!!」と、声が聞こえてきた。
更に続き、説明が続いた。
「先程の持ち帰りの箱で、この世界のアイテムを一種類のみ持ち帰ることができる、一度使えば再度獲得することも可能だ。」
つまり、現実に戻ってもゲーム内の資産の一つを現実に持ち帰れる。
そして、それを繰り返すことも可能だ……と。
この世界のゴールド(通貨)は、金で出来ている。
ゴールドをそのまま持ち帰えれば、現実の為の金策をしながら。
このゲームをプレイし続ける事が可能という事だ。
神様は、この31階でゲームクリアと言ってくれたが……。
99階までダンジョンはあるんだし、まだ68階も攻略していない階がある。
資金面は気にしなくていいとくれば、攻略を続けるしかないでしょ。
正直、今の資産を持ち帰っても、この世界に引っ張られただけの大損だし。
こっちで稼げるのなら、この世界で徹底的に稼いでやる!!
大学は留年確定だろうが、それでも、その価値異常に稼げればいいさ。
「さて、クリア後の神様とのご対面だ!!
ゲームクリアしたんだ。神様、あなたと話がしたい」と パーティ以外がいない部屋で神様に向けて声を発した。
ログが動いた。
パーティを神の憩いの場へ転送します。
いつもの、翼の生えたおっさんが偉そうに浮かんでいた。
「まず、ゲームクリアおめでとう。
好きなアイテムを持ち帰って現実に戻るといい。
現実でもスキルが使えるバグは、修正しておくから安心してくれたまへ」
と、神様が言ってきた。
「おいおい、神様。それはなんかおかしくねーか?
少なくとも、俺はゲームを楽しみに来たんだぞ。
99階まであると記載のある説明書まで作って31階で終了ってのはおかしくないか?」
ゲームである以上全力でやる。
これが俺のモットーだ。
それなのに、これでは中途半端だ。
俺のモットーに反する。
「いやな、こうなったのも私としても想定外だったというか……」と、神様が言った。
「ファウストよ、日本ではゲームは盛んではないのか?
ゲーム市場で物凄い動いていると聞き及んでいたので、私は某通販番組を利用してこのゲームの参加者を増やそうとした」
俺は、それを聞いて頭を抱えた。
この人、マーケティングってのがまったくわかっちゃいない。
「あのな神様……。
あの番組でゲームを売って捕まるのは、本当に物好きな連中の俺ら位しかいないし」
更に失敗の理由について話を続けた。
「そもそも、コンシューマゲーム自体が下火という現状。
そして現代では、お金の為に……いや、人間は働かされるために生きていると言っても過言ではない。
そんな時代の、大人(人間)には、余裕がないんだ。
それでも、何かしたい。
一瞬でも感動が欲しいと、ソーシャルゲームをするユーザーが多いのだ。
今の時代、コンシューマに手を出す人間の方が少ないのだ。
ソシャゲの台頭で、大人のお遊戯の代名詞パチンコでさえ苦境に立っているというのに。
コンシューマゲームの復権とか、それこそVRMMO位突拍子のレベルのものが出なきゃもう無理だろうという状態なのに、あんな手で集客しようと思いましたね」
直接の失敗原因を聞かされ神様が軽く凹んでいた。
「集客が悪かったのは、理解した。
本当は、もっと多くの人間がこの世界に来てくれるものと考えていた。
そのために、難易度を序盤は低めに設定して、最初から2次職を飛ばして3次職に転職可能とした。
私が、純粋に、この世界を楽しんでもらいたかったためだ。
ここから、先の32階からは、難易度が上がり、正直一人で攻略はほぼ無理だ。
六人しか 集まらなかった、この現状では、99階を踏破、をするのも難しかろう。」
この31階までは、お客様を楽しませるためのステージで、ここから先は難易度が上がる的なヤツか。
「ユキ、パーティの最大人数は!!」
「6人よ」
「この世界に、ゲーマーが6人もいるじゃねーか!!十分だ。
神様、あなたが作ったこのゲーム。
この俺が、全力でロールプレイしてやるよ!!
6人で行けば無理な難易度じゃないんだろ。
ゲームである以上、俺にクリアできないゲームはない。ユキもいるしな」
会話にユキを巻き込んだ。
「まぁ、神様が作った攻略本もあるんだし、できなくはないんじゃない?」と、ユキの発言にたいして神様は反論した。
「問題になるのは、攻略方法だけじゃない。
魔石だ、人数が少なくては魔石の流通も大変だろう……」
「ん? 俺は魔石10個位拾ってるぞ」
パーティの二人からジト目を食らう。
「え? 二人とも魔石出てないの?」と、パーティの二人に聞いたが無視された。
「強運もあるが、そういえばお前は、LUKにもステータスを振っておったな。
LUKがレアドロップに影響する。
それもあって魔石が拾えてるんだろうな」
「あぁ、そういうことか。
なら、LUKにステ振りするの再開するかな」と、俺は言った。
「なんじゃ、ファウストよ。
お主、思ったよりこのゲームを楽しんでくれてるみたいだな。
初めて、あった時はクーリングオフだの言って殴りかかって来たのに……。
人数こそ少なくなったが、お前達が少数精鋭と思って99階の踏破に期待する事にしよう。
それでは、99階でまた会おう!!」
「ちょっと、待った神様!!」
俺は、去ろうとする神様を呼び止める。
このゲームをやってる間、現実を離れすぎると死んだ扱いもしくは、現実に戻った後に大変な目にあうと伝えた。
それを回避するために、この世界を利用して現実の世界の資金稼ぎしてもいいか? と、聞いてみた。
「なんじゃ、その程度か好きにせい。
この世界の、仕様の範囲だったら好きにすればいい」と言って、神様は去って行った。
これは、三次職の皆と、話する必要があるな。
リー君は、終始ぽかーんとしていた。
「一旦、ダンジョンから出よう!!」
[脱失の書]を使用し、ダンジョンから出ることになった。
「さーて、これからどうしようかね」
「どうせそんな事、言っててもアンタの事だから、なんか動こうとしてんでしょ」
「そう言っても、PT候補は選んだとしてもあの三人しかいないけどな。
リー君も、初PTお疲れ様、ナイスな、火力だったよ!」
「あの、僕も99階目指すんですよね」
「君も神様との会話聞いてたと思うけど。
せっかくなんだし得られるもの得て、このゲームクリアしようぜ。
了承ももらったんだし。
そのためにも、金銭効率が上がるであろう上の階目指すのが、妥当でしょ?」
「あ、いえ、不安とか不満じゃないんですよ。
軽く詰みかかってたけど。
今回、僕と偃月刀コイツが活躍できて、少し自信ついたというか」
「まだ、序盤じゃん?
ここから修正しようと思えばできるし。
仲間がいれば、攻撃特化のそのステータスも活躍の場はいくらでもあるよ」
と、リー君をフォローした。
「ユキ、もうちょっと俺のロールプレイ(ワガママ)に付き合って!!」
「アンタのそういう所は、いつも通りだから構わないよ」
これで、ウチのPTは問題なし。
という事で、
「今日は、皆、解散!!
一旦、探索お休みです。休憩するなり装備整えたり各自行うように。
あと、リー君、脱出の書もってないでしょ。
コレあげるから、一度戻って身の回りの準備して来なよ。
準備してケジメついたら、こっちの世界で大きく稼ごうぜ!!」
「はい!!」
あれ、リー君やけに素直になったな。
リー君に[脱出の書」を渡した後、パーティメンバーと別れ別行動をとることになった。
あとは他のメンバーへ相談ってとこかな、ジョンは、すぐ来てくれる気がする。
正義の味方だし、頼られたら断れんだろ……。
すでに、パーティを組んでるタクト、ユウヤペアの動向が解らないと、予想した。
ウダウダ考えても仕方ないから、とりあえずいつも通りコールしよう。
まず、近況の報告を行い。
今度集まって話をしようという旨を 、三人(ジョン、タクト、ユウヤ)に伝えたのであった。