大王イカ現る。
リーを新メンバーに加えた俺達3人パーティは31階へ向かった。
31階で、見たモンスターに対しての各自の反応が皆の性格を表しているようだった。
「大きいなぁ……倒せるかな」と、リー君が言った。
「食べれるかしら……?」と、ユキがアホな事を言い出した。
「あそこまで大きいと、流石に大味すぎて不味いだろ?」と、ユキに返答した。
まともな発言を言ってる一人と、見当違いな事をいう二人。
このあたりは、性格が出た発言だったと思う。
モンスターの様子を覗うようにして、覗いてみるがモンスターはこちらに気づいていない。
「よし、あのイカどうしよっか?」と、ユキが聞いてきた。
「相手が気づいてないし、一旦30階に戻って作戦を立て直そう」
意気込んで31階へ来たがボスを見て、再度作戦の立て直しとなった。
「「戻ろう」」と、ユキとリーの二名もそれに賛成してくれた。
30階へ戻ってきた。
31階のボスは、でっかいイカだ。俗にいう大王イカってやつか?
腕の本数も多いし、どうしたものかね?
作戦1:前衛2で(俺とユキで)攻撃を耐える。
リーがイカの足を一本ずつ切り落としていく。
作戦2:ユキが前衛で華麗に避けることを期待。
ユキが、捕まった場合は、リーがイカの足を切り落とす。
リーが、隙を見て、本体や、足への攻撃をする。
俺はサポート、サンダーボルトLV1での速射でユキへ攻撃が来る際の妨害。
作戦3:ガンガンいこうぜ。(すでに作戦ですらない。
まぁ、妥当なのは、2か?
ボスとはいえど、回避前提の1対1ではあるんだし、ユキならなんとかなるだろ。
(女性プレイヤーに、触手の餌食となれと、采配する鬼畜主人公である。)
「他意は、ないのよね?」と、ユキに聞かれた。
「ん?俺が前衛出ても破られるのが確定してるし。
リー君は残念ながら論外・・・。
相手の手数を減らしつつ、やれるって意味でこっちにしたけど?」
メイン火力をリー君任せには不安があるので、前衛2という作戦は選ばなかった。
こういう流れで、今回のボスモンスター討伐の作戦が決まった。
前衛:ユキ
中衛:リー
後衛:俺ファウスト
この配置で、戦闘に入ることになった。
「あっ、それと開幕距離がありそうなら、俺が魔法ぶち込んでからスタートな。
それじゃ、行くぞ」
パーティへ[スピードアップ]と[祝福]をかけて、31階へリベンジするのであった。
「さっきと、同じ場所にいるな。
ユキ、リー君、前線維持任せたよ!!」
開幕の挨拶のかわりに俺は、[サンダーボルト:LV10」を詠唱した。
…………。
……。
魔法の的に、ターゲットされたことに気づき大王イカがこちらに気づいて寄ってきた。
だが、遅い!!
「さぁ、戦闘開始だ!! サンダーボルト!!」
落雷が、大王イカに直撃する。
当然、ボスモンスターなので一撃で倒せるほど甘くはないが、十分にダメージを与えて戦闘開始することができた。
ユキが、大王イカへ接近してタゲ取りを始めてから本格的に戦闘が開始された。
大王イカには十本の足はあるが、そのうち3〜4本の足で攻撃している。
(正確にいうと十本のうち二本は、腕らしいが。)
完全にかわし切るとまではいかないが、捕まることはないレベルでユキは攻撃を避けている。
「ユキ、その調子で回避続けて!!
リー君、タイミング見つけて、そいつの足減らしていって!!」
ユキのHPはこまめに、[ヒール]して[スピードアップ]だけは死んでも切らすなよ俺!!
リー君が、攻撃に出るタイミングに躊躇して動けずにいる。
足を減らさなきゃ、結局後手に回るので。
この流れは良くないな……。
支援と回復をする程度だったら、MPに余裕はあるが攻撃まで参加するとなると、MPに自信がない。
MP回復剤を飲むしか方法がなくなってしまう、不味いのであまり飲みたくないんだが……。
状況打破のためにはやるしかない!!
「リー君、俺がユキへ[ヒール]と[スピードアップ]の順に支援かけて、攻撃魔法を撃つから。
それに合わせて攻撃してくれよ、リー君の火力に期待してる」と、言うと。
「お、おう」と、リー君の困惑したような返事が返ってきた。
「ユキ、引き続きたのむよ!!」
「早く終わらせなさいよ」
「わかったわかった」
「スピードアップ」「ヒール」「「サンダーボルト」を立て続けに打ってMP回復剤を飲んだ。
「まずい・・・」
リー君が、偃月刀を振り攻撃をした。
コントロールが難しいのか、そのまま大王イカの胴の部分に偃月刀がめり込む。
「リー君。足だよ足を狙って」
二セット目行くぞ。
三セット目、四セット目と続けてMP回復剤を飲んでいく。
「くっそ!!不味いもう一杯!!」
五セット目
「もうこれで勘弁してくれませんかね・・・」と、軽く涙目になりながら俺は言った。
リー君が、こちらを可哀想なモノを見る目でみている。
足残り6本……。
「ユキさーん。足6本になったから回避もう大丈夫だったりしません?」
「あと4本位、回復ポーション飲んでみたら?」と、ユキに煽られた。
「おおぅ、やってやろうじゃねーか!!」
そこから、めちゃくちゃMP回復剤を飲んだ。
イカの足が二本なった瞬間に、「ご苦労さ〜ん」とユキが言った。
その瞬間、ユキが二刀で大王イカを切り刻んだ。
ログが流れる。
ボスモンスター討伐!!
大王イカを倒した。
[持ち帰りの箱]を手に入れた。
ボスモンスターの復活は1日後になります。
ファウストのレベルが27になった。
ユキのレベルが26になった。
リーのレベルが20になった。
「やったわね」
「やったー!!」
二人に向かって手で静止をかけた。
「気持ち悪い……」
俺はダッシュで、一人で30階へ降り吐いてきた。
31階へ戻ってきた俺は開口一番MP回復剤の不味さについて語り始めた。
「なんだよ、アレ続けて飲むとありえないくらいには不味く感じる
もう4本目位から拷問の類かと……」
「ご愁傷様ー、頑張って魔法職君」と、ユキがケタケタと笑いながら言ってきた。
「リー君。お願いだから、DEXに振ってくれ」
「あっ、はい」と、言ってリー君は、すごい申し訳なさそうな顔してる。
「レベル上がったよな。もしかしてDEX一切振ってない?」
「はい」
・・・・・・。
MP回復剤が軽い恐怖、いやトラウマになりかけた。
どんよりとなった俺の顔を見て、「次は振ります。安心してください」と、リー君は言った。
大王イカより、MP回復剤に恐怖を感じたが無事に? 31階のボスモンスター討伐となった。
ボス討伐の恒例で、奥の部屋で光の柱が輝いていた。
----------------------
MP回復剤は一本での使用は問題ないが、体に成分が残っている間に使用する場合。
ギリギリで我慢できる不味さが、どんどん悪化していくという。
素敵仕様である……。
ちなみにMP回復剤は、回復量は全て同じである。、
主人公購入品100Gが、ユキが使ってくれた品が500Gだった。
1000G・5000Gと金額が上がるごとに味が良くなっていく。
一度、続けて使ったことがあったが、500G→100Gと別アイテム扱いで、あったため我慢できた。
----------------------