スライムがあらわれた。
ゲームの開始位置の始まりの地は、何もない小屋の中だった。
小屋にあるベッドで、体力は回復できるみたいだ。
回復手段を確認を済ませた後、小屋を出た。
小屋を出て少し離れた所に、城が見えていた。
こういうゲームのお約束は、少しMOB倒してレベル上げて装備買えば先が楽なんだよな。
そう考え、城の周りでレベル上げに勤しみ、普通にゲームをプレイしていた。
純粋なゲーム音だけの空間、生活音もない環境でゲームをプレイできるのは、意外と新鮮だったからだ。
空調機能も整っていて、ある意味ゲームをやるには、ある意味理想の環境なのかもしれない。
ゲームとは関係ない部分で喜びつつ、初期の雑魚モンスターを狩りながら30分程、時間が過ぎた。
城?城壁の周りの草原でスライムを狩り続けて、レベルが3程上がって、1LV→4LVになった時だった。
あれっ?画面の右下で赤い〇が点滅してる。
なんだろコレ?と選択してみると。
長々と説明書が表示されたので、即キャンセルした。
キャンセルしたが、まだ右下の赤い〇は消えないままだった。
説明書読み終わるまで、消えないのかなコレ?
面倒だなぁ……。
そういえば、スーツのおっさんに説明書読めって言われたな。
まぁ、いいや、無視だ無視。
画面右下の赤い〇は、無視してレベル上げに専念して、ゲームを初めて1時間たった時のことだ。
パララパー と、レベルアップ音がなり、レベルが6になった時だった。
画面右下にあった赤い〇が少しずつ大きく表示され、最後には画面いっぱいにまで表示された。
「あぁ、わかったわかった!!読めばいいんだろ」と、毒づいて呟き。
赤い〇を選択しようとしたら。ディスプレイの表示がおかしくなった。
まず赤い〇が消えて、そして背景が消え、キャラクターや文字も消え、ディスプレイが真っ黒になり、最後にはすべて表示されなくなった。
「なんだ、バグかよ? さすがに、コレはないわー」
メーカーに問い合わせかなと思ってたら。
1分程して、画面の右下にデータ転送中と白い文字が表示された。
「え? データ転送? なにそれ意味わかんない」
そして、急にディスプレイが黒から白へ反転した。
その後、俺の視界も真っ白になった。
「うおっ、まぶしっ!!」と、あまりの眩しさに目を閉じた。
完全にバグったな、ゲームのリセットをするかと思い目を開けると。
目の前には、大平原、振り向けば城壁に囲まれた何かがある。
ちなみに、城壁の前には、西洋鎧をきたオッサンがいる。
いい年して、あのオッサンは、コスプレかぁ?
しかし、如何にもなゴツいオッサンで、コスプレのなんちゃって兵士とは違いなんか貫禄があるような?
まて、それより俺は、今まで何をしてたっけ?
確か、防音室もどきでゲームをしてて、レベル上げで、城壁の周りの雑魚を倒してレベル上げしてたよな。
今の現状が、どうなっているのか、考えをまとめていたら。
ズ、ズ、ズズルーと、何かを引きずるような音が、背後からしたので振り向いてみたら。
「あぁ、そうそうこんな感じのスライ!!ムゥ!!」
って、なんでこんなのが目の前にいるんだよ!と混乱していたら。
俺が、城壁の近くにいたこともあり、兵士のオッサンがスライムに気づいて、
「そこの君、危ないから早く、こっちに来なさい」と、誘導してくれた。
俺は、一目散にスライムから逃げ出して、オッサンの言う通りに城壁の中に逃げ込んだ。
しばらく隠れていると、オッサンの野太い声で、
「とぉりゃぁあ!!
どっせーーーい!!」 と気合いの入った声が聞こえた。
「さっきの君、もう大丈夫だよ、出ておいで」と、オッサンに呼ばれたので出て行った。
「君は、見かけない服装だが、その身形からして、君は、冒険者だよなぁ? 何故、あの程度のスライムに動揺してたんだ?」
[右手にナイフ、左手に盾の冒険の定番スタイルに、いつもの私服という恰好だ」
今の現状に、動揺もしていたが、状況が理解できていなかったので、オッサンに色々と聞いてみた。
「あの化け物はなんだ?」とオッサンに聞いてみた。
「ん?あれはモンスターのスライムじゃないか、この付近には普通にいるぞ」
答えが、返ってくるとクイ気味に、すぐに質問をした。
「ここは、何処なんだ? なんで俺は、ここにいるんだ?」
オッサンは、何を言ってるんだコイツといった表情で、
「君は何を言ってるんだ? 君はどう見ても冒険者だろう。
君のステータスウインドウに表示されてるじゃないか? むむっ!!」
[ファウストLV:6、職業:無し]
「レベル6もあるなら、スライム位は余裕だろ君。
職業は、ついてないみたいだが?」と、オッサンが言ってきた。
「え?レベル6、あの化け物が余裕? どういうことだ」
今の現状に、困惑するしかできなかった。
そもそも、何故、俺はここにいる?
俺は、通販で買ったゲームでスライムを狩って、レベル上げをしていた。
レベル6まで上がったところで……。
あっ、気づいてしまった。
ゲーム内のレベル6と現状のレベル6という事実に気づいた。
そんなことに思考を巡らせていたら。
「そんな所にいても警備の邪魔なんで、早く街に入った、入った」と、オッサンは身振り手振りを交えて、街の中へ入る事を促した。
このオッサンは、検問をなどするわけではなく、モンスター退治が専門みたいだ。
警備の邪魔をしてしまったみたいなので、とりあえず街の中へ入ることにした。
そして俺は、街の中に入った。
兵士のオッサンが、
「セカンドベルの街へようこそ!!」と、言ってくれた。
「兄ちゃん、無職なんだから、そこの道をまっすぐ行ったところにある。
ギルドで、冒険者登録してきな。
自分の食い扶持位は自分で稼ぐ、それがこの街の基本さ。
何を考えてるかよくわからないが、レベル6もあるんだ冒険者やるにはもってこいだろ」
俺が無職? 余計なお世話だ!!
学生だ、無職違うわっ!! と思いつつ。
良くわかりもしないこの現状で、次の行動を誘導してもらえてたのはありがたかった。
俺は、オッサンに、
「とりあえず、ギルドに行ってみるわ。
おっちゃんありがとな!!」と、無職と言われた腹いせに、おっちゃん扱いしてその場を離れた。
おっちゃんに名前聞いてないし、まぁ大丈夫だろ。
とりあえず、ギルドへ向かおう。
そんな感じで、俺の冒険は始まるのだった……。