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ギルド依頼

 ちゅんちゅん!!


 小鳥がさえずる前から、俺は起床していた。


 いやぁ、いい朝だ。

 こんな日は、ダンジョンに潜るに限る。


 普段、2度寝〜3度寝の常習犯の俺が早起きしていた。

 何故なら、すぐにでも狩りに出かけたいからだ。

 所持金がないので、狩りをしないと宿屋を追い出される。

 そこまで追い込まれれば、寝坊常習犯の俺でも早起きできた。


 パーティに対して鍵掛け不可の為、勝手に扉を開けられ朝から元気のいい声が聞こえた。


「ファウスト起きなさい!! って、何でアンタ起きてんのよ」


 予想を外されたみたいで、ユキは何故か怒っている。

 何故だ、理不尽だ……。


「まぁ、ユキ君。

 私も、たまには早起きしたくなる時があるのだよ」


 ユキが、明らかに不機嫌な表情になった。

 えっ? 何言ってるのコイツみたいな表情で、こっちを見るの止めてくれませんかね?


「先日、説明書使って勉強をしたおかげで、この街にもギルドがあるとわかって、朝イチで仕事を引き受けてきたんだよ」


 さっきと、打って変わって全てを納得したような表情も止めてくれませんかね。

 流石に傷ついちゃいますよ、このガラスのハートが……。


「金がないから、早く仕事に行きたいって事ね」


「ユキさん、直球すぎませんかぁ――!!」


 ユキは、俺の必死のツッコミをスルーして、


「それで引き受けた仕事は何よ?

 身の程知らずなドラゴン退治でも引き受けたの?」と、いつもの調子で毒づいてくる。


「いやいや、俺も身の程はわきまえているさ。

 きっと簡単さ、なんといっても1階のモンスターを倒すだけの簡単なお仕事さ」



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 お仕事紹介



 一階のフロアに発生した。


 スライムキングを、5匹討伐して下さい。


 あと、1階フロア安全確認のため、MAPの全開放および、確認を行ってください。



 報酬 3000G



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 ギルドの、お仕事依頼書をユキに見せた。


「ん? これアンタが犯人って突き出した方がギルドから報酬多く貰えそうじゃない?」


 恐ろしい事をいう女だ。


「すいません、手伝ってください。

 正直な話、俺に報奨掛けられるのが怖いです。

 ギルドには、あまり良い思い出がないので……」


「あー、初日でギルド職員の女性に襲いかかったという、犯罪者事件ってやつ?」


「なんで、ユキさんがセカンドベルでの出来事知ってるんですかね?」


「その件は、ゼウスが教えてくれたのよ。

 君は、プレイヤー唯一の女性だから気をつけなさいと、嫌がらせで称号付けたとか殴られた所までしっかり聞いたわ」



 拝啓、神様この世界ではコンプライアンスってものは仕事をしているのでしょうか……。


「あの腐れ神様め、次あったらまた殴りかかってやる!!」


「ハイハイ、冗談はここらにして行くわよ。証拠隠滅」


「えーっとユキさん。

 出来ればギルド依頼とかそういう風に、オブラートに包んでいただけるとありがたいのですが……」


 そんな流れで、ダンジョンへ行くことになった。


「まずは、一匹共闘して一人で倒せそうなら各自で対応する。

 MAPを表示しておいてね、MAP出しとけばパーティメンバーの位置わかるから、危なくなったらコールで呼び出せば何とかなるでしょ」


 ユキの指示は、いつもながら的確であり。

 そして、楽天的である……。だが問題もないのでその案に乗る事にした。


「それでいこう!!」


 ダンジョン前まで徒歩で移動し、ダンジョンの入り口の前に到着した。

 ダンジョンの入り口のおっさんがこちらに向けて話しかけてきた。


「今は、1階にスライムキングが大量湧きして、危険だから狩りに行くなら日を改めた方がいいよ」


 その言葉を聞き、ついいつもの癖で大言を吐いてしまった。


「安心してくれたまへ、このスライムキラー様が、スライム如き退治してくれるわ」


 と言いながら、ギルド依頼書をおっさん見せる。

 おっさんの期待が俺に掛けられた。


「スライムキラーか、なんかスペシャリストっぽいな頼んだぜあんちゃん!!」


 そんな、おっさんの期待を背にダンジョンへ向かうのだった。

 アホなロールプレイ(やり取り)を横で見ていたユキがこう言ってきた。


「ねぇ、アンタいつも何かネタを仕込まないと生きていけない生き物かなんかなの?」


「すいません、調子にのりました……」


 ダンジョンの入り口に立った。


「ここからは、集中していこう」


「そうね、アンタのその切り替えの早さは良いトコだと思うよ」


 そんな問答をしながら、ダンジョンに入っていった。


「入り口問題なし。

 とりあえずマップ埋めをしながら索敵するよ」と、ユキが言った。


 [マップ][コピー]とユキが言ってマップを複製していた。


「これで、私たちの初期状態のマップがコピーできたわ」


 なんなのこの子、ウィキペディアさんなの?

 ゲームの機能について詳し過ぎる……。


「なるほど、アレがスライムキングか」


 マップ埋めをしながら索敵していると、1階にあるまじき体格のモンスターが現れた。


 スライムキングが現れた。

 何が、キングだって? 完全にキングサイズだわコレ。


(王冠は被ってないよ、某メーカーさんに怒られちゃうからね)


 まずは、どうする?

 サイズが大きいモンスターなので、通常の突撃攻撃でも大ダメージを食らう可能性があるので気を付けないとな。



「最初は、俺がいってみる。

 新装備の効果を試してみたい」


「どーぞ、先手は任せたわ」と、先手を譲ってもらった。


 そんな話をしてる間に、モンスターも俺達に気づいたみたいだ。

 ズルズルとこちらに寄って来る。

 この大きさだ、前回戦闘したデカいポイズンスライムの攻撃範囲と同じ可能性があるので注意しないとな。


 左手の盾を構え、警戒しながらモンスターに近づいていく。


 モンスターまでの距離が、


 3M


 ・


 2M


 ・


 2Mの所まで近づいたところで、モンスターが飛びかかってきた。

 来るのが解ってれば防御はできるさ!!

 盾が大きいと攻撃が漏れて(スライム系の場合は液体的な意味もある)、ダメージになるのも減らせる事を理解できた。


 一度、スライムキングを後方に押し出しそのまま斬りつける!!

 鋼の剣は、スライムキングの体をしっかりとキズを負わせた。

 鋼の剣の切れ味を実感し、前まで使っていた銅の剣は刺突と打撃用のものだったのだなと実感できた。


 後ろを見てみると、出番はまだかとユキがうずうずして体を揺らしていた。

 はいはい、わかってますよっと!!


 再び、モンスターがこちらに飛びかかって来た所を盾で防御し、力いっぱい後方に押し出した。


「スイッチ」


 前衛・後衛を入れ替える合図だ。


「オッケー!!」


 押し飛ばされるスライムに、ユキが速攻で二刀流で攻撃を加えてゆく。

 AGI極の間合いの詰め方鬼すぎ……。

 2連撃で止まるのかと思ったら、そのまま4連撃まで決めてそのまま撃破。


 スライムキングを倒した。

 58の経験値と70ゴールドを手に入れた。


 なんなのユキさん、この人強カッコいい。


 ユキは、息も切らさずに、

「これなら、お互いにソロでも大丈夫そうね」と、アッサリと言ってのけた。


「そしたら、私が右上から探索。

 アンタが、右下から探索ね……」


「了解!!」と答えておいた。


「危険を感じたら、お互いに[コール]すること。

 それじゃ、散会!!」


 とユキが、言った後に一言加えていった。


「討伐数が少ない方が、今日のご飯奢りね!!」


「ちょっ!! ずるいぞ急に決めるとか!!」


 仁義なき、晩御飯の闘いが始まった。

 まずは、右下まで移動してマップを埋めて……。

 埋まってないマップを埋め埋め、のほほんとしているスライムに、ファイアボルト!!


 安定の一撃。

 そんな、小さな遊びを交えながらマップを埋め埋め。

 マップ埋めを半分位やっていたら、デカいのいましたよ。

 それじゃ初手魔法で先制攻撃、次手は盾防御からの鋼の剣による反撃でダメージを確保してモンスターを倒すとしよう。


 そういえば、ファイアボルトはMP込める量で威力を上げれるんだったな。

(これぞ勉強の成果です……)


 とりあえず、いつもの10倍のMP80を込めてみた。


 [ファイアボルト]


 あれ、いつものように速射じゃない……。


 ……。

 …………。


 チャージが終了し魔法が飛んで行った。

 MPがごっそり持っていかれた感じがした。


 放たれた魔法はスライムキングに命中した。

 離れた場所から攻撃を受けてモンスターは激昂しているようだった。

 怒りのまま、こっちに近寄ってきている。


 そんな、バレバレの行動するとさ。


「俺でも簡単に避けれるよ」


 モンスターの攻撃を回避、そのままカウンターで剣の一閃、魔法による蓄積ダメージもあり1撃で終了。


 ログが流れた。

 経験値とお金以外に、スライムキングの魔石を獲得した。


 ん?


 おっ!!今までで二つ目の魔石だ。

 この調子で、あと一匹倒したいな。


 マップの左下へ到達、ここから埋めていないところを埋め埋め。

 歩いていたらMPも回復しているし、かなり楽な狩りなんじゃ?

 よし、俺のマップ埋めの範囲は終わった。

 既存マップの分を埋めるぞ。


 しばらく、探索していたらスライムキングを見つけた。


 いたぞ!!

 ちょっと待て、2匹いるじゃねーか。

 げっ、ユキが2匹と交戦中かよ。


 俺は、まだ1匹だからこいつら倒されたら俺の負けだな……。

 そんなことも考えたが、こんな時は俺のプライドより仲間の安全だろ!!


 急いで、戦闘が行われている場所へ向かう。


 俺も戦闘に加わり、

「間に合ったな、ユキこっちで一匹引き付けてやっから。

 そいつを倒してしまいなよ」と言って、モンスターの足止めを開始した。


 足止めしていたら、ユキがサクサクっとスライムキングを一匹片付けた。

 その後、俺足止めしているモンスターに近づき裏取って、[暗殺]のスキルを使った。


 こわっ!! この人完全に忍者ですわ。

 ユキが、

「マップ埋め完了ーー」と言って、こちらをニヤニヤしながら見ている。


 あぁ、負けたな……。


「結果発表!! アンタ1、私2共闘で倒したのと暗殺で倒した分併せて5匹でギルド依頼達成。

 あと、私の勝利!!」


「晩御飯は奢りねーー」


「あいよ」


 あそこで、3匹討伐にしないのがユキなりの優しさなんだろうな。


「そういえばさ……。

 魔石ってのが出たんだけど?」


「えっ!! エッーーーーーー!!

 どうせ出ないと思っててアンタに教えてなかったわ」


「おい!!」


「だって、あれだけ活躍してる私が1つも出てないのよ!!

 都市伝説に決まってるじゃない」


「まぁ、とりあえずギルドの受付に行って報酬もらってこようぜ」


「そうね!!」


 そのあと、ギルドで報酬を貰いました。

 よし食堂へ行こう。



 今回の討伐数


 スライムキング×5経験値290ゴールド350

 スライム×1スライムが経験値1ゴールド2

 ギルド報酬 ゴールド3000 ÷2= ゴールド1500


 今回の収入、ゴールド1852を手に入れた。


 さーて、夜ご飯食べるぞ久々のパン以外の夜飯だ。


 まぁ、奢るのは仕方ないね・・・。(いつものことだし。

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