表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MP1~魔法使いは呪われている~  作者: 万里
聖女と砂漠に舞う蝶編
3/81

ホームレス

夜が更けた。真ん丸なお月さまを見上げて、深々とため息をつく。

「はぁー」

何で、キャラバンの男からの施しを素直に受けなかったのか。砂漠の国に着いたらどうにかなると思っていた無計画な自分にツッコミを入れたい。

ぐう、と大きな音を立ててお腹が鳴った。最後に食事をしたのはいつだろう。大きな広場に戻り、渇れた噴水を虚ろな瞳で眺めた。せめて、噴水に水が流れていたならお腹を満たすこともできただろう。乾いた唇を舐めると、鉄の味がした。あぁ、駄目だ。お腹が空きすぎて考えがまとまらない。

「とりあえずお金もないし、今日はここで休むか?」

ゴミ箱の中に捨てられている紙を集めて、身体に巻き付ける。そのまま石畳の上にごろんと横になった。意外に紙にくるまると暖かかった。新しい発見だ。

明日からは路上に落ちた通貨を探しながら生活するか、と決意を新たに(?)して、俺は眠りについた。


※※※


「う~ん…むにゃむにゃ」

「おい!起きろ!」

身体を棒のような物でつつかれて、何事かと思い、目を擦った。いつの間にか朝になったらしい。

赤と黒の制服の男が俺に向け槍のような物の柄を突きつけていて、一気に目が覚めた。後ろには貴族っぽい服を着た美形の青年が不機嫌そうにたたずんでいた。

「命だけはお助けを」俺は懇願した。まだ死にたくない。

美形は俺の言葉を聞き、不機嫌の色を強めたが、事務的に次のように宣った。

「ここは神聖なる王都の中心だ。景観を損ねるから無断で寝泊まりすることは許可されていない」

「そんなことを言われても、宿屋に泊まる金がないんだ」

現状を説明する。記憶喪失、無一文。お金がない以上、路上で寝るしかない。このまま国の外に放り出されば確実に死ぬ。

美形の男は眉間に皺を寄せて、暫く額に手をやっていたが、諦めたようにため息をつき、一言「ついてこい」と言った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ