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カラオケ 前編

 一昨日、望月と一緒に出かけたが、月曜日にそれが話題に出ることはなかった。

「おはよう」

 登校するやいなやニコッと微笑みかけてくる望月。

「おう」

 俺も片手をひょいと挙げた。そのまま望月は俺の隣の自席に座る。

「そういえばね、カラオケ大会を今度開催することになったのだけど」

「もう増谷から話は聞いた。いつなんだ?」

 尋ねると、望月は考える仕草をする。

「確か……六月三十日。日にちを相談している時に、英検が終わってからがいいって増谷くんが……」

「増谷、英検受けるの?」

「うん。三級だって。試験はもう終わった。私も三級受けたけど」

「おお、お前も受けたのか」

 手応えは? とかあまり余計なことは訊かないようにした。

「田宮くんは、何か資格を持っていたりするの?」

 訊かれて、俺はちょっと困った。

「ビジネス文書実務検定二級しか……。しかもまだ結果来てないし」

 確か学校で受験だからと望月に誘われて受けてみたのだった。結果はもうちょっと後に返ってくる。

「大丈夫大丈夫。受かる受かるー」

「その自信はどこから来るんだよ……」

「あんだけ補習も受けたんだから、八割方受かるよ」

「残りの二割は?」

「そんなこと気にしていたら不安で生きていけないよー。八割の自分を百パーセントだと思いなって」

「…………」

 黙り込む俺に、望月はにっこり微笑んだ。

「とにかく! 六月二十八日の午後一時に練馬ね! 安いカラオケ屋さんがあるらしいの!」

「わかった」

 俺は頷く。

「ってことは今週末だな」

 望月も頷いた。

「えへへ、楽しみだなー」

***

「早いな」

 待ち合わせ場所に五分前に着くと、そこには増谷と望月がいた。

「主催者だから」

 望月は微笑む。

「でもね、増谷くんは三十分前に来ていたんだよー」

「早っ」

 俺が目を剥くと、増谷は照れる仕草をした。

「俺、これでもジャーナリスト志望なんで、きっちり生きていきたいんだよね」

 ジャーナリストは三十分前行動をするのかは疑問だが、まあいいだろう。

「コウミちゃんの洋服、可愛いね」

 増谷がふと褒めたので、俺も望月の全体像に目をやった。

 水色のワンピースにミント色のカーディガン。私服だと意外と胸があるな……とかバレたらどうする。

 そういえば先週遊んだ時も白いワンピースだったし、こういう女の子らしい格好が好みなのかもな。元々の顔立ちが清楚っぽいので似合っている。

「おまたせー!」

 次に川辺がやってきた。制服だった。

「……素敵な制服ですね」

 望月の言葉に川辺は頬を朱色に染める。

「いや……午前中、補習に出ていてさあ。国語の」

「お前な~」

 俺はなるべく明るくその場を収めようと、笑った。

「おまたせー!」

 そこにやってきたのは天使ロリっ子、相沢松美だった。一般的にゴスロリと呼ばれる黒いドレスのような衣装を身につけている。もはや堕天使じゃね? 神々しい美しさに少なからず心を奪われてしまうが。

「可愛い! 松美ちゃん!」

 望月の言葉に、相沢は子供のように嬉しそうにする。

「いやー、コウミちゃんも可愛いよ、ザ・清純派だよねー」

「ううん。そんなことないよー、ありがとう」

 望月もにっこりと笑顔を返した。

「ごめんなさい!」

 最後に、神田島ひさきが到着した。

「あたしが一番遅かったのね……」

 神田島の服装はラベンダー色のニットに、ショーパンだった。足も長いし、全体的に大人っぽい雰囲気でまとまっている。

「平気だよ。時間ぴったりに来ただけじゃない」

 望月のフォローに、神田島は軽く微笑んだ。

「じゃあ、カラオケに行きましょう」

 なぜか、神田島が先頭を切って歩き出す。

「神田島さんはここらへんに住んでいるらしいよ」

 増谷の言葉に、俺はなるほど、と頷いた。主催者は望月と増谷だが、カラオケの予約等は神田島がやってくれたのかもしれない。

 こうして俺たち六人は、カラオケに向かった。

 あ~と、後半へ続く。


※ 参考

「実用英語技能検定 公益財団法人 日本英語検定協会」

「ビジネス文書実務検定  全国商業高等学校協会」

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