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後日談

 望月と別れて一週間後。終業式の日。

「最近、田宮くん、元気になったね」

 榎田の言葉に俺は首を傾げる。

「そうか?」

「うん。心の重荷がとれました! って顔をしている」

 思い当たる節と言えば望月と別れたことだが、榎田の言葉を肯定するのはあまりにも望月に失礼な気がして、俺は首を傾げるほかなかった。

 望月とは、廊下で会っても絶対に無視しない。

 俺は今までは素っ気なくしか返せなかったが、友達だとどう接してよいかわかるため、自分でも露骨に望月に対して愛想が良くなったと思う。

 非常にやりやすくなった。

 昨日、神田島には校舎裏に呼び出されて、殴られたけど。

 『コウミちゃんばっかり頑張って、傷ついて、田宮くんが別れてけろっとしているのはおかしい』らしい。

 でも、高田馬場のカラオケで夏目に会った時に、彼は『あー、望月さんは重いからなあ』とけらけら笑っていたので、男と女で感じ方には差があるのだろう。

 ともかく、俺は今のままだと恋愛ができないとわかった。

 そして、これが三次元へと目を向けるいいきっかけになった。

 俺は痛くもかゆくもないし、当面変わる予定もないけど。

 わかっただけでも良しとしよう。

 多分、この先、俺が誰かと付き合ったり別れたり、結婚したりするかもしれない。今のところは臨床検査技師になれれば、恋愛できなくてもいいと思っているけど。

 でも、何人と付き合っても、その中で一番可愛い女の子は望月だと思う。

 って、本人に伝えてもなんの慰めにもならないから、言わないけど。

 でも、彼女はやっぱり俺の元を去って行くんだな。

 未練はない。むしろホッとしているが、少しばかり落胆した。

 彼女はもしかすると、俺を絶対に裏切らない人間かもしれないと思っていたからだ。

 でも、心の底からは信用していなかった。

 だから、彼女が俺から離れていくのは当然の結果だった。

 望月はこれから先、どうするのだろうか。

 俺は彼女に不幸になって欲しいとは思わない。

 でも、幸せになって欲しいとわざわざ願うほど、彼女のことは大切じゃない。

 言えばよかったのかな。大切じゃないって。

 でも、そんなことを言ったら望月は傷つくし、俺も傷つくから言えなかった。

 ああ、そうだ。

 俺は精神的に色々抱えているし、人として欠けている。

 そんな状態で幸せなわけもなく、常に軽いうつ状態だ。ゲームしているときは普通に楽しいけどね。

 でも、変わろうとは思わない。

 変わるのは怖い。

 変わらないのは辛い。

 でも変わらない方が楽だ。

 でも、変わったほうが、素直な人間の方が幸せになれる。

 楽しいほうがいいじゃないか。

 俺は、望月に対して素直になれなかった。

 でも、決めた。

 みんなに素直になろう。

 俺は俺であることは辞められない。

 どうしても変えられない部分はたくさんある。

 でも、変えられるところもある。

 変わろう。

 俺のことを好きになってくれた女の子の恋心を、無駄にしないように。

四か月近く、お付き合いしてくださってありがとうございます!!

望月さんはしばらく引きずるでしょうが、いずれ立ち直ると思います。

田宮くんの場合は、虐められて不登校になったことが大きなトラウマになっているのでしょうが、色々見た目が悪くて性格も暗くて、クラスでオタクだと思われていたりだとか、結構虐げられて育ったので、そういうので自分に自信が持てないというのも、こういう人格形成の原因なんでしょうね。

人柄は良いので、幸せになって欲しいですね。

結構晩婚になりそうですけど。頭は良いので稼げそうだし、真面目だから、結婚相手は見つかるか?

小説家になろうで投稿してます、外伝『オタクはこの世界とエイリアンに優しすぎる。』では望月さんのその後を更新しようと思うので、よかったらぜひ読んでください!!

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