男女交際 平日
望月と付き合い始めて、もうすぐ一週間になる。
望月と付き合っていることを、俺は誰にも話していない。
お互いクラスも違うので、同級生からは恋人同士どころか、友達とすら思われていないだろう。
俺は別にそれでも構わない。
今望月は何かがとち狂って俺に…惚れている? だけで、きっとすぐに冷める。
どうせいつかなくなる繋がりなら、別に知られなくてもいい。
「おおお、おはよう! 田宮くん」
廊下ですれ違う時に望月が挨拶してくる。
「おう」
普通に返すと、望月は顔を真っ赤にしてそのまま歩き去って行った。
「あ、望月さん」
俺のクラスの友人、榎田が望月を見て呟いた。
「彼女、川辺を振ったんだって」
「へえ」
俺は最低限の相槌だけ呟いた。やはり噂話は好きじゃない。
「俺、絶対あの二人くっつく、あるいはくっついていると思っていたんだけどな」
「……へえ」
「彼女、真面目だし、やっぱり男に興味なさそうだもんな。男女平等に仲良いし」
「ソウダネ」
「なんで声裏返ってんの?」
「別に」
俺は、う、うん、と咳払いをした。
噂は広がる。よし。誰にも望月とのことは言わないでおこう。