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電話

 四月のとある祝日。夕方ごろに望月から電話があった。

『もっもしもし! 田宮くん?』

「そうだよ」

『ええと、今週の金曜日、空いてル?』

「声裏返っているぞ。ええと、予定は入っているけど……」

『そ、そう……』

「何かあったのか?」

『ううん! 予定があるならいいの』

「いや、でもそんなに優先順位が高くない用事だから、とりあえず用件を言ってみ?」

 望月の声が異常に震えている。男の低い声に怯えているのかもしれない。俺は努めて優しい声音を心がけた。

『…………』

 望月が黙りこくっている。なんだ、この沈黙。

 ボオ、と息遣いと携帯電話を耳から離す音。なんか電話の向こうで、騒いでいる。『無理、無理!』って声が聞こえるが、俺の声が生理的に無理ということなのだろうか。

 ちょっと落ち着いたのか、また携帯電話を耳に付ける音が聞こえた。

『え、えとアーユーオーケイ?』

「お、おう」むしろお前がオーケイ?

『金曜日にですね、お話があるんですよ』

「う、うん」

『で、待っているから』

「いつ!?」

『ほ、放課後』

「どこで……?」

『ええと下駄箱の前で!』

「わかった」

『じゃあよろしくお願い致します。失礼致します……』

 応用が利かない望月のテンプレみたいな挨拶で電話は締めくくられる。

 話ってなんだろう。今週の金曜日は一日がかりの身体・体力測定の日だから、その話かな。

***

 金曜日朝。

 一組の下駄箱の方で望月が何やら神田島や相沢と喋っていた。このメンツを目撃するのは久しぶりかもしれない。

「今日、がんばってね!」

「田宮くんのこと、応援しているわよ」

 相沢の元気な笑顔と神田島の大人びた言葉。

 田宮くんって、俺? がんばってね、って何を?

 もしや、今日の話って告白?

 望月の好きな人って――――俺?

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